ヤフーの広告を扱うプロとして認定 Yahoo!プロモーション広告 プロフェッショナル認定試験
MarkeZine編集部(以下MZ):今回の連載では、約5年にわたり展開されている「Yahoo!プロモーション広告 プロフェッショナル認定試験」に注目しました。おととしに試験が2種類になった際、MarkeZineでも紹介しましたが、その後も順調に受験者数が伸びているそうですね。
栢原:はい、おかげさまでたくさんの方に受験いただき、毎年受験者数は増加傾向にあります。
MZ:まずは試験の概要について、簡単に教えていただけますか?
栢原:Yahoo!プロモーション広告についての習熟度を認定する試験です。おととしにリニューアルし、主に基礎知識を問う「ベーシック」と、運用知識を問う「アドバンスト」の2種類になりました。年々機能追加や変更などに伴い、広告を運用する力がさらに問われるようになりました。そのため、より実践的なコースを新たに設けることになりました。
MZ:それぞれの試験は、どのような内容なのですか?
栢原:ベーシックが基礎知識を中心に問う内容で60分、60問。アドバンストは基礎知識と運用知識を問う内容で80分、80問です。内容はどちらも、スポンサードサーチとYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)についてがメインで、その他サービス全般、マーケティング知識を問うものもあります。
試験の結果は1000点満点に対して問題に対する正解数に応じ点数で表していて、860点以上を獲得された方を認定し、当社から認定ロゴをご提供しています。名刺などにロゴを挿入できるので、Yahoo!プロモーション広告の運用について専門スキルがあることの証明に使っていただいています。
通常、資格試験や認定試験は年度末の3月と、5、6月の受験者数が多いといわれ、当社でも同じような波があります。今年は特に6、7月の受験者が多かったので、新入社員の方や、春から新しい職務に就いた方が研修を終えて受けられたのだろうと思っています。
MZ:1000点中860点が合格ラインというのはかなり高い印象ですが、認定率は?
栢原:全体の受験者数の3割程度です。そのくらいの難易度を維持できるように、問題を調整しているんです。当社としての「知識がある/運用できる」ことの公式な認定なので、認定者の質が保たれるようには常に意識しています。
ちなみに、認定は2年間有効としています。機能追加や変更など発生しますし、試験内容も都度調整しているので、2年たったら再度受験し、取り直していただくことをお勧めしています。
MZ:皆さん、何をいちばんのメリットと捉えて受験されているのでしょうか?
栢原:やはり、「営業に有利になる」という点がいちばんですね。受験者の8割以上が広告会社の方で、認定ロゴの獲得を目指して受験されています。自社の信頼性向上や社員のスキルアップのために、会社として受験を勧めている広告会社さんも多いです。
Yahoo!プロモーション広告のプロフェッショナルとしての認定は、クライアントさんからの信頼にもつながりますし、広告会社の数も多く競争も激しい中で、この認定を他社との差別化に活かしていただいています。
MZ:なるほど。では、広告会社さんの声も聞いてみましょう。
GMO NIKKO:運用クオリティの担保/資格取得で個人の自信につながる
インタビューイプロフィール
- 会社名:GMO NIKKO株式会社
- 部署・役職:コンサルティング本部 本部長
- 氏名:冨岡信之氏
- 役割:本部責任者
MZ:貴社の特徴を教えてください。
冨岡:インターネット広告事業を展開する会社です。特にGMOインターネットグループの技術力を背景としたアドテクノロジーと、これまでの実績にもとづくクリエイティブの領域に強みを持ち、技術力を存分に発揮した自社ツールや自社メディア、またツールやメディアの提供に縛られないコミュニケーションプランニング(企画)やクリエイティブ(制作)を提供しています。クライアントの課題解決にコミットし、その解決のために必要なものを選定する“目利き”や、商品開発にも力を入れています。
MZ:広告の営業、運用にあたって、貴社内でお持ちの課題はありましたか? その課題は認定試験を受けることによって解決されましたか?
