LINEのデータ活用した運用型広告の提供へ
そして、広告配信における機能拡張・オープン化について、同社上級執行役員 法人ビジネス担当の田端 信太郎氏より語られた。同氏によれば、今後のキーワードは「関連性(レリバンス)の強化」「プログラマティックな広告売買」「リーチの拡大」の3つだという。

「これまでLINEの広告サービスでは、マスメディアのように一方通行で、大規模に一斉配信する形を高価格帯で提供してきました。そのため、ほとんどの方に大企業向けの広告手法として捉えられていたでしょう。しかし、我々はその壁を打ち破り、シフトするべきと考え、これらのキーワードを打ち立てました」(田端氏)
では一体、それぞれのキーワードに対しどういったサービス、機能を提供していくのか。
まず「関連性(レリバンス)の強化」に関して行われるのは、LINEの持つデータを活かした広告表示だ。具体的には、企業ブランドや著名人の公式アカウントの追加状況、スタンプの購買情報、LINE関連サービスの利用履歴などを参考にユーザーをセグメント。企業はその中からユーザーを選択してリーチを絞ることが可能になる。
2つ目の「プログラマティックな広告売買」に関しては、ついにLINEでも運用型広告の配信をスタートする。DSPなどを提供するフリークアウトの子会社M.T.Burnを買収し、インフィード広告の仕組みを基盤に運用型モデルでの配信を可能にした。ここで、田端氏は「この関連性を高めた広告表示や運用型広告のターゲティングにおいて、個人情報を許諾なく広告主に引き渡したり、利用することはない」と補足した。
誰もがLINEの広告を使える環境に
最後のキーワードは「リーチの拡大」だ。現在、6,800万人を超えるLINEユーザーに対する広範なリーチを活かすため、LINE NEWSやアカウントページ、LINEゲームといったサービスに運用型広告の掲載面を設置し、広告のタッチポイントを拡大する。
また、田端氏はLINEならではのリーチの仕方として、スタンプをあげた。そして、これまでのLINEスタンプの課題を解決し、「オープン化」するサービス「Creators Sticker for Business」を発表した。同サービスでは、「LINE Creators Market」を通じて販売されているスタンプを対象に、企業が配布する権利を買い上げ、販促に利用できる。
「これにより、これまで最大数千万円単位という高価格帯で提供していたスタンプを活用したプロモーションが中小企業でも可能になる。そして、クリエイターとしても課金収入に加え、広告収入も得られる。双方に取ってメリットのあるサービスとなっています」(田端氏)
そして田端氏は最後にLINEの広告メディアとしての未来像に対し、「LINE AD Platform for everyoneを目指す」と語った。
「LINEはこれまでCtoCのコミュニケーションを進化させてきました。今度はBtoCでのコミュニケーションを加速させる時だと考えています。無料メディアには広告が出るのは仕方ない、しかし嫌悪感を感じるという必要悪を、昨今ではアドブロックなどの概念が浸透してきました。しかしそれらをLINEは打ち破り、新しい広告感を作り出したいと考えています」(田端氏)
同イベントで発表されたオープン化や新サービスの提供は、2016年の間で順次実装されていく予定だ。そうなれば、LINEの広告媒体としての魅力がますます高まっていくのではないだろうか。