広告配信におけるリアル行動ターゲティングの活用
最も実用的な活用方法は特定の場所をオンライン上のマークポイントとして見立てるものです。

例えば、高級車のプロモーションをする場合は次のようなユーザーにアプローチができるでしょう。
- 店頭に来訪した、自社製品に興味のあるユーザー
- ゴルフ場や高級旅館などへよく行く高所得ユーザー
- 直近に高級車店舗へ何度も来訪している購入検討中のユーザー
他にも、色々なアプローチが可能になります。どのような人に何を訴求できるのか、少し考えてみましょう……
- 今住んでいる生活圏に近い、スーパーやコンビニの来店訴求をする。
- 平日夜遅くまで働いている人に、ビールの広告を出す。
- ランニングしている人に、スポーツブランドの広告を出す。
- ドラッグストアによく行く人に、新商品シャンプーを訴求する。
- 週末DVDレンタルショップによく通う人に、近くの映画館を訴求する。
オンライン上のリターゲティングが出てきたときと同様に、ユーザーの直前行動はリアルの世界でも有意性の高いアクションである可能性が高く、「いつ」「どこに」きたのかをポイントに考えることが重要です。
デジタル広告の「来店寄与率」がわかる時代へ
話は少し変わりますが、現在のデジタル広告の効果指標として発達してきたCPA(Cost Per Acquisition)。この指標には大きな課題があります。上記の活用例をもう一度ご覧いただくと気付くかと思いますが、実店舗や映画館等の場合オンラインにコンバージョンポイントがないケースが多くあります。
そのため、いくらCPAを見ても実際の投資効果を測ることはできないのです。つまり、これから明確な指標を作り上げていく必要があります。今後、どのような指標がメインになるのでしょうか?
ここでもリアル行動ターゲティングの有効性は際立ちます。例えば、広告に触れたユーザーと触れていないユーザーの来店率や、顧客一人の来店に要した費用を見るCPV(Cost Per Visit)という来店単価を測ることが可能です。これにより来店率・来店単価を最適化するためのメディア選定やクリエイティブ作成などが可能になり、「来店を意識した広告運用」が期待できます。
今まで広告と来店を定量的に結びつけることは困難でした。今後、テクノロジーを活用して行動とコンテクストおよび、その情報に基づいたデジタル広告の効果を可視化できるとしたら、マーケターにとっても機会が増えることになるでしょう。
次回のコラムでは、具体的なデータの「運用方法」や、位置情報を活用したマーケティングにおいて何を以て効果が出るかを判断するのかという「評価指標の考え方」など、リアル行動ターゲティングの実践方法をお伝えします。