「コミュニティ」は消費から発信の場へ。一人ひとりの意識向上が健全性を支える
しかし、誰もが携帯電話を持つようになり、短期間で多くのユーザが利用するサービスになればなるほど、当サービスの「自由にHPを作成したり、書き込みをしたりできる」という自由度が裏目に出るようになったという。サービス開始当時から幅広いユーザが利用していたこともあり、10代の青少年が安心して楽しめる健全性を、いかに確保するかが同社には重要な課題となっていた。
そこで、サービス開始より1年足らずの2000年に、コミュニティを監視・巡回し、違反があれば警告・削除するという一連の仕組み作りのために「アイポリス」が設立された。結果、さまざまなトラブルに遭遇しつつも、コミュニティの健全性は保たれ、生き生きとしたコミュニケーションや情報発信の場として認知されるようになり、前述のような魅力的なコンテンツが数多く生まれる土壌となったわけである。
鎌田氏は「日本のモバイルインターネット環境は、世界でもっとも進んでいる。PCとモバイルが渾然一体となることによってさまざまな混乱が生じつつある」と現状を分析し、「その混乱を沈静化するためには、遠回りのように見えても『教育・啓蒙活動』がもっとも近い」と意識の改革自体を訴えた。
そして、健全コミュニティの保持のために立ち上げた『アイポリス』の8年に渡る活動を世の中にナレッジとして提供すべく、専用サイトを立ち上げ、情報発信を開始したことを紹介した。コントロールが難しく、双方向のメディアである一般サイトが増えており、そこに単なる消費者として参加していたユーザが、発信や発表などを通じた自己実現の場として関わりつつある。となれば、もはや利用者一人ひとりの意識の成長は不可欠というわけだ。
