100万ユニークユーザーを獲得したNHKのアプリをご存知ですか?
『プロフェッショナル 仕事の流儀』は、各領域の第一線で活躍する人物に密着し、仕事に対する姿勢を描くNHKのドキュメンタリー番組だ。スガシカオが歌う印象的なテーマ曲や、黒地に白文字で書かれる流儀を連想する人も多いだろう。
同番組が2016年の元日に「NHK プロフェッショナル 私の流儀」というスマートフォンアプリをリリースしたことはご存知だろうか? プロフィールや大切にしている流儀を入力し、30秒足らずの動画を撮影するだけで簡単に「プロフェッショナル風オリジナルムービー」を作成できるというものだ。
リリースからこれまでに、100万のユニークユーザーにダウンロードされたという。NHKはなぜこのようなアプリをリリースするに至ったのか。施策の狙いをNHKの小国士朗氏とDigiBookの野村絵里奈氏に聞いた。
認知されていても、見てもらえていない
小国氏はドキュメンタリー・情報系番組のディレクターを務めるかたわら、NHKが展開する番組のPRや二次展開などのコンテンツプロデュースも担当する。今回、番組から依頼を受けキャンペーンの企画・制作を担当した。
同氏はアプリを制作した理由として2つの事柄をあげる。1つ目が番組の放送開始10周年を記念したキャンペーンの展開を行うこと。2つ目が番組の視聴者層を拡大することだ。
「現在、同番組のメイン視聴者層は60代男性です。しかし、10年前に番組を企画した際に制作側が視聴者として意識した層は20代~40代でした。これから社会に出るかたや、社会の最前線に立っているかたの背中を押す番組を意図してスタートしたのです。もちろん、多くのかたにご覧いただけることは嬉しいですが、当初リーチしたかった層へ届いていない点は大きな課題でした」(小国氏)
しかし、調査をしてみると、ターゲットとなる世代からの認知率が低いわけではないことがわかった。同番組のフォーマットは、記事冒頭で触れた通り、印象的な音楽と黒い背景によって構成されている。テンプレート化しやすいため、他局などにパロディ化されることも少なくない。番組を見ていなくても、何となく知っている人々が多いのだ。
彼らの興味をどのように喚起するか。そこで小国氏が目を付けたのが、パロディのされやすさだ。「フォーマットが決まっているということは、転用がしやすく類似の動画を作りやすいということ。DigiBookさんが提供するフォトムービーシステムとうまく組み合わせられるのではないかと考えました」(小国氏)
こうして、野村氏とのアプリ制作プロジェクトがスタートした。