冨岡:GMO NIKKOのサービスを多くのクライアントへ提供し、顧客貢献につなげていくために、運用型広告の人材育成は必要不可欠になっています。その中でも、未経験者の育成についてはGMO NIKKOの中で大きな課題でした。
そこで、未経験者育成の一つの達成基準としてプロフェッショナル認定試験を取り入れ、現在では組織とメンバーにとって有効なマイルストーンとなっています。今後、企業がマーケティングに取り組む際に、デジタル領域は必要不可欠です。運用型広告に精通した人材の絶対数を増やしていくことは、顧客の成長、ひいては広告業界成長に直結する非常に大事なミッションであると認識しています。
MZ:プロフェッショナル認定試験に対して、どこにメリットを感じていますか?
冨岡:次の3つのメリットを感じています。
- 運用品質の担保と組織力の向上…運用品質を向上させるための組織ボトムアップの有効なツールである
- メンバーの自信獲得…運用型広告は学ぶことが多岐にわたりゴールが見えにくい中、メンバーの学びの指針となり、合格者に対して自信を与えられるわかりやすいツールである
- クライアントへの安心感…クライアントから安心して仕事を任せていただくための重要な基準である
MZ:今後、この認定試験をどのようにご活用される予定か教えてください。
冨岡: GMO NIKKOでは、コンサルタントの成長を可視化しています。これは、われわれの仲間になったメンバーが、最短かつ最大に成長するための仕組みです。その中の要件の一つが認定試験で、今では必要不可欠なツールになっています。このおかげで未経験者が活躍できる土壌が整い、未経験で入社しコンサルタントまで成長したメンバーがクライアントのKPIにコミットするなど、実績が出はじめています。
MZ:受験にあたって何を参考に勉強されているのか教えてください。また受験促進のため貴社内で行っていることはありますか。
冨岡:GMO NIKKOでは、基礎力を養う研修プログラム、実践力を養うOJTを行って知識を深めていますが、これらの達成要件の一つとして認定試験の合格を定めています。教育する側も教育を受ける側も、認定試験の合格を意識しながら知識を吸収し、実践に励んでいます。
MZ:今のプロフェッショナル認定試験について、もしご意見があればお聞かせください。
冨岡:課題解決領域が日々広がっていると感じています。デジタルマーケティングの市場トレンドにあった試験内容(鮮度)に力を入れて頂けると幸いです。
リーチローカル・ジャパン:コミュニケーションの質向上/信頼感を得る手段に
プロフィール
- 会社名:リーチローカル・ジャパン
- 部署・役職:タレントデベロップメントマネージャー
- 氏名:伊澤俊介氏
- 役割:社内の人材育成を担うチームを担当。新入社員研修を中心とした講師業務、現場が主導して開催する勉強会の企画や運営のファシリテーション業務に加え、業務に関連する資格取得をサポート。
MZ:貴社の特徴を教えてください。
伊澤:米国に本社を持つグローバル企業ReachLocalの日本法人です。2012年から日本で営業を開始しております。「インターネットを通じて、地域に根差す企業の成長を後押しします。」をミッションに掲げ、主に中堅中小規模の企業様に対して世界17カ国で展開されている独自のインターネットマーケティングプラットフォームを活用し、広告効果の見える化と費用対効果の最大化を支援しています。
特に、弊社が持つリスティング広告経由の通話トラッキングができる仕組みによって、これからインターネットマーケティングにはじめて取り組むという企業様からのご相談も多く寄せられています。
MZ:広告の営業、運用にあたって、貴社内でお持ちの課題はありましたか? その課題は認定試験を受けることによって解決されましたか?
伊澤:中途採用で入社する営業メンバーの中には、インターネットマーケティングの領域はもちろん、リスティング広告の運用についてほとんど経験のない人が少なくありません。ひととおりの新人研修は行いますが、奥の深いリスティング広告の全てを限られた期間の研修でカバーするのは簡単なことではないため、育成は重要課題と考えておりました。
そんな中、認定試験の合格を目指して勉強をすることで、まずはお客様に正しい情報をお伝えすることにより、お客様の知識レベルが向上し、さらに営業メンバーは自分が得た知識でお客様の問題解決をお手伝いできたという成功体験が成長を促しています。また、お客様が弊社をお選びいただくきっかけになったケースも聞かれるようになりました。
MZ:プロフェッショナル認定試験に対して、どこにメリットを感じていますか?
