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アタラ有園氏が電通デジタルに参画!コンサル領域を強化する同社の展望に迫る【有園×松永対談】


電通と電通デジタルの事業領域のすみ分け

――デジタルマーケティング専門の新会社として電通デジタルは設立されたわけですが、電通との事業領域のすみ分けはどのようになっているのでしょうか。

有園:これは先日の電通デジタルフォーラムで私が使った資料です。電通や電通デジタルがいっていることではなく、あくまでも私個人の見解なのですが、「広告販売」と「広告効果/コンサルティング」、「枠売り」と「運用」という軸で領域を分けています。いわゆる電通が得意とするテレビCMや新聞の広告、またネット広告のブランドパネルなどは、「広告販売×枠売り」の領域に位置します。一方、サイバーエージェントなどのネット専業代理店などは、「広告販売×運用」の領域が強いですよね。ちなみにアタラでは運用型広告のコンサルティングが主なので、「広告効果×運用」の領域ですね。

 で、電通デジタルは発足当時から、コンサルティングを柱にビジネスモデルを組み立てると宣言しています。マスからデジタル、枠売り広告から運用型広告までを一貫してコンサルティング支援していくので、図表の下部に電通デジタルの事業領域は位置するイメージです。

有園:昨年、アタラは電通プロモーション・デザイン局の協力を得て、新しい消費行動モデル「Dual AISAS Model」を開発しまた(関連ニュースはこちら)。Dual AISAS Modelは、この図の全領域にまたがっています。マスの施策とデジタルの施策を組み合わせて、情報がどう拡散して広がり、最終的にコンバージョンにどう流れていくかをトータルで分析をして