SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2015 Autumn

アドテク、動画広告、ネイティブ広告のこれから【デジタル広告市場動向調査最新アップデート】


アドテクを使い倒すために必要なスキル

野下:アドテクの利用者側に求められるスキルや、広告運用のインハウス化についてはいかがでしょうか。

西井:アドテク普及に伴い、求められるスキルは2つあります。第一に、テクノロジーを理解・活用できること。たとえばDSPやDMPのレポートで妙な数字が上がってきたら、「クッキーデータが破損しているのかも」と直感的にわかるスキルです。

 第二に、クリエイティブに対する感性です。以前は「いい広告枠を買えばコンバージョンが良い」という定石がありましたが、今は「面」と「クリエイティブ」の掛け算が高くないと、コンバージョンにつながりません。そこでクリエイティブに突き抜けた感覚を持つことが必要になってきます。もちろん、一人ですべてに対応はできないので、社内組織としてこの2つの側面を持つことが求められていると感じています。

菅原:トレーディング事業者の視点からアドテク運用に必要なスキルを選ぶとすると、「仮説を多く出せる」スキルを挙げます。これまでの純広告(純広)やテレビ広告では、まずプランニングをして広告代理店に投げ、1~2か月後にレポートを見て、3か月後に調整するという形で動かしてきました。

 一方運用型広告では、スモールスタートで広告を配信し、結果を見てすぐに改善していかなくてはなりません。純広やテレビ広告がプランニングからスタートするのに対し、運用型広告は配信がスタートになる。なので数字を読めるスキルと同時に、仮説を検証して正解を目指すスキルが必要。やり方も考え方も変えなくてはなりません。

西井:運用型広告はきちんとやれば必ず成果が出ますが、それに行き着く前に止めてしまうケースがありますね。そんな事態を防ぐには、菅原さんがおっしゃるように、成果を出すための新しい組織に変わらなければならないと思います。

板澤:ちなみに皆さんは、数字をどうやって見ていますか。当社では数字への感覚を高めるため、A3の紙に印刷して、それを皆で見ているのですが。

菅原:当社も紙を活用しています。紙のいいところは、同じ資料を見てコラボレーションが進むこと。データを見ながらメモを書き込むことも可能ですし、最強のコラボレーションツールと言えるでしょう。BIツールは、常にデータを画面に表示させる壁掛け時計のような存在ですね。こんな使い分けも、組織作りのポイントになるかもしれません。

指標は? バズる方法は? 効果は? 尽きない動画指標の悩み

野下:さて、動画広告について見ていきましょう。板澤さんから「動画広告の指標について、試行錯誤を重ねている状況」という話をいただきましたが、これについて詳しくお願いします。

板澤:動画広告の指標についてはかなり悩んでいます。今はテレビ広告と同じように、間接的な影響力調査などを行っていますが、果たしてこれで良いのか。同じく苦慮しているのが、動画広告そのもののベストプラクティスです。作った動画がバズってくれれば良いのですが、狙いすぎると失敗する。この2つが動画広告における課題です。

西井:菅原さんに聞いてみたいのですが、動画広告についてわからないことがあります。実は以前、動画広告を配信したのですが、CPCに対してコンバージョンが圧倒的に低く、割に合わないという印象で終わりました。CPCは悪くないのに、コンバージョンに結びつかないのでしょうか?

菅原:動画広告はクリックなどのアクションにつながりやすいのですが、もともとが認知度向上という側面が強い手法です。獲得を目標とするのなら、リターゲティングや指名検索の方が有効でしょう。獲得というKPIで考えると、コスト効率は悪くなります。

西井:なるほど、動画広告は、将来的にテレビ広告に取って代わる存在になるのでしょうか?

菅原:いえ、併用になると思います。当社のお客様で、テレビ広告で数千GRPを持つ企業の方がいるのですが、その会社ではYouTubeとFacebookとTVを組み合わせ、どういう比重だと最適な認知効率を得られるのか検証しています。でもやはり、認知度向上に関しては、テレビ広告は非常に優れた媒体だと思いますよ(笑)。

板澤:当社では、動画広告を「テレビで取れない層を取りに行く手段」と捉えています。動画広告は、若年層に最もリーチできるスマートフォンで展開できることが強みですね。テレビ広告の予算枠で動画に出稿しているのですが、テレビで使いきれなかった分を動画で調整することもあります。

菅原:一般的には、Web広告の予算で動画を出すケースが多いようですよ。デジタル広告の担当者が動画も担当することが多く、アメリカでもテレビ予算とどのようにハイブリッド運用できるかが課題になっているようです。ちなみに当社も11月から「Supership株式会社」と社名を変え、動画配信プラットフォームを買収してDSPで配信から指標まですべて一気通貫で行えるように開発を進めています。

次のページ
ネイティブ広告が誕生した理由

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2015 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2015/11/19 14:23 https://markezine.jp/article/detail/23362

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング