プレミアムな枠に広告配信できる「Yahoo!プレミアムDSP」
毎年のように新たなトレンドが登場し、常に“新しい取り組み”が求められるマーケティング業界。しかし、登場したばかりの“新しい取り組み”を始めてみたものの、顧客獲得単価(CPA)はさておき、顧客数がなかなか増えない。結局、これまで主な顧客獲得経路となっていた検索連動型広告まわりの施策を見直してみるのが一番効果的だった――。そんな経験はないだろうか。
そうしたところに課題を感じているマーケティング担当者に試してみてもらいたいサービスが「Yahoo!プレミアムDSP」だ。Yahoo! JAPANの第2階層以下のページ右上に掲出される広告枠「プライムディスプレイ」をはじめとする、月間600億PV(参考:Yahoo! JAPAN IRアーカイブス)を超えるYahoo! JAPANのプレミアムな枠に広告配信できる唯一のDSP。導入からわずかな期間で、“主な顧客獲得経路”の1つへと成長する可能性を秘めている。
実際、説明を受けて導入に踏み切った企業は多く、Yahoo!プレミアムDSPの利用社数は右肩上がりに増加中だという。ヤフーが2015年5月15日、広告会社向けに開催したイベント「2015年度上半期Yahoo! JAPAN エージェンシーカンファレンス」で披露した同社の今後の事業戦略の中でも、重点を置くプロダクトの1つとして言及している。
さらに同カンファレンスで発表された「Yahoo! JAPAN Agency Award」でも、今回からYahoo!プレミアムDSPの販売実績において優れた広告会社を表彰する「プレミアムDSP賞」を新設。売上成長率トップの広告会社として、GMO NIKKOが表彰された。
短期間のうちに「相当大きなボリューム」に急拡大
Yahoo!プレミアムDSPの販売に力を入れるGMO NIKKOの中でも、特筆すべき成功事例を紹介していこう。
同社はYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の運用を任されていたある広告主に対して、Yahoo!プレミアムDSPの導入を提案。スモールスタートで始めた取り組みだったが、今では「相当大きいボリュームを占める」(GMO NIKKO コンサルティング本部 佐々木要本部長)ようになっているという。
「そのクライアントとは数年前からお取引がありました。タグ管理ツール『Yahoo!タグマネジャー』を活用しながら、YDN経由で配信する既存顧客向けリターゲティング広告の最適化を任せていただいていたのです。そこでの実績を評価いただき、一層の規模拡大を期待いただいておりましたが、これ以上YDNに使う予算を増やしても、ROAS(広告費用対効果)を改善することは難しいと考えていました。
そこで『YDNの運用で培ったノウハウを横展開することで、YDN以外で広告配信する面を増やせないか』と考え、候補に挙がったのがYahoo!プレミアムDSPだったのです」(同 広告事業部 第4営業グループ 椎名亮エグゼクティブマネージャー)
ただ、YDNとYahoo!プレミアムDSPの主な広告配信先は同じYahoo! JAPAN内。両者が利用する広告在庫は、重複しない部分もあるが、共通している部分もある。導入前には、「両者を併用することでYDN経由の売上が落ちないか」「全体のROASが悪化しないか」といった懸念を持っていたという。
「提案時にはクライアントに、『これくらいの成果が出そう』とシミュレーション結果を提示していました。実は当初、Yahoo!プレミアムDSPへの期待は高くなく、YDNと比べてかなり厳しい結果になるという想定値を伝えていたのです。ところが、利用を始めて初めて届いたレポートを見たら、想定の2倍くらいの数が取れていた。うれしくて思わず何度も見直してしまいましたね(笑)」(同 ストラテジック部第4グループ 小倉雅浩グループマネージャー)
成功要因の1つは密なコミュニケーション
うれしい誤算はなぜ生じたのだろうか。GMO NIKKOでは、次のような点が成功要因なのではないかと分析している。
- YDNを運用してきた中でも、特にパフォーマンスがよかった手法から順に横展開した
- 主な広告配信先は良質なユーザーを多数抱えるYahoo! JAPAN。その中でも訴求力が高いプレミアムな広告枠に広告を掲出できた
- YDNとYahoo!プレミアムDSPで共通している広告在庫はあるものの、Yahoo!プレミアムDSP経由で配信した方が優先して掲載される傾向がある
- Yahoo!プレミアムDSPの運用はヤフーが担当。YDN運用で得た知見をGMO NIKKOからヤフーに伝え、密にコミュニケーションを取り合ったことでスピーディーに改善が進んだ
また「全体のROASが悪化しないか」という懸念も杞憂だったことが分かった。Yahoo!プレミアムDSP導入後のパフォーマンスを月単位で分析したところ、数カ月経ってもYDNを含めた全体のROASは悪化するどころか逆に上昇に転じるようになったとGMO NIKKOの椎名エグゼクティブマネージャーは話している。
Yahoo!プレミアムDSPの行動予測機能が大きく貢献
Yahoo!プレミアムDSPを使ったこの取り組みを、広告主はもちろん高く評価。最初は「手探りでいくつか試してみる“新しい取り組み”の1つ」という姿勢だったが、すぐに好パフォーマンスが出たことで顔色が変わった。
