まずは動画コンテンツの種類の整理から
おはようございます。LGエレクトロニクスジャパンの金敬花(きむ・きょんふぁ)と申します。韓国ソウルでLGや他の企業のデジタルマーケティングを担当後、3年半前よりLGエレクトロニクスジャパンにて日本市場向けのコミュニケーションを担当しています。
はじめに、LGエレクトロニクスのご紹介をさせて頂きます。日本における認知度はまだ高くありませんが、グローバルでは主に5つの事業を行っています。スマートフォンなどを製造・開発するモバイルコミュニケーション事業、テレビなどのホームエンタテインメント事業、冷蔵庫や電子レンジなどの家電事業、エアコンなどのエネルギー関連事業、自動車関連事業です。最初の3つが、日本法人における主要事業です。
さて今日は、当社が取組む「動画コンテンツを使ったプロモーション」について、お話させて頂きます。2014年は「動画広告元年」と言われていますが、皆さんはどう思われますか。業界や動画広告を投下する市場、提供するサービスや商品によって、ギャップがあるかもしれません。
現在は、多くの企業で様々な種類の動画コンテンツを活用していますが、今回は後ほど出てくる施策内容がわかりやすいように動画の特質に合わせてコンテンツの種類を2つに分けて定義したいと思います。ひとつは、従来のテレビCMやプロダクトムービーなどを代表とする、ブランドや製品のイメージを消費者に伝えるものです。ウェブ上では、いわゆる「マス広告」と連動させたり、同一のコンテンツをウェブで展開することで、リマインドをさせたり、あるいはより詳しい内容を添えることで、消費者の認知、関心を深めるという役割を果たします。
もうひとつは、製品や企業のイメージを伝えるという点を優先させるのではなく、消費者の興味関心のあることに合わせたコンテンツをタイムリーに差し込むことで、認知拡大のパイを広げるというコンテンツです。主にバイラルムービーと言われるものが代表的です。こちらは、前述のコンテンツの補完的な役割で、ブランドや製品イメージを正しく伝えるというよりは、むしろ、テレビCMなどではリーチできない消費者に訴求し、更にブランド広告では関心を示さない層へのリーチ拡大を目的とすることが多いと思われます。一定の視聴ボリュームを獲得し、親近感や分かりやすさをもって身近に感じてもらうことが大切です。
100万回再生超のPR動画はわずか0.6%/広告主がぶつかる動画コンテンツ活用の問題点
動画コンテンツは、展開によって一定の効果を発揮しますが、まだ問題点もあります。私が考える内容を4点ほど挙げてみました。
- ブランドレギュレーション違反
- 新しいプラットフォーム広告形態への信憑性
- テレビCMとは異なった訴求の意義について、社内を説得する難しさ
- KPI設定のわかりにくさ
1つは、ブランドレギュレーション違反です。例えばバイラル動画は、面白おかしい、少しおちゃらけた内容になることもあり、ブランドコミュニケーション上の違反にあたる可能性もある、という点です。2つ目は、新しいプラットフォームへの信憑性です。まだ実績に乏しく、本当に効果があるのか、社内での説得材料はまだ不十分と言えます。3つ目は、テレビCMとは異なった訴求をする意義や必要性を説明しづらいこと。そして4つ目は、KPIのわかりづらさです。
二の足を踏ませる材料は、まだあります。世界のトップ100ブランドの動画コンテンツのうち、50%以上が、1,000回未満の再生回数だという事実です。2013年8月のデータではありますが、100万回の再生を超えるPR動画はわずか0.6%。このような肌感覚が、動画広告への躊躇につながっているとも言えます。