検索エンジンマーケティング(SEM)を手がけるアウンコンサルティングは、2007年のSEM10大ニュースを発表した。海外でもSEM事業を展開する同社の視点で、海外の動きも含めて選定されたニュースのトップ5は次のとおり。
1 位 多発する順位変動。検索クオリティやインターフェースを大幅に改良
2 位 オーバーチュア「新スポンサードサーチ」移行と日本法人のヤフー子会社化
3 位 モバイル検索の主導権争いが加速。相次ぐ新規参入・機能強化
4 位 Google が有料リンクやPayPerPost の取り締まりを強化
5 位 オンライン広告企業の大型買収をGoogle、Yahoo!、Microsoft が発表
2007年の最も重要なニュースは、Google、Yahoo!、MicrosoftのLive Searchによる検索アルゴリズムの改善。インデックスの更新頻度をアップするなどの施策も含めて、検索結果に大きな影響を及ぼした。また、2007年には、多分野の検索結果を統合した「ユニバーサルサーチ」の登場など、検索結果の新しい表示形態の模索も行われた。
2位は、ヤフーによる「新スポンサードサーチ」への移行。広告品質を重視した掲載順位の決定方式が導入されたことも注目を集めた。この移行のために、各社がセミナーを開いたことも記憶に新しい。2007年8月にヤフーはオーバーチュア日本法人の全株式を取得し、子会社化している。
3位と5位は新規参入と買収のニュース。「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーや楽天などの企業が検索エンジンの自社開発に乗り出すなど、2007年は新規参入も相次いだ。また、米国では、オンライン広告企業のDoubleClickを31億ドルで買収することを発表し、MicrosoftもaQuantiveを60億ドルで買収するなど、大型買収の動きが活発化している。
4位の有料リンクやPayPerPostの取り締まりは、6月にGoogleのサイト運営者向けサービス「Google ウェブマスターツール」に有料リンクの通報機能が追加され、一部の有料リンク販売サイトのPageRankが大きく低下したことから、GoogleがSEOの被リンク対策として行われる有料リンクに対しペナルティを開始したのではないかという噂が広まったことに端を発している。さらに、米国ではPayPerPost の参加ブログでもPageRankが下落し、ブロガーの間でも混乱が発生した。
続いて、6位から10位までを見てみよう。
6 位 中国No.1 の検索エンジン「百度」が日本上陸。「NAVER」も再上陸を準備中
7 位 米Google、オフライン広告の取扱いを拡大。マスコミ各社と提携
8 位 動画検索サービスが相次いで登場。YouTube 日本語版もスタート
9 位 共通サイトマッププロトコルのサポートで大手検索4 社が合意
10 位 SNS と検索の融合進む。国内外の大手SNS が検索連動型広告を導入
6位の「百度」は、Google(谷歌)、Yahoo!(雅虎中国)を抑えて中国最大手の検索エンジンとして君臨。世界の検索シェアでもGoogle、Yahoo!に続いて堂々3位にまでに上り詰めている。6月にソニー前会長の出井伸之氏を社外取締役に迎え入れたことでも話題に。
2007年は動画サービスが注目を集め、多くのユーザーを引き付けた1年でもあった。YouTubeはもちろん、日本発のサービス「ニコニコ動画」も人気を集めたことから、検索エンジンも動画検索を強化。Googleが買収したYouTubeの日本語版も登場して話題となった。
9位の共通サイトマッププロトコル「Sitemaps」は、Yahoo!、Google、Microsoftの3社が合意したクローリングとインデクシング促進のための規格。さらにAsk.comもこれに加わり、大手4社が共通プロトコルをサポートすることで合意している。そのほか、Yahoo!はサイトマップの管理サービス「Yahoo! Site Explorer」を、Microsoftもサイトマップの申請を受け付ける「Webmaster Portal」を公開している。
また、7位の米Googleによる4マス媒体への進出、10位のSNSとの融合など、検索サービスがこれまでとは異なる領域へと影響力を広げつつある1年となった。
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