伊澤:個人としてのメリットと会社としてのメリットを感じています。
まず個人のメリットですが先ほど申しあげたように、正しい知識を身につけることでお客様とのコミュニケーションの質が、一定以上のクオリティを保つことができていると感じます。その結果、自信につながっているようにも感じます。
次に会社としてのメリットですが、個人的にはこちらの方が大きいと感じます。社外に向けては、試験に合格している人が「いる」というだけでなく「何%が合格している」という打ち出し方をすることで、私たちのサービスが均質的であることをアピールできます。競争が激しい状況だからこそ、お客様に対して一つでも信頼を得るポイントを提供したい。そういった面からプラスになると感じます。
MZ:今後この認定試験をどのようにご活用される予定か教えてください。
伊澤:資格試験はあくまでも机上の話です。今回何度か申しあげているような、知識が一定レベルを超えているという目安として活用するという路線は変えないつもりです。
つまり、合格したら大きく評価を加点するというよりも、全員が当たり前のよう到達すべき基準として社内に浸透させていければと考えています。具体的には、新人研修に組み込んで卒業要件としたり、社内で合格者による勉強会をファシリテートしたりといったところでしょうか。
MZ:受験にあたって何を参考に勉強されているのか教えてください。また受験促進のため貴社内で行っていることはありますか。
伊澤:合格に向けて一時期はいわゆる一斉講義もしましたが、現在はこれに限らず個別指導塾のような形式にしています。各メンバーとカウンセリングをして目標と実力の差を埋めるために何が必要か一緒に考え、実行をサポートする方法です。
ここでアクションプランの一つとして資格取得を提案するようにしています。「自分事」として捉えてくれるので一斉講義よりも納得感があり、前向きに勉強に取り組めるようです。当たり前な話ですが、モチベーションが高い方が一生懸命勉強してくれますので。
伊澤:勉強方法も個別にアドバイスします。皆、日々の業務で勉強時間が限られますから、重点的に勉強する部分とウェイトを下げる部分のメリハリをつけることが基本方針ですね。はじめに練習問題を解いて得手不得手を明らかにし、苦手部分をいかに克服するかに集中して取り組みます。全範囲を1~10まで全部学習しようとするのは効率が良くないと考えています。
MZ:今のプロフェッショナル認定試験について、もしご意見があればお聞かせください。
伊澤:他社の認定試験との比較になってしまいますが、受験料の負担がある以上、それに見合う価値がはっきり分かるとありがたいと感じています。たとえば、プロモーション活動をもっと積極的に行っていただき、資格の認知度や権威を高めていただければ、取得を促す会社のメリットはもちろん、個人が取得を目指すモチベーションも高くなるのではないでしょうか。
さらに発展するYahoo!プロモーション広告 プロフェッショナル認定試験
MZ:再び、栢原さんに伺います。アドバンストコースを設けてから、受験者側の変化はありましたか?
栢原:最初からアドバンストにチャレンジされる方も少なくないですね。実践的な運用スキルを備えた人材の育成は、業界的にも課題になっているので、アドバンストの認定取得を職務の条件にしている広告会社さんもあるようです。
MZ:広告会社さん側でも勉強法を工夫されていましたが、御社お勧めの勉強法があれば教えてください。
栢原:はい。大きくは3つあります。まず、Yahoo!プロモーション広告の公式ラーニングポータルに、基礎知識をひと通り掲載しています。また、サポート情報コーナーに、ヘルプや用語集があります。
2つ目としては、実際の試験内容に近い練習問題を認定試験サイトで公開しています。いろいろなルールの変更に合わせて練習問題も改変していまして、例えば広告掲載基準に関する問題などは、具体的にどんな表現が可能でどれが不可なのかをこうした場以外で紹介するのが難しいので、実際の運用にも役立ちます。ここはぜひ試験前にチャレンジしてほしい内容です。
3つ目が、サーチライフ社の展開する研修サービス「ジッセン!」にてオンラインでの対策講座を提供しています。無料会員でも3動画までは無料で閲覧することができますので、ぜひこちらも活用いただけたらと思います。
MZ:最後に、今後の目標などありましたらうかがえますか?
栢原:今、年間10%ほど受験者が伸びているので、さらに受験者数のアップを目指します。また、今回GMO NIKKOさま、リーチローカル・ジャパンさまからいただいたご意見なども、本認定試験改善の参考にしていきたいですね。
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