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MarkeZine Day 2015 Autumn(PR)

イノーバとSATORIが教える、「BtoB企業のための失敗しないMA導入・運用のコツ」

 注目を集めるマーケティングオートメーション。しかし、「ツールありき」の発想で導入した結果、「使いこなせていない」という企業も多く見受けられるという。MarkeZine Day 2015 Autumnでは、イノーバとSATORI、各社の代表取締役である宗像氏と植山氏が、自社の導入事例をもとに、BtoB企業における“失敗しないMA導入・運用のコツ”について解説した。

「MAを導入したものの……」状態が出はじめている

 近年、急速に注目を集めるようになった「マーケティングオートメーション(以下、MA)」。だが、すでに「使いこなせていない」という企業も多く見受けられるという。失敗しないMA導入のためには、何をすべきなのだろうか?

 MarkeZine Day 2015 Autumnでは、コンテンツマーケティング支援を手掛けるイノーバの宗像氏と、マーケティングオートメーションツール「SATORI」を開発・提供するSATORIの植山氏が、自社製品の導入事例をもとにBtoB企業における“失敗しないMA導入・運用のコツ”について解説した。

株式会社イノーバ 代表取締役社長 宗像 淳氏(左)、SATORI株式会社 代表取締役 植山 浩介氏(右)
株式会社イノーバ 代表取締役社長 宗像 淳氏(左)、SATORI株式会社 代表取締役 植山 浩介氏(右)

 MAの盛り上がりの背景には、大きな市場の変化があるという。「米国の大手調査会社のリサーチによると、BtoBにおいても、企業の92%は製品・サービスの購入前にネットリサーチを行い、買い手企業はサプライヤーへの連絡前に購買意思決定の6割を済ませている。また、 2020年までに、BtoB取引の85%が非対面でやり取りが行われるようになるという予測も出ています」(宗像氏)

鍵は「非対面チャネル」での「自社コンテンツ」による顧客育成

 特に、BtoBにおいては“情報収集はWebで”という傾向は著しく、営業担当者=情報源という認識は30%であるのに対し、企業Webサイトに対しては50%が情報源として認識しているという。買い手からすると営業担当者に会うより、Webサイトで情報を集めることの方が多いのだ。

 売り手主導から買い手主導にシフトし、買い手は営業担当者が会う前に多くの意思決定を済ませてしまう現在。企業は何をすべきだろうか? 植山氏は次の3点が重要になってくると説明する。

 1)顧客が必要とするコンテンツを自社で用意し、
 2)非対面チャネルを通して(営業マンが会う前に)届け、
 3)有効商談となりそうな適切なタイミングを逃さず、営業担当者に渡す。

 「この3点がこれからのBtoBマーケティングの肝になります。MAはその3点を解決するツールとして注目を浴びているという訳です」(植山氏)

MA導入から運用まで、4つの落とし穴と対策

 これだけ注目され、導入が進んでいるMAツールだが、宗像氏、植山氏は失敗しがちなポイントを、「非対面」「コンテンツ」「有効商談定義」「運用・体制」それぞれの面で取り上げる。

 両氏はそれぞれの専門的な立場から失敗の原因について解説した。

落とし穴1:コンテンツがない!(コンテンツ)

 MAツール導入をきっかけに、顧客による自社商材の購入プロセスを整理して、各プロセスに対応するコンテンツの有無をマッピングすると、コンテンツが営業資料しかなかった、というケースをよく耳にします」と宗像氏。MA導入をきっかけとして、改めて必要なコンテンツが何かを考える“コンテンツ整理”に取り組む企業は非常に多いという。

 文化的にマーケティングが重要視され、人材、予算およびリテラシーも潤沢な米国においてもMA運用課題の2位に「十分な量のコンテンツを適切なコストでどうやって作っていくか?」が上がる。それが、日本ではさらに大きな問題になりつつあると宗像氏。

 「MAは言うならばカッコイイ車。リードスコアリングや行動トラッキング、ナーチャリングの自動化など魅力的な機能が付いているので、飛びつきたくなる。ですが、車を乗りこなすためには準備が必要です。どのようなタイミングでどんなコンテンツを出すかを、まずは考えることが必要です」(宗像氏)

落とし穴2:使いこなせない(運用・体制)

 米国において、MA導入の課題に「ツールが複雑で使いこなせない」「営業とマーケティングの連携不足」があがるという。運用体制上の課題は、縦割り組織の多い日本ではさらにその傾向は強いと宗像氏は語る。

 「MAを導入する際には、各部署の役割分担や、何に対して責務を負うかを予め定める必要があります。この連携なしに進めてしまうと、営業部門が使ってくれないなどまさに“導入したものの”状態になってしまいます」(宗像氏)

 もう一つの課題である複雑さについて、宗像氏は「ツールを選ぶ際には自社でどう使いこなして効果を出すのか、という視点を持つことが重要」と説く。MAツールには最先端の機能が多く盛り込まれていることが多い。使いこなせてこそメリットの大きいツールであるが故に、学習難易度等を考えることが大切だ。

