テレビCMとFacebook広告の連動戦略
今年の5月、10月、11月と3回にわたり、メルカリはテレビCMを実施している。テレビCMとFacebook広告の連動についてたずねてみた。

「全体効率の観点では、テレビCMを放映している時期は、Facebook広告だけでなく、オンラインの施策全般のCVRが大きく上がります。なのでテレビCMに合わせて、オンラインでは量を刈取りに行くことを意識して施策を行っています。多少CPCが上がったとしても、CVRが高いので割に合うので、ボリュームを狙っていきます」(榎阪氏)
大企業になると担当部署が分かれていることもあり、テレビCMとオンラインの広告施策を別々に考えることも多々ある。マスとデジタルを横串にして、それぞれの施策が補完関係になるようにマーケティング施策全体を設計していることが、メルカリの成長を大きく支えているのだろう。
また、「テレビCMでとれるユーザーは、オンラインで獲得できるユーザーとは異なる」と榎阪氏。「もちろんテレビCMとの相乗効果で、FacebookユーザーがテレビCMを見てアプリをDLし、獲得効率が上がっている面もあります。ただ、テレビCMを放映すると、ぼこっとダウンロード数が伸びるので、ユーザーが多少は重なっている部分はあるとは思いますが、オンライン上の広告施策ではリーチできない層にアプローチすることができていると思います」
昨今、アプリのテレビCMをよく見かけるようになった。その費用対効果は実際のところどうなのだろうか。「テレビCMを放映することによって、新規出品者や購買者といった新規ユーザーが増えることで、我々の中長期のマーケットプレイスとしての基盤が広がります。加えて、既存のユーザーもテレビCMを見ることで、より行動がアクティブになるという短期的な効果もあります。Facebook広告を始め、通常のオンライン広告と組み合わせてテレビCMを打つことによって、別の副次的な収益効果が生まれるのです」と榎阪氏は指摘する。
「また先ほども話しましたが、オンラインとテレビCMで獲得できる層も異なります。テレビCMで違う層にアプローチすることで、マーケットを拡大していくことができます」(鋤柄氏)
ユーザー層の拡大に今後も邁進する
メルカリのメインユーザーは、現状では10代後半から20代の若い層である。より上の世代のユーザーを獲得していきたいといった今後の戦略はあるのか、とたずねてみた。

「今年の5月に行ったテレビCMは、フジテレビの『テラスハウス』に出演していた菅谷哲也さんと筧美和子さんを起用しました。また10月のテレビCMには、彼らに加えて、ダンディ坂野さんに出演していただきました。その狙いとしては、10~20代を押さえつつ、その上の世代をきちんとカバーしていきたいといったものです。メルカリは、リリースしてまだ1年5か月。一般的な認知度はまだまだ低いと思っています。逆に言うと、認知が上がれば上がるほど、ユーザー数が大きく伸びる余地は多いにあります。そういった意味でもユーザー層を広げ、多くの人にメルカリの存在を知ってもらい、サービスを使ってもらえるようにしていきたいですね。
フリマアプリの中ではメルカリの認知はそこそこありますが、ヤフオク!などと比べると、まだまだです。まずはそこまで持っていきたい。その目標に向けて、Facebook広告をはじめ、またマス広告施策を柔軟に組み合わせたマーケティングを行い、より多くのユーザーを獲得していきます」(榎阪氏)
