動画配信も1つの大きなチャンネルに
MarkeZine(以下、MZ):9月にNetflix、そしてAmazonプライムビデオと定額課金型動画配信サービス(以下、SVOD)の日本市場への新規参入が相次いでいます。まず現在のSVOD市場の動向をどう見ていますか。
高谷:とても大きな可能性を感じています。市場の広がりはコンテンツ産業の活性化につながり、魅力的な作品が続々と生まれ、新しい技術の開発も進みます。また、テレビ番組のタイムシフト視聴も増えてくる。「定額・見放題・マルチデバイス視聴」が特色のSVODは、生活の中でより存在感を増していくと思っています。
MZ:タイムシフト視聴の浸透がさらに進むことで、変わる点はありますか。
高谷:コンテンツの価値がさらに多様化していくと思います。テレビ番組の接触率は増え、好きなアニメやドラマを一気見できるなど、ユーザーとコンテンツの関係はより密になります。それによって新たな広告価値も生まれるかもしれません。地上波・衛星放送のテレビ局、SVODといった発信しているのがどこかは関係なく、いかにいいコンテンツがあるかが重要になってきます。 制作者にとっても、リアルタイム視聴率を目的としない新しい挑戦ができます。
MZ:日本へのサービスの新規参入が相次いでいるのをみると、日本市場はSVODの事業者にとって大きい市場だと感じているのですが、どうでしょうか。
須田:日本のユーザーは他国と比較しても映像を視聴される時間が長く、テレビもいまだに影響力の高いメディアです。YouTubeやニコニコ動画が現在も盛り上がっているのは、日本人の映像好きが起因していると思っています。この点から、日本は海外の事業者から見ても魅力的な市場だと思われているのではないでしょうか。
より幅広い層に対応したコンテンツのラインナップへ
MZ:競合が増えることに関してはどう感じていますか。
須田:歓迎すべきことだと思います。まだインターネットにおける動画配信はニッチな市場なので、プレイヤーが増えることで、動画配信そのものや月額定額制のサービスが広く認知されていき、サービス利用者の総数が広がっていくことにつながると思うので。いずれは、BSやCSのように、地方にお住まいの方や高齢者の方にもどんどん使っていただけるようになってほしいですね。
MZ:他のサービスが来たことで、SVOD自体を知ってもらえるきっかけになるということですね。御社は2011年から日本でのサービス提供を始めていますが、提供するコンテンツに変化はありましたか。
須田:Huluが日本市場に進出した2011年当初は、海外ドラマが好きなアーリーアダプター向けのサービスとして利用されていたように思います。5年目を迎える現在も海外ドラマの作品には注力していますが、加えて幅広いユーザーに視聴してもらえるラインナップを意識しています。
例えば、Huluは日本テレビグループの会社ですので配信に関する権利がクリアになったドラマやバラエティ、アニメ作品については同局の番組の放送終了直後から見逃し配信を行っています。また、NHKおよび民放各局様とも連携を進め、様々なジャンルのコンテンツを取り揃えるようにしています。