「成果が見込めて規模を拡大できるなら、すぐに予算を増やそう」と担当者は社内承認を取り、予算を増額。さらに当初は既存顧客のリピートを狙ったリターゲティング広告だけを展開していたが、新規顧客獲得のための予算も別途用意し、GMO NIKKOにそちらの運用も任せることを決めた。
GMO NIKKOは新規顧客獲得を狙う上でも、これまで培ってきた既存顧客向けのノウハウを生かし、リターゲティング広告の配信方法を最適化。一定の成果を安定的に収められるようになった。
そこで満足せず、もっと新規顧客を効果的に獲得するには、どうすればいいか。そう考え始めたとき、共にYahoo!プレミアムDSPを運用しているヤフーチームから、ある提案があった。
「Yahoo!プレミアムDSPを使って広告主様の課題をどのように解決するか。そのための活用方法も、私どもから積極的に提案させていただいております。今回の案件で、新規顧客獲得の規模をさらに拡大するために活用できると考えたのがYahoo!プレミアムDSPならではの『行動予測』という機能。その機能を使ってみてはどうかとご提案しました」(ヤフー マーケティング本部 テクノロジーソリューション部セールス1 伊藤政司マネージャー)
「Yahoo!プレミアムDSPは、Yahoo! JAPAN全体から収集したマルチビッグデータを利用しています。特に“マルチ”というところに強みがあり、Yahoo! JAPANでの検索ログ、Yahoo!ショッピングやヤフオク!の購買履歴、Yahoo!ニュースの閲覧履歴など100を超えるサービスの利用データなどを分析対象に加えてユーザーの興味・関心を把握できるのです。Yahoo!プレミアムDSP以上にマルチなデータを使ってユーザー分析できるDSPは、国内にはほとんどないのではないでしょうか。
そうして分析した結果から『この人は最近コンバージョンしたユーザーと同じ行動をし始めた』といった、コンバージョンの前兆を探り出し、広告配信の対象とするのが行動予測機能。従来のリターゲティング広告ではアプローチできなかった層にも配信できるため、潜在的な顧客を掘り起こすのに役立つのではないでしょうか」(ヤフー データビジネスユニット DSP 小西雅永サービスマネージャー)
そんな提案を受けて行動予測機能を使い始めたところ、「あれよあれよといううちに、行動予測が一番ボリュームの取れるやり方になった」(GMO NIKKO 小倉グループマネージャー)という。
導入しノウハウを蓄えながら運用改善を
このような成功事例が多数登場し始めている一方、残念ながら、Yahoo!プレミアムDSPを導入すればどの企業でもすぐに成功を手にできるわけでもない。
「GMO NIKKOでなかったら、これほど見事な成功を収められなかったでしょう。慎重にスモールスタートで始め、『本当に効果があるか。もっと規模を拡大できるか』とスピーディーに効果検証を繰り返した。そして、もともとYDNで蓄えていたノウハウがあり、それをうまく横展開したからこそ、成功に導けたのだと思います」(ヤフー 伊藤マネージャー)
伊藤マネージャーも触れたGMO NIKKOの「ノウハウ」とは、どのようなものなのだろうか。椎名氏は次のように説明してくれている。
「リターゲティング広告の最適化などの案件で、常に意識しているのは、タグの利用方法をできるだけ“立体的”に設計することです。広告主のサイトを訪問してくれたユーザーの中には、偶然訪れただけのユーザーもいれば、購入意欲が高いユーザーもいます。
プライベートDMPで扱う領域に入ってきますが、当社はYahoo!タグマネージャーを使ってユーザー情報を収集し、そこから『どのような行動を取ったユーザーに、いつアプローチすれば獲得につながるのか』といったノウハウを試行錯誤しながら集めてきました。YDNやYahoo!プレミアムDSPのパフォーマンスを高めるためには、このようにノウハウを蓄えながら運用を改善していくことが何よりも重要なのではないでしょうか」(GMO NIKKO 椎名エグゼクティブマネージャー)
Yahoo!プレミアムDSPの今後のロードマップ
Yahoo!プレミアムDSPは、今後ますます機能・サービスの両面で改善に努めていくという。近いところでは、「Yahoo! JAPAN内で配信可能な広告枠を増やし、他社媒体にも広告配信先を広げていくことで、広告掲載ネットワークを拡大していく」「Yahoo! JAPANの保有するマルチビッグデータの活用を視野に入れながら、入札エンジンを強化する」「Yahoo! JAPAN以外にも広告掲載されることに不安を感じる広告主のために、広告掲載面をリアルタイムに確認して、Yahoo! JAPANの基準に合致したサイトにのみ広告を配信することができるブランド保護機能を追加する」「ビデオ広告にも対応する」といった計画があるという。
このように、さらに強力なマーケティングソリューションとして成長を続けていくYahoo!プレミアムDSP。GMO NIKKOも拡販に向けて一層注力していく考えを示している。
「Yahoo!プレミアムDSPは、出稿金額の面からすべてのクライアントが容易に出稿できるものではないです。けれど、Yahoo! JAPANのプレミアムな広告枠に広告掲出できるというのはやはり魅力で、さらにマルチビッグデータを活用したオーディエンス設計と行動予測による運用で広告効果も良いわけですから、弊社の成功事例を多くのクライアントに共有し、YDN+Yahoo!プレミアムDSPの相乗効果を実感していただけるクライアントを増やしていきたいです」(GMO NIKKO 佐々木本部長)