セールスフォース・ドットコムは、同社が提供する「Salesforce Marketing Cloud」とヤフーが提供する「Yahoo! DMP」が連携したことを発表。この発表に合わせて開催された「Salesforce Marketing Cloud VIP Summit」では、セールスフォース・ドットコム CEOのスコット・マッコークル氏が来日し、ヤフー 執行役員 マーケティングソリューションカンパニー長の荒波 修氏らとデジタルマーケティングの最新動向と今後のビジョンについて語った。
ヤフーがセールスフォースとパートナーシップを構築する理由
Marketing CloudとYahoo! DMPの連携により、企業のマーケターは、詳細な消費者の行動パターンなどの分析に基づくセグメント情報を活かし、高いターゲティング精度と最適なタイミングでニーズに応じた的確な広告をYahoo!プレミアムDSPやYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)などを通じて配信できるようになる。この連携について、セールスフォース・ドットコムCEOのスコット・マッコークル氏は「Marketing CloudのさまざまなデータをYahoo! DMPの中に掛け合わせていくことで、顧客がヤフーのネットワーク上のどこにいたとしてもアクティベーションできるようになる」と語った。
ヤフーの荒波氏は、「広告というのは邪魔な存在だと思われてきた。その広告を有益な情報に変えていきたいと考えている」と、連携の背景にあるビジョンについて述べた。そのビジョンを実現する上で重要な役割を担っているのが、新たな顧客ニーズを発見できるYahoo! DMPだということだ。広告を有益な情報に変えていくために一番大切なのは、データを活用したOne to Oneマーケティングであり、パートナーとして真っ先に浮かんだのがセールスフォースの名だったという。それはセールスフォースがCRM市場において世界的な実績を築いているためだ。
Marketing CloudとYahoo! DMPの連携で実現するOne to Oneマーケティング
では、このパートナーシップによって企業が実現できるOne to Oneマーケティングとは、具体的にどのようなものなのだろうか。荒波氏はシンプルな例で説明する。例えば、企業が30代女性というセグメントされたデータを持っているとする。それをヤフーのマルチビッグデータの中にある、興味関心のデータ、あるいは購買履歴、検索キーワードなどと掛け合わせることで、詳細なクラスターに分類できるようになる。“30代女性かつ、今まさに企業のサービスから離反する可能性が高い”クラスターA。“30代女性で、かつもう一回商品・サービスを買おうとしている”クラスターB。あるいは、“30代女性で、ブランドへのロイヤリティが非常に高い”クラスターCといった要領だ。そうすることで、それぞれのクラスター別に異なる最適なクリエイティブを作ったり、異なるメッセージングを行うというOne to Oneマーケティングが実現できるのだ。