「求人応募率の改善に動画広告も使えるのでは?」
ビズリーチは、インハウスマーケティングによって成長を続けている企業だ。同社が展開する20代~30代前半向け転職支援サービス「キャリアトレック」も、デザイナーやエンジニアなど各領域を担当するメンバーがチームを組んでマーケティングを進めている。その甲斐あってか、2014年4月ローンチから1年強でユーザーは13万名以上、掲載企業も3,000社を超える。
この「キャリアトレック」マーケティングチームが、Facebookの動画広告を活用したキャンペーンを行ったところ、面白い結果が出たという。今回、施策を取り仕切った小林氏に詳しい話を聞いた。
現在、小林氏らマーケティングチームはサービス会員の獲得から成約(=転職)までの動きを一気通貫でチェックしたマーケティング施策を行っている。「サービス立上げの時は、とにかく会員数を増やす努力をしました。ですが、ひと山越えると、会員登録数だけを重視してもサービスが成長しない感覚をもったのです」と小林氏。
会員登録の最適化は進んでも、求人応募率の改善は追いついていない状態だったという。そこで、通常のバナー広告だけでなく、キュレーションサービスやメディアへのタイアップ記事など、様々な広告出稿にチャレンジした。すると、接触時間が長く、コンテンツ重視の広告からは約2倍の応募率が見られた。これがブレイクスルーのきっかけだという。
「これまで、獲得や応募数・応募率の改善にはダイレクトレスポンス広告(以下、DR広告)、認知拡大などブランディングなら動画広告という認識を持っていました。そのため、応募数や応募率の改善に対して、動画広告が効果を発揮するかについても懐疑的だったのです。ですが、過去に実施したタイアップ記事の結果を見ていると、動画広告もポテンシャルがあるのではと感じました」(小林氏)
動画広告を活用することでユーザーファネルの手前で需要をつくり認知を高め、会員登録・求人応募・成約というコンバージョンまでもっていけるのではないか、小林氏はこのような仮説を立てた。TVCMを打つことが決まっていたタイミングだったこともあり、2015年4月上旬から2週間、TV用の素材を流用したマーケティングキャンペーンを行うことにした。Facebook動画広告を活用した理由は、動画広告がもたらすコンバージョンの効果を明確に測定できる環境がFacebookにはあるからだという。
3グループに分けた広告配信、その結果は
動画広告の効果を実証するため、ターゲット層を次の3つのグループに分割。広告を配信し、動向を検証した。ちなみに、今回配信した動画広告はLPへの誘導も一切ない、完全に動画だけを見せる方式のもの。
- グループ1:DR広告のみ配信
- グループ2:DR広告と動画広告を配信
- グループ3:広告を配信しない
「テストのイメージとしては、医薬品の治験のようなものです」と小林氏。一般的なテストでは、因果関係と相関関係が曖昧になるおそれがある。例えば、広告を見る前から商品の購入を予定している人に広告が当ったとする。この場合、コンバージョンと広告に因果関係はない。しかし多くの場合、広告に当たったからコンバージョンしたと結論付けてしまう。
そこで、キャンペーンが始まる前に広告が当たるべきターゲットをランダムに分けて、グループをつくったという。「Facebookの場合、クッキーではなくユーザーIDで管理するため、厳密なコントロールができます」と小林氏。テストを行った結果、ユーザーファネルとCPA、2つの側面で結果が見られた。