アトリビューションモデルによる比較
ステップ④ 「モデル比較ツール」による分析(「アトリビューション」レポート)
最後はいよいよ、アトリビューションモデルによる比較をしていきます。本連載で紹介してきた「AdWords & Google アナリティクス連携」によって、Google アナリティクス側にインポートされたデータが、今回の活用のステップを経てモデル比較ツールによる分析に活かされているという流れになります。
本稿では、いわゆるアトリビューション分析についての解説は省略しますが、Google アナリティクスのモデル比較ツールによる分析のポイントを一言で言えば「終点モデル」と他のモデルとの比較によって、コンバージョン最大化の可能性がある流入(広告)チャネルを見つけて予算の投資配分を変えていくということになります。従来どおりの”ラストクリックCPA”による効果分析でコンバージョンの最大化が行えるのであれば(そのようなビジネスであれば)、わざわざモデル比較をする必要はありません。この分析では、チャネルやキャンペーンによって間接的にコンバージョンを生み出しているものを見つけることで、流入施策予算による成果の最大化を行なうための情報を得ることができます。
ラストクリックでの評価とアトリビューションでの評価の違いについて、簡単にまとめたので参考にしてください。

※アトリビューションモデルについて:
Google アナリティクスヘルプ「アトリビューションモデルの概要」
https://support.google.com/analytics/answer/1662518?hl=ja&ref_topic=3205717
では、実際に終点モデルとの比較はどのように見ていけばいいのでしょうか。次の図ではわかりやすいように、比較対象のモデルとして「起点モデル」を選択しています。
注目すべき指標は、レポート画面一番右側に表示されている「変化率」という指標です。「コンバージョン(数)の変化率(%)」と表示されているように、同じチャネルによるコンバージョン数を「終点モデル(ラストクリックによるコンバージョン数)に比べて起点モデル(初回訪問によって生み出されたコンバージョン数)の方がどのくらい変化しているか?」を集計して表示してる指標です。
上図で注目すべきは「ディスプレイ」チャネルですが、終点モデルでは「8,342件」のコンバージョン数で有料検索チャネルによるコンバージョン数「53,688件」よりもかなり少ない値になっています。(かつ、CPAも悪いので)ディスプレイ広告施策への評価を下げざるを得ない結果に見えます。しかし、起点モデルでは、ディプレイチャネルからのコンバージョン数は「182,950件」と大幅に増えているのがわかります。その増え方が変化率として%で表示されています。これを見ると、ディスプレイ広告にもっと積極的に予算投下をすれば、全体のコンバージョン数を効率的に増やすことができそうだという意思決定の材料になります。
これはひとつの例ですが、基本的にはこのような要領で流入施策全体をアトリビューションの視点で見渡し、どのように予算のバランスをとれば全体のコンバージョン数が最大化できるかを考えていくことが可能になります。AdWords連携によってチャネル単位だけでなくキャンペーン単位、広告単位、キーワード単位で同様な比較分析も可能になっています。ぜひ試してみていただければと思います。
これに加え、有料版の「Google アナリティクスプレミアム」では、Google 独自のアルゴリズムで分析するデータドリブンモデルによる比較も利用可能になります。同様にデータドリブンモデルも活用したROAS視点での分析メニュー「ROI分析」や、各チャネルがコンバージョンまでのどの接点に貢献していたのかを視覚的に表示し見せてくれる「モデルエクスプローラー」など、コンバージョンの最大化を目指す上で、より高度な分析結果を提供してくれるメニューが用意されています。

連載は本記事で終わりですが、Google アナリティクスを中心としたデジタルマーケティングプラットフォームの新ブランドパッケージとも言える「Google アナリティクス360 Suite 」については、番外編として、今週木曜日にお伝えします。お楽しみに。