キーワードは「デジタル・エクスペリエンス」
新野:次に、国内に目を向けたいと思います。今回、皆さんはコードアワードの審査に参加されていますね。審査員として参加した感想はいかがでしたか?
ナージャ:議論がとても白熱したことが印象に残っています。どういう切り口から審査をしたらいいだろうかとか、クラフトってなんだろうとか、クリエイティビティをどうやって見つけていくかという事をみんなで議論したのが面白かったし、勉強にもなりましたね。
橋田:アワードが募集しているものが“デジタルによって「体験」をもたらすことができたマーケティングコミュニケーション事例”であることが特徴的だと思いましたね。一方的なメッセージングじゃなくて、人に体験を与えるというのは非常にいい規定の仕方かな、と。デジタルやインタラクティブっていう概念の基本なのかもしれないですけど。
ウェブから始まりモバイルになり、もっとテクノロジーの技術が進化してVRとか出てきて……という変化を考えたときに、体験がどう広がっていくのかをみんなで議論するのは夢がある話だと思います。
ロイ:デジタル・エクスペリエンスというところでいうと、先ほど話題に出ていた『G・U・M PLAY』。今後の可能性という意味でもプロダクト開発という意味でも、コードアワードで「ベスト・イノベーション」を受賞したことは、本当によかったと思います。

一見地味でも、アイデアが光る『mineo フリータンク』
橋田:「グッド・イノベーション」をとった、パケット共有サービス『mineo フリータンク』も素晴らしいアイデアだと思っています。パケットという、これまで家族でしか分けられなかったものを全部プールしちゃえっていう。このアイデアを本当にやるかというのは、経営判断までいくことだと思うんです。
ナージャ:『mineo フリータンク』は他のクリエイティブと比較して、アウトプットとしてちょっと地味じゃないですか。でも、決して派手ではないけど、すごいアイデアで、今まで誰も思いつかなかったものを川上のところからやっている。
そういう作品をほめていくことで、川上のアイデアの種たちがたくさん開花すれば、もっとそこにみんな意欲を持てるようになると思うんです。コードアワードではそこを大事にするといいんじゃないかと思いますね。
新野:アワードの意味って、そこかもしれないですね。そういうことを他でやっていると知って、自分たちも勇気づけられる。mineoみたいなサービス開発のアイデアも提案出来る余地はあるし、世の中に受け入れられるんだって。
橋田:他のアワードだと『mineo フリータンク』は賞から落ちていると思うんです。今回「グッド・イノベーション」に残せたのはよかったと思います。
