「マジで価値あるマーケティング」を実行するfreee
続いて、伊佐裕也氏が登壇。同氏はGoogleにてSMBマーケティングチームの統括を経て、現在はfreeeにてマーケティング部VPを勤めている。「マーケティングチームだけでできることは限られている。セールスや開発などすべての部門でマーケティングを意識すべきだし、部門間をつなげることで価値の最大化はできる」と伊佐氏は語る。では、具体的に同氏はどのように実践してきたのだろうか?
Google Adwordsの新規獲得施策
2014年にDM大賞を受賞した「鍵付き」DMは伊佐氏が手掛けた施策の一つ。Google Adwordsの広告主を新規に獲得するために、マーケティング部長クラスに送られたもので、鍵を開けるには3ケタの暗証番号を入手する必要がある。グーグル検索を行うことで、暗証番号が判明するという仕掛けだ。
投資利益率は9000%、鍵を開ける手間があるにもかかわらず開封率は70%を超えたという。「成功した理由は送付相手を明確にし、その相手に伝えるべきことを決め、営業がフォローした点にある」と伊佐氏。
また、同施策によってニーズはあるが、まだ広告を利用するには至らない層の掘り起こしができたという。次はその層に対して、Adwordsで何をしたいか別にセグメントを切り、ナーチャリングを行ったという。
「DMやキャンペーンなどの施策が目立ちがちですが、マーケティングは仕組みづくり。ユーザーを理解し、関係構築する仕組みをつくり、さらにPDCAを高速で回すこと。これが重要です」(伊佐氏)
マジで価値あるマーケティングを実現する5要素
「freeeでは“マジで価値あるマーケティング”をミッションに活動をしています」と伊佐氏。ミッションの真意は、ユーザーに価値ある内容を伝えるために既存の枠にとらわれず、成果にこだわり続け、その結果として認知を高めユーザーの獲得をするというもの。これを実行するために、同社では5つの要素を意識している。
ひとつ目が、「マジで価値がある」と信じるものの提供だ。例えば、中小企業の悩みを解消することを目的に、オウンドメディア「経営ハッカー」を運営。これにより関係構築を目指している。また、会社設立を支援するサービス「会社設立freee」を提供。ターゲットが困っていることを考え、それに合わせたコンテンツを展開している。
二つ目が、まずアウトプットすること。上にあげた「経営ハッカー」も、最初は手探りで、現在の形になるまでに様々な調整をしているという。「はじめてみて、学んで新しくすることをしています」と伊佐氏。
そして、三つ目に徹底的に振り返ること。数字データで結果を追い、なぜうまくいっているのか、なぜうまくいっていないのかを考える。こうすることでパフォーマンスの継続と改善を行なえるのだ。
四つ目が、自らクラウドを使いこなすこと。「使えるものはすべて使うというマインドで取り組んでいる」と伊佐氏。そして、多様なクラウドサービスを使いこなすために、五つ目として、経験や常識を打ち破るチームを作ることが重要だという。
「この話を通してBtoBマーケティングって面白いんじゃない?と思って頂ければ幸いです」と伊佐氏。
ノウハウの共有機会も少なく、売上につながる成果を得るまでに比較的時間のかかるBtoBマーケティング。だが、その魅力とやりがいは大きいことをアピールした。