落とし穴3:スコア1万点!?(有効商談)

 有効商談の獲得と抽出にはスコアリングのロジックが大事だが、MA運用を始めた企業がぶつかりがちな課題として、「まさにそのスコアがあてにならない」というものがある。見込み顧客の優先順位付けを行うためには、「スコア」は重要な指標だ。しかしながら、現場では「1万点にすぐ到達してしまう」「100点と90点の違いはどう考えればよいのか」という声も多く、結果として有効商談は目視で確認するしかなく、スコアが高い相手だから受注するわけでもなく、スコアが低い相手からの受注もあるため、非常に困っているという。このような誤ったスコア設定の状態でMAを運用すると結果につながらない「ゴミ商談」を量産するだけだ。では、なぜこうなってしまうのか?

 植山氏はスコアが、顧客の「属性」「興味」「活性度」の切り口で決定されることに触れ、「非常にロジカルで納得感がある作り方」と評しながらも、「スコアという一次元表示の限界と、実際の顧客の意思決定プロセスとの齟齬をきちんと理解しておく必要がある」とスコアリングの限界を説明する。

 実際SATORIの事例でも、顧客接点回数を単純計算したものに対し、実際の受注データに基づき相関があった正負の項目ランキングを比較すると、マーケティング側が想定している加減点とはかけ離れていることがわかったという。

 この齟齬を埋めるには、「マーケティング担当者が主観でスコアを作るのではなく、まずは顧客の意思決定プロセス(バイヤージャーニーを営業担当者と一緒に考え、そこに付随した指標を取り出すことが重要。スコアは後からでも遅くない」と強調する。

落とし穴4:メルマガで受注減?(非対面)

 MAツールの狙いとして「非対面チャネル」での顧客コミュニケーションがあり、MAツール各社はメールマガジンでの顧客育成を謳っている。しかし、MAツールのそういった謳い文句に目が行き過ぎて「メール配信の施策をどうすべきか」「メールの反応が下がっている」という悩みに取り憑かれる担当者は少なくない。確かにメールを用いたリードナーチャリング(条件分岐による情報提供)によって見込み顧客を育成する手法は効果が高いとされるが、当然ながら限界はある。

 「BtoBマーケティングにおいては、メールによるリードナーチャリングよりも先に行うべきことがたくさんある。そもそも、メールマガジンって、あまり読まれないですよね」と植山氏。例えば、SATORIを導入する企業のなかには、Facebookのリマーケティングで商談を2倍にしたり、Web接客で商談を115%にしたりすることに成功している場合もあるという。メールマーケティング以外の施策も活用する視点を持つことも大切だ。

全体最適化こそ重要、「勝ちパターン」を探せ!

 こうした「お困りごと」を踏まえて、植山氏はマーケティングの全体最適化におけるポイントを4つ紹介する。

 まずは解決すべきマーケティング課題をはっきりさせること。そして、メールに固執せず、Facebookやコンテンツマーケティングなど様々な施策を検討すること。3つ目に、チャレンジの過程で、クロスドメインや外部サイトなど顧客を把握できそうな様々なデータを多数取り込むこと。その上で、バイヤージャーニーに当てはめて有効なデータを取り出し、そこから自分たちの「勝ちパターン」を作ることだ。

 ここで植山氏は、ある法人営業支援のサイトの事例を紹介。そこでは成果の上がっている施策として「比較資料のダウンロードが肝」であることに着目し、コンテンツマーケティングによる認知度アップや、比較サイト閲覧ユーザへのチャット接客などを開始したという。スコアを決めず、マーケティング担当者と営業担当者が協議して決めた「顧客セグメント」を定義し、それぞれの顧客セグメントへ「Facebookリマーケティング」「Web接客」「メール」「インサイドセールス」などを実施して成果をあげている。

 また、BtoCだが、興味深い例として某自動車メーカーの成約データから“スクロール量”と成約が相関関係になることを発見。スクロール量が多い閲覧者に対して特別なコンテンツを提供するという試みを開始しているという。こうした「成功の指標」「勝ちパターン」を見いだせるのも、様々なデータを取得し、分析したからというわけだ。

顧客理解を前提にしたツール選びを

 最後に宗像氏は、「スコアリングは万能ではない」と前置きし、「顧客は複雑であり、数値だけを見ていても掴めない。それよりも様々な方法で顧客と向き合い、理解しようとすることが大切。そのためにもMAツールはシンプルな形で効果検証、改善が可能なものが望ましい」と顧客理解を前提にしたツール選びの重要性を説く。

 「ツール選定の際は機能ありきではなく、自分たちに必要なものがあるか、導入後に使いこなせるかを考えていただきたい。イノーバもSATORIもMAツールを提供している競合ですが、それぞれに強みが異なります。ぜひ、自社に合ったツールを選んでいただきたいと思います」(宗像氏)

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/17 11:00 https://markezine.jp/article/detail/23336