広告費をかけず急成長した背景に「モバイル環境」と「口コミ環境」の充足
宮田氏は「顔ちぇき!」の急速な普及には、コンテンツ自体の面白さや、それを支える技術もさることながら、環境的な要因が大きいと語る。つまり、定額制や勝手サイトの認知拡大、カメラ携帯の普及といったように携帯電話を取り巻く環境そのものに大きな変化があったこと、そして、従来のメディアにインターネットや携帯電話などを連動させたクロスメディアによるダイナミックな口コミが可能になったことがあげられる。事実、広告活動にはいっさいの費用をかけていない。
この口コミを生む環境として、特にSNSやブログの存在は大きい。サービスを開始した日の夜の時点で「顔ちぇき!」の利用結果に関する記述が3000件以上もあり、そこからの誘導で急速に「顔ちぇき!」へのアクセスが増加したという。さらにその勢いを加速させたのが、テレビ放映と検索エンジンの連携であった。テレビ放映前後で検索サイトを経てのアクセス数が飛躍的に急増。特にテレビやラジオをみながらの作業が可能である「携帯の検索サイト」からの直接リンクが多かったという。
宮田氏は「SNSで火がついて十分に人気が出たと思っていたが、改めてマスメディアと検索エンジンというクロスメディアによる効果を実感した」とその当時を驚きを込めて語った。
「顔ちぇき!」の成功を糧に、「見たままを検索する」コアコンセプトを追求
今後、「顔ちぇき!」においては、映画や商品、アーティストといったスポンサード企画が目白押しである。直近では、大手通販会社ニッセンとのタイアップでおすすめの香水を判定する『香りちぇき!』が10月末に開始されたばかり。また、オリジナルの企画としても、アスリートやミュージシャンといった判定要素や占い、ニュースなどのコンテンツを拡充し、近いうちに会員化を進める予定だ。
しかし、宮田氏は「顔ちぇき!」を成功事例として評価しつつも、同社の事業の一部であり、多面的にジェイマジックとしてのコアコンセプトを追求していきたいと語る。ジェイマジックは、『顔ちぇき!』など一般消費者向けの「メディア事業」の他に、画像検索エンジンなどを提供する「OEM事業」、研究機関などと連携してサービスや技術を開発する「ラボ事業」、そして開発したメディアやソリューションを海外に展開する「海外事業」などを事業の柱としている。
その基盤となるコアコンセプトは、文字で調べようがないものを『見たままに検索する』こと。それを実現する技術は既に実現しているものも多く、それらの効果的な活用によって、さまざまなサービスが可能になるという。たとえば、携帯電話で撮影した画像を自動的に認識して、関連情報を調べることができる『eyenowa』なども同社のサービスだ。
また、NTTドコモ、三菱電機との共同による『ウェルネス携帯』や、CDに携帯カメラをかざすだけでそのCDの楽曲を試聴できる『Magic Loupe』などの開発にも大きな注目が集まっている。宮田氏は「当社の持つ技術力と発想力で、より豊かなモバイル文化へと貢献していきたい」と述べ、セッションを結んだ。