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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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転換期におけるデジタルマーケティング(AD)

コンテンツの“施策”軸では測れない価値 “人”軸のカスタマージャーニー分析で記事広告の効果が明らかに

記事広告の接触ユーザーは外部サイトの広告効果増

MZ:All Aboutとしても、記事広告の価値を数値化したいという考えがあったのですね。ちなみに、広告主からもそうしたニーズはあるのでしょうか?

叶内:ありますね。以前はPVや送客数を効果指標にしていましたが、最近では読了率や滞在時間がスタンダードになりつつあります。今回のようなコンバージョンまでの間接効果の可視化も、メディアとしては勇気のいる決断ですが、向き合わざるを得ないと思っています。

MZ:なるほど。では、実際の出稿内容と分析について、株式会社ロックオンの足立さんからうかがえますか?

足立:今回は、青汁の記事広告を「健康維持」と「美容食」の切り口で2パターン制作してもらい、閲覧したユーザーを施策単位ではなくジャーニー単位で分析しました。評価期間は、1カ月半としました。

 コンテンツの評価について、個人的にはポイントが3つあると考えています。施策軸の指標・人軸の指標・統計指標の3つです。それぞれ補足させていただくと、日常的に計測、活用されている“施策”ごとの指標としてコンテンツ単位のPV数やCV数等がよく利用されます。

 一方“人”軸では、たとえば“コンテンツを見た人達“は何人(UU)いて、そのうち新規UUは何人で、その後どんな行動をとっているのか? CVしやすくなっているか(CVRの比較)、CVはしていないが、広告クリックや自然検索するようになった人達はどれだけいるのか(平均クリック数・SU数の比較)、それはどんな人(性別・年齢etc.……)なのか? といったカスタマーのプロファイル分析、ジャーニー・フロー単位の分析から得られる指標が目的に応じて用いられます。

 そして最後に、コンテンツに限らないマーケティング施策の変数が複合的に関与しあっているという前提に立った時に、それらの関係性を定量化できる統計手法を用いた指標です。このうち今回は2つ目の人軸でのカスタマージャーニー分析と、3つ目の因子分析という統計手法を用いた評価を重視し、それぞれ私と松本が担当しました。

MZ:端的に、どういったことが分かりましたか?

足立:まず、記事広告はやはり直接的には期間中のコンバージョンに大きく影響してはいませんでした。“施策”軸でみても効果がなかったというはっきりとした結果です。逆に目覚ましかったのは、CVしていないユーザーのジャーニーを分析したところ記事広告を閲覧していったん離脱したユーザーも、相当数がその後にバナーやリスティング広告を通してLPに流入していたことです。

 記事広告を閲覧したユーザーを100としたとき、記事に記載のリンクからLPへ飛んだ人が約60%、All Aboutを離れて外部サイト経由でLPへ飛んだ人が約40%という内訳になりました。

新規ユーザーとの接触から育成の状況が明らかに

MZ:ユーザーごとにジャーニー単位で分析していくと、コンテンツに接触したユーザーは、直接LPに飛ばなかったとしても、All Aboutを離脱した後に外部サイトで見た広告をクリックしやすくなっていた……ということですね。

足立:ええ。そのように理解しています。実際に深掘りして、記事閲覧した人としてない人のその後の動きを見てみると“閲覧して広告クリックをした人”の方が“閲覧しなかった人”より同期間で約1.5倍広告をクリックしているという計測結果になりました。

 記事内のリンクをクリックしなかったユーザー達が、他の広告からこれだけ流入していることに、記事が貢献していることは明らかだと感じており、今までの直接的な流入だけでは、この約40%は見えなかった数値ですので、これは非常に大きな気付きでした。

 また、アドエビスのオーディエンス分析機能「オーディエンスエビス」を使って、数名のユーザーを細かく追ったところ、ユーザーが商品を認知し関心を持っていく様子も推測できました。

 「老後」や「健康」といった広いキーワードで情報を探している中で、今回の青汁の記事に接触し、別サイトの健康系の記事も閲覧してから、最終的に世田谷自然食品のリターゲティング広告をクリックしたり「世田谷自然食品 青汁」で検索したりしている状況をみると、この流れは少し大げさな表現ではありますが、デジタルマーケティングによる “育成”といえるのではないかと考えています。

MZ:なるほど。この結果を受けて、鎌さんはいかがですか?

鎌:できれば直接的なコンバージョンもほしかったので、その部分では十分な数値だったとはいえませんが、出稿した媒体の外のユーザー行動まで把握して効果をみる、という包括的な考え方ができるようになったことは収穫でした。

 今回は外部サイト経由の効果が約40%でしたが、これが記事の内容や商材との相性によってどう増減するか、次のフェーズとして試してみたいですね。

業界初!人軸分析を可能にする「カスタマージャーニー分析」

 今回の分析で使われた「アドエビス・カスタマージャーニー分析」はあらゆるユーザーの行動を可視化し、マーケティング施策を適切に評価できる、アドエビスの新サービスです。詳細は<こちら

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因子分析により記事広告の指標を3つに集約

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/22 12:56 https://markezine.jp/article/detail/25029

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