10~20代のダウンロードが6割、番組見ない層にリーチ
「結果をみると100万ユニークユーザーのうち40代以下の利用者が9割を占め、さらに構成比の6割が10~20代であることがわかりました。私たちにはテレビを使えるという利点はあるものの、本来狙った層がテレビ番組を見ない世代。そこにきちんとリーチできたという点で、SNSとwebの威力は強かったと考えています」(小国氏)
番組視聴率についても、番組回によって変動はあるものの20代女性の視聴が通常の2倍以上になった回もあるという。定性的な面でも、Twitterに“プロフェッショナルを見てみるかな”といったツイートが増え態度変容が見られた。視聴率とアプリに関係があるとは一概にいえないが、アプリのリリース前後で明らかな変化があったことは確かだ。
アプリでつながった100万人と、次は何ができるか
アプリが一人歩きして活用される例も出てきている。たとえば、ある中学校ではアプリを使って“クラスメートの良い面を見つける”授業が行われているという。誰かの流儀を紹介するということは、映像の登場人物の性格を理解する必要がある。この面が活用されている。
「実は、このアプリは教育カテゴリーに登録されています。もちろん、動画や写真、エンタメといった選択肢もありました。しかし、企画時から単純なプロモーション要素だけでなく、番組の持つ価値を社会に還元したいと考えていたのです。とはいえ、私たちが仕掛ける前に自然発生した点には驚きを感じますね」(小国氏)
今後も、アプリの活用の幅を広げていきたいと小国氏と野村氏は意欲を見せる。「私は職業柄、どうしてもテレビ番組の制作だけを考えがちです。しかし、アプリ・web・テレビを三位一体で捉えることで、自治体や教育現場というリアルな場につなげたり、そこから番組につながる可能性が生まれると思います。アプリの100万ユニークユーザー獲得は、言い換えれば100万人とつながった段階。ですから今は、このつながった100万人と次に何ができるかを考えています」(小国氏)
アプリによって形成されたつながりをNHKが今後どのように活かすのか。これからの取り組みも楽しみだ。