X Japanに対するリスペクト
BABYMETALをずっと聴いていると、どうしても聴きたくなるアーティストがいます。
そう、X Japanです。
YOSHIKIこと林佳樹さん、TOSHIこと出山利三さんを中心とした伝説のスーパーバンド。HIDEさん、TAIJIさんの他界に加えて、TOSHIさんの問題も乗り越えて復活しました。感動モノです(昔、YOSHIKIさんは小室哲哉さんとV2やってましたね。懐かし過ぎます)。昨年10月1日の横浜アリーナでの2公演に加えて、10月11日にはNYマディソン・スクエア・ガーデンでもLIVEを行っています。
BABYMETALの演出や楽曲において「X Japanの影響かな?」と思える点をピックアップしてみました。

1の「We are」は…、コチラです。
Just posted pics in #CHILE!! https://t.co/zssaULx4US Hope to tour there again soon! #WeAreX!!! pic.twitter.com/rSvEhPD2Hb
— Yoshiki (@YoshikiOfficial) 2015, 1月 16
これは、YOHIKIさんがコンサートの途中で観客を煽る際の定番で、
YOSHIKI :「We are!」
観客 :「X!(エーックス)」(腕をクロスさせつつ)
という、いわゆるコールアンドレスポンスを幾度となく繰り返します。YOSHIKIさんの声が枯れ果てるまでガチでやり続けます。TOSHIさんの喉を気遣い代わりに叫びます。先日の横浜アリーナ公演2日目では、ガラガラ声の理由を「初日にWe are! やり過ぎた」とおっしゃっていました。一方、BABYMETALでは、
SU-METAL :「We are!」
観客 :「BABYMETAL!」(指でキツネサインをつくりつつ)
のやり取りが繰り返されます。
2番目のジャンプに移りましょう。X Japanの「X」という楽曲のサビでのお決まり。腕をクロスさせてジャンプし「X(エーックス)!」と叫ぶ。これも鉄板アクションです。BABYMETALでは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のサビで腕をクロスさせつつ、指でキツネサインを出しつつジャンプ、そして「ダメ、ダメ、ダメダメダメダメ」と攻め立てます。メロディアスなツインギターのハモリ、掛け合いはホント痺れます。泣けます。
こんな調子で、BABYMETALの楽曲や演出面にはX Japanの影響が反映されています。もちろんX Japanだけでなく、メタリカやドラゴンフォースなど、海外のヘヴィメタルバンドの影響もあちこちにあります。かつてメタルファンだった方なら、きっとハマってしまうでしょう。
BABYMETALのアイドル界での立ち位置を検証する
最後にBABYMETALが、アイドル/アーティストの中でどのように位置付けることができるのか主成分分析を活用して見ていきましょう! 使用するデータはコチラ。

データとしては、メンバーの構成や人数、平均年齢の他に音楽ジャンルに加えて、X Japan的要素についても変数に加えています(Xジャンプ)。アイドル、アーティスト、ジャンルは筆者の独断と偏見で選びました。ご了承を。0と1で表した変数は「ダミー変数」と呼ばれ、該当すれば1、該当しなければ0が入力されています。
この結果を「バイプロット(biplot)」と呼ばれるグラフで可視化します。

BABYMETALについての主成分分析(Rによるbiplotの結果をもとに筆者作成)
赤字で示した「人数」や「平均年齢」などの矢印の大きさと向きは、アイドルやアーティストとの関係の強さを表しています。AKB系列のグループは人数の軸で分類されています。これは使用したデータから、女性のみのグループであることと平均年齢が近いこと、ジャンルは乃木坂46を除きJ-POPのみとしたことから大きな違いがある「人数」に焦点があたったものと推測されます。
平均年齢などその他の軸に注目してみると、アイドル、アーティストの特徴がおおむね捉えられているように見えますね(強引)。我らがBABYMETALは……、はるか右上に輝く北極星のような孤高の存在となっています。「女子のみ」「METAL」「X的要素」と、既存のアイドルとは一線を画していることが表現されています。
冒頭のNHKの番組インタビューで、SU-METALさんが「BABYMETALというオンリーワンのジャンルを作りたい」と答えていた通りの結果ではないでしょうか(客観性のあるデータをもっと集めたかったところではあります。ご参考まで!)
最後に、BABYMETALの新曲のTrailerはコチラです! 道なき道を切り開いた歴史的映像をイントロの50秒に凝縮しています。
アイドルたちが取っている戦略を、データ分析を使って分析することで、「アイドル」と「分析」の面白さを知ってほしい。そんな思いで続けてきた本連載も今回で最終回です。またいつか、お目にかかりたいと思います。下でも紹介していますが、はじめての本も出ますのでこちらもよろしくお願いします。
では、メタルレジスタンスに参加される皆様! 2015年6月21日の幕張メッセでお会いしましょう!
See you!!
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第2章 Rで分析を始める前に データに異常値がないかを確認しよう ~人はなぜ間違うのか?~
第3章 時系列データを分析すると何がわかる?
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第4章 R のパッケージを使って イケてるグラフをサクッと作成しよう ~おいでパッケージ~
第5章 正しい分析手法を選ばないと時間のムダ
顧客属性とコンバージョンデータを使って、打ち手を効率よく考える ~気づいたらコンバージョン~
第6章 「ダミー変数」でデータをまとめてクラスター分析
単位が違うデータは「標準化/基準化」でGo! ~走れ!scale()~
第7章 どれだけ○○したら◎◎できるのか? 数値による定量化で「因果関係」を分析する ~君の名は回帰~
第8章 総まとめ! コンバージョンに影響を与えたコンテンツは何かを分析してみよう ~何度目の決定木か~
付録 豊澤栄治(ロックオン)×井端康(アトラエ)
ツールを使いこなすだけでなく、さらに高いレベルを目指したい。~ここじゃないどこか~
※各章タイトルの末尾の一言は、豊澤さんがこの記事のために特別に添えたものです。ピンときた方は、豊澤さんが執筆したこちらの記事もご覧ください。