Adobeは米国時間の3月22~24日、米ラスベガスで年次デジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2016」を開催した。その中で繰り返し強調されたキーワードは「顧客体験中心のビジネス(エクスペリエンスビジネス)」。そして、それを実現するために重要なのは、顧客体験をデジタルとリアルでシームレスに繋ぎ、融合させることだ。Adobeでは、「Adobe Marketing Cloud」の機能とIoT技術により、その融合を実現させていくとし、近い将来の顧客体験を描く2つのデモが実施された。
スマホアプリと実店舗をシームレスに繋ぐ新たな買い物体験
例えば、あなたが最近、ロードバイク(スポーツ自転車)を買ったとする。そして、自宅でヘルメットも購入しようと思い、スマートフォンで検索。ECサイトから購入するという手もあるが、身につけるものは実店舗で現物を見てから購入したいと思うことも多いのではないだろうか。現在は、ここで買い物の流れ、体験が一度分断されてしまうのだ。
この分断をなくし、ネット検索から実店舗での購入までを地続きにする手法が一つ目のデモで示された。商品を購入するまでのプロセス「カスタマージャニー」に沿って見ていこう。
スマートフォンから検索
まず、「バイク(自転車のこと) ヘルメット」と、スマートフォンで検索。「Adobe Media Optimizer」の機能により、検索結果のページにはショップの広告が表示された。ショップのサイトへいくと、そのショップのアプリのインストールを促された。これも「Adobe Media Optimizer」と「Adobe Analytics」の組み合わせにより実現できるインストールアドトラッキング機能によるものだ。
実店舗への案内
ディープリンキングによりブラウザ上の検索結果はアプリ内の商品ページに受け継がれる。アプリを起動すると、位置情報利用と通知に関する許可の確認が表示され、承諾した。近くに店舗があるという通知が届き、地図を開く。自宅の近くに店舗があるか、自分から調べる必要がないというわけだ。
来店時の体験
地図を見ながら店舗へ赴く。店舗に近づくと、ビーコンから発信された信号をスマートフォン(アプリ)が受け取り「いらっしゃいませ」というメッセージが表示される。そして、「スマートバッグを試してみませんか」という案内も。「スマートバッグ」とはBluetoothを搭載した、スマートフォンと連動できる次世代買い物カゴのことだ。スマートバッグとスマートフォンをタッチするとペアリングされる。
レジに並ぶことなく支払い完了
そして、お気に入りのヘルメットを見つけ、スマートバッグに入れる。すると、スマートフォンアプリのカートにも自動的に追加されるのだ。スマートバッグは二重になっており、商品の入った内側の袋を取り出し、そのまま持ち帰ることができる。店から出ると、自動的にアプリ側で支払い処理が完了される。レジに並び、支払いをする必要はない。
このようなシームレスな買い物体験も、技術的にはすでに実現可能なのだ。もう一つ、新たなデジタルサイネージ体験を実現するデモを紹介しよう。