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「ソーシャル時代に適した“パブリッシャー”へ」メディア化で成長した「北欧、暮らしの道具店」次の一手

 Facebookのファン数は約29万人、インスタグラムのフォロアーも約10万人と、固定ファンを有するECサイト「北欧、暮らしの道具店」。サイトは暮らしに役立つ読み物やオススメレシピで溢れ、ECサイトよりむしろ「メディア」のようです。それもそのはず、12年には「自社サイトのメディア化」を宣言、現在は小冊子やムック本も発刊し、事業コンセプトを「パブリッシャー」になることと言います。なぜ雑貨店である彼らは、コンテンツで勝負するのでしょうか。

資本金の底が見えたところで突如、北欧旅行に

── こんにちは。読んでも買っても楽しいECサイト「北欧、暮らしの道具店」の秘密を探りにきました。御社のサイトは、商品紹介だけでなく「読み物」などのコンテンツに溢れていて、まるで「メディア」のようですね。

 ありがとうございます。でも当社は、もともと雑貨店からスタートした会社ではないんですよ。2006年の創業時は、不動産のマーケットプレイスを運営していました。

株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平氏
株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平氏

── そうなんですか。

 マンションなどのオーナーと借り手を直接マッチングするサイトを運営していました。でも、まあ見事に伸びなかったんです。資本金が残り100万円になったとき、一緒に事業をしていた妹が「北欧に行きたい」と言うんです。「妹を事業に巻き込んで申し訳なかったな」という気持ちもあり、その100万円で連れて行くことにしました。

 で、「せっかく北欧に来たんだから、何か商売につながるネタはないか」と考え、当時流行っていたビンテージ食器を買い付けたんです。それが、現在の「北欧、暮らしの道具店」のスタートです。

── 雑貨の専門家ではなかったのですね。

 はい。素人です。だから、当初はヒドかったです。当時は日本行きの船便がなく、買い付けた食器を航空便で送ったら、買った金額の3倍ぐらいの運賃がかかったり。商品の包み方も知らないから、送った商品の半分は割れていたり。私は根っからの商売人ですが、その私ですら、割れた商品を見て儲ける気が失せました。

── そうでしたか……。

 とはいえ「稼がないと」という思いもあったので、販売用のWebサイトを作りました。それが2007年頃です。ビンテージ人気もあり販売は順調で、かつ粗利益率も高かった。でもすぐに、限界がきました。

 ビンテージ品ですから、1個の商品を売るためにWebページを1枚作らねばならない。そしてビンテージものですから、在庫も限られています。このままでは事業は拡大しないと思い、1年経たないうちに一般雑貨も扱い始めました。

 拡販のため、ありとあらゆるテクニックを使いました。リスティング広告では15,000くらいのキーワードを設定し、ゴリゴリ研究しました。アフィリエイトもやったし、インターネットショッピングモールに参加したこともありました。成果が出たものもあったけど、でも事業規模が来年倍になるとは思えなかった。革命的な何かがないと世界は変わらないと思いました。

── それが、自社サイトのメディア化につながったのでしょうか。

 はい。当時、当社は2億円の売上のうち、1割を広告に使っていました。年間2,000万円です。毎年、地方のマンションが1部屋買えるほどのお金ですよ。そんなことを考えていると、まず広告ってなんだろうと疑問が湧いたんです。

 当時私は、広告を「面白い」「役立つ」コンテンツをメディアに置かせてもらうもの、と捉えました。それなら、自分たちがメディアになれば、自分たちでコンテンツを届けることができると考えたんです。当時「スタッフ日記」というコンテンツに人気があったので、コンテンツ力で勝負しようと考えました。

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「無理ゲー」である雑貨通販をメディア化戦略で突破

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/04/08 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22171

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