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第106号(2024年10月号)
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MarkeZine Day 2015 FUKUOKA(AD)

ビジネス成果を最小コストで最大化するために、ブレインパッドが語るデータ活用最新事例

 「データ活用の先進企業は、社内外のデータを自由に組み合わせ、ビジネス成果を最小コストで最大化することに着手している」。そう語るのは、マーケティング領域でのデータ解析に知見の厚いブレインパッドの柴田剛氏。6月5日(金)に開催したMarkeZine Day 2015 FUKUOKAでは、実際の企業事例を含め、プライベートDMPでのデータ活用の最前線が紹介された。

プライベートDMPの成果が出始めている

 マーケティング領域へのデータ活用は、今や当たり前のものになっている。自社の顧客データを使ったCRMだけでなく、Web行動履歴や外部ソーシャルデータ、さらにはIoTを通じて得られるデータを掛け合わせた潜在顧客の拡張や、ダイレクトメールでのアプローチなどオフラインの既存ビジネスへの応用も実現している。

 「先行企業では、現状の構造分析と予測分析は当然のように行われ、制約がある中で成果を最大化するための最適化分析へと進んでいます」と語るのは、ブレインパッドの柴田剛氏。消費者のデジタルシフト、とりわけスマホへのシフトという環境変化を踏まえて、プライベートDMPを中心とした最新テクノロジーの活用で大きく成果を上げる例が出始めているのだ。

株式会社ブレインパッド マーケティングプラットフォーム本部 プロダクトマネージャー 柴田 剛氏
株式会社ブレインパッド マーケティングプラットフォーム本部
プロダクトマネージャー 柴田 剛氏

 2004年に設立後、10年以上にわたりマーケティング領域のデータ解析の第一線を走る同社は、現在アナリティクス事業、ソリューション事業、マーケティングプラットフォーム事業の3つの分野で企業を支援。特に柴田氏が携わるマーケティングプラットフォーム事業では、レコメンドエンジンを搭載したプライベートDMP「Rtoaster」や、運用型広告の自動最適化ツール「L2Mixer」などの独自開発サービスを提供しており、日本有数の大手企業をはじめ多くの企業に導入されている。

データ分析のレベルアップを

 前述の「構造(現状)・予測分析から最適化分析へ」「企業保有データから社外データを含む活用へ」といった変化のほかにも、データ分析周辺のトレンドの変化は著しい。市場はネットとリアルがシームレスになり、またデータ分析とビジネスの関係も変わっている。

 データ分析をビジネスのサイクルに組み込む企業が増え、さらにはデータ蓄積から分析、アクションと最適化までを自動化で回すことが可能になっている。柴田氏は「こうしたトレンドを押さえ、データ分析もレベルアップさせることが必要」と強調する。

 具体的に現在、どのようなマーケティング課題にデータが使われているのだろうか? 柴田氏は、次の3つを挙げる。まずは「緻密なターゲティング」。生活者が多様化しているからこそ、ピンポイントでターゲットに合った情報提供ができるかがカギを握っている。次に「カスタマージャーニー体験の創出」。生活者の動線上で、どのような接点を持つかが重要だ。そして「コミュニケーションプランの構築」。ターゲティングと体験を元に、最適なコミュニケーションを図ることが求められている。

 「最適な形でデータを蓄積し、分析し、知見を活かすことで、これらの課題を解決し大きな成果を得ることができます。マーケティングにおいてデータ活用は、もはや必須のものなのです」(柴田氏)

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データ活用で成果を上げる「4つのキーワード」

 実際にデータを使ってビジネス成果を上げていくために、どのような切り口で考えていけばいいのだろうか。柴田氏が挙げるのは、次の4つのキーワードだ。

  1. 最適化
  2. チャネル横断
  3. アクションにつながる分析
  4. 最新技術

 ひとつ目の最適化は、物流の配送ルート最適化や、ホテルの部屋のプライシング最適化、あるいはネットの運用型広告の入札最適化といった部分にすでに使われている概念だ。中でも具体的に語られたのは、Webサイトの最適化。今、訪問者によって表示するコンテンツを切り替えているサイトは少なくない。

 Webサイト最適化の方法には、大きくセグメンテーションとパーソナライズの2つがある。例えば大手ハウスメーカーは、ブレインパッドのプライベートDMP「Rtoaster」を活用し、トップページの表示コンテンツを自動最適化。物件詳細への誘導数が13倍、キャンペーン申し込みなどのCVRが13.4%増加した。適切なセグメンテーションによって、検討期間が長い商材への関心を引き上げた。

 セグメンテーションは特徴の似た人を集め、コンテンツを最適化することで、顧客育成や離反防止につながる。一方パーソナライズは、膨大な商品や記事を“その人”向けに抽出することが可能だ。「この2つは、それぞれ得意分野が違います。併用することで、さらなる効果が見込めます」と柴田氏は語る。

Webサイトにおける最適化のポイント
Webサイトにおける最適化のポイント

鍵は「チャネル横断」した顧客の育成

 キーワードの二つ目「チャネル横断」とは、広告やサイトやアプリ、メール、さらにコールセンターなどの多様なタッチポイントを横断して同一ユーザーを検出することだ。今、生活者はそれぞれのタッチポイントを特段意識せず、自由自在に動いている。「Webサイトではロイヤルカスタマーとして扱っているなら、それ以外のチャネルでも同様に対応する必要があります」(柴田氏)

 実際に、チャネルを横断した顧客対応をどのように実現しているのだろうか? あるアパレル企業では、「Rtoaster」にまずWebサイト訪問のデータを蓄積。それを元に最適なレコメンドや広告を表示し、メールの内容にも購入確率が高い商品の情報を掲載。さらにこの分析をオフライン施策であるダイレクトメールにも応用、郵送費ほかのコストを踏まえて「購入確率が高い人のみに送る」ことが可能になった。

 「Rtoaster」に蓄積した顧客情報は、コールセンターでの細やかな応対に活かすこともできる。また、iBeaconなどを連動させれば、実店舗への来店情報との連携も可能だという。

 さらに発展的な事例として、ある情報提供サイトでは「Rtoaster」に加えてマーケティングオートメーションツールの「Probance Hyper Marketing」を採用。メールの自動最適化を中心に、One to Oneマーケティングが実践されているという。

「ポイントは、チャネル共通でセグメンテーションし、全体を俯瞰したマーケティングシナリオを描くこと。これを整備することで、LTVの最大化につながります」(柴田氏)

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「アクションにつながる分析」でLTVを最大化

 データ活用におけるキーワードの三つ目「アクションにつながる分析」とは、冒頭で解説された「ビジネス成果を上げるためのサイクルに分析を組み込む」点に関連している。柴田氏は、「分析の目的には、セグメント定義を決定するためと、マーケティング施策の精度向上のための2つがあります」と語る。これらを見極めて取り組むことが、より効果を得るポイントだ。

 セグメント定義を決定するための分析は、リレーションシップマネジメントに大きく寄与する。例えば定期購入メインの通販商材の場合、リピーターにインセンティブを付与することでLTV向上に大きな効果が見込めるが、果たして何回目のリピートから「優良顧客」と定義し優遇すれば効果が最大化するのかは、商材によってまったく異なる。この見極めに、データ分析が活かせるのだ。

 「分析によって、最適なセグメントとアプローチを明らかにすることができます。初回購入へ背中を押す、2・3回目のリピートを促すなどの各段階をつなぎ、スムーズに次のステップへ進んでもらうことも可能です」(柴田氏)

 そして「マーケティング施策の精度向上」とは言葉の通りだが、柴田氏は「顧客属性と購買履歴にWeb行動履歴を加えること、さらにオンラインデータをDMやカタログ送付といったオフラインへも活用することが発展のカギ」と指摘する。

人工知能、機械学習……「最新技術」でマーケティングを進化

 最後のキーワードは「最新技術」。データ分析の領域も、他のデジタル領域と同様に技術の進化が著しい。ブレインパッドでは、同社のツールを導入する企業とも協業しながら、常に新しい取り組みを模索している。

 例えばビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」では、「Rtoaster」を導入したユーザー分析と最適なコンテンツ表示に加えて、非構造化データ扱いとなる個別記事の解析も行っている。膨大にある記事を機械でクローリングし、自然言語処理エンジンで解析することで、個別記事にタグを付ける。それによって、ユーザーへのより正確なレコメンドが可能になり、得られたアクションデータをまた異なるチャネルでのレコメンドにも活用するという仕組みだ。

 言語処理エンジンのこうした活用は、人工知能や機械学習などに強い技術基盤を有するMynd(マインド)株式会社が今年ブレインパッドの傘下となったことでさらに強化されている。今後、ともにサービス機能拡充を図っていくという。ほかにも、Yahoo! DMPをはじめとする他社DMPとの連携にも積極的だ。

 「外部データを含めた複数の種類のデータを組み合わせ、オンライン・オフラインを問わずひとりの人に一貫した対応ができるようになれば、既存のビジネスが大きく拡大します」と柴田氏。その実現に向け、ブレインパッドでは単なるツール提供に留まらず、外部協業という形で企業のビジネス支援を続けていく意向だ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/07/09 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22593