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Adobe Summit 2016 レポート

サードウェーブがマーケティングを変える/垣根を越えたパーソナライズを可能とするアドビ「Co-op」


 Adobeは米国時間の3月22~24日、米ラスベガスで年次デジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2016」を開催。エンタープライズビジネスは「エクスペリエンスビジネス」という第3の波を迎えていると語られた。そして、その推進のために「Adobe Marketing Cloud Device Co-op」を新たに展開することを発表した。

 Adobeは米国時間の3月22~24日、米ラスベガスで年次デジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2016」を開催した。エンタープライズビジネスは「エクスペリエンスビジネス(顧客体験中心のビジネス)」という第3の波(サードウェーブ)を迎えていると語られ、その推進のために「Adobe Marketing Cloud Device Co-op(コープ:以下、Co-op)」を新たに展開することを発表した。「Co-op」は「Adobe Marketing Cloud」を強化するもので、プライバシーと透明性を確保しながら、世界の大手企業の協業を通じて複数のデジタル上での個人単位のマーケティングを可能にする。具体的にどういったことが実現できるようになるのか、基調講演の内容とともに解説する。

エクスペリエンス時代に適応した競争力を

 基調講演の冒頭に登壇したアドビ システムズ社 社長 兼 CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏は「エクスペリエンス時代の到来」を告げた。企業は体験を通じて、顧客と直接繋がっていかなければならない時が訪れているというわけだ。

アドビ システムズ社 社長 兼 CEO シャンタヌ・ナラヤン氏
アドビ システムズ社 社長 兼 CEO シャンタヌ・ナラヤン氏

 さらにナラヤン氏は「自問自答すべきだ」と会場に投げかけた。「エクスペリエンス時代に適応した競争力を持ち合わせているのか」ということを。顧客は企業とデジタルファーストでのコミュニケーションを望んでおり、企業はその期待に体験を通して応えていかなければならない。顧客体験中心のビジネス「エクスペリエンスビジネス」を実現することが、競合優位性に繋がるのだ。そして、この「エクスペリエンスビジネス」こそが、エンタープライズビジネスに押し寄せる第3の波である。この意味を、続いて登壇したデジタルマーケティング事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのブラッド・レンチャー氏が解き明かす。

エンタープライズビジネスは第3の波の中に

 レンチャー氏によると、今、エンタープライズビジネスは「エクスペリエンスビジネス」という第3の波の中にあるという。では、第1、第2の波とはなんだったのか。以下にまとめる。

  • 第1の波「バックオフィスの波」:在庫管理や給与計算、会計などの社内業務に対するソフトフェアソリューションが提供された。60年代からはじまり、業務を改善した。
  • 第2の波「フロントオフィスの波」:CRMにより顧客情報はデータとして管理・整備され、営業プロセスが効率化された。

 この2つの波は、業務を支援し効率化するためのものだった。主人公は企業で、競合との戦いを有利にするための武器を得てきたようなものだ。しかし、その武器も行き渡ることで優位性を失う。そこで考えなくてはならないのが、第3の波「エクスペリエンスビジネス」である。この3つ目の波は、主人公が顧客であるという点で、これまでの2つの波と大きく異る。デジタルシフトという環境の変化と、顧客自身の成長により、顧客はかつてないほど強く「体験」を求めるようになっているのだ。レンチャー氏は顧客の体験への期待値の高まりについて「“ムーアの法則”と同じく、18か月で倍増している」と語った。

アドビ システムズ社 デジタルマーケティング事業部門担当★エグゼクティブバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネジャー★ブラッド・レンチャー氏
アドビ システムズ社 デジタルマーケティング事業部門担当
エグゼクティブバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネジャー
ブラッド・レンチャー氏

 その期待に応えるために、企業はすべてのタッチポイントで驚きと喜びを提供し、生活の一部にしていく必要がある。その上で重要になるのが、データと一貫性のあるコンテンツだ。データをただ集めるだけでは意味がなく、適切に分析し、活用する必要がある。その活用の具体的なアウトプットがコンテンツとなるわけだが、タッチポイントごとに変わることのない一貫性が求められている。顧客にとっては、Webサイト、モバイルアプリ、店頭など、あらゆるタッチポイントでパーソナライズされた一貫性のあるコンテンツを享受すること、それが「体験」へと昇華されるからだ。

 一貫性のあるコンテンツを提供するために、より個人にフォーカスしていかなければならないわけだが、そこには大きな障壁もある。デバイスをまたいだ個人単位のマーケティングが困難だからだ。職場ではPC、移動中はスマートフォン、自宅ではタブレットというように、生活者はデバイスを次々と使い分けることが当たり前になっている。にも関わらず、個人ではなくデバイスに対してマーケティングを行っているのが実情だ。デバイスを替えても個人の行動を追跡できているのは、エコシステムに定期的にログインする大勢のユーザーを持つ、GoogleやFacebookといった企業のみだ。そういったプラットフォームに依存することなく、デバイスの垣根を越えた個人に対するマーケティングを実現するもの、それが今回発表された「Co-op」だ。

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この記事の著者

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/03/13 16:30 https://markezine.jp/article/detail/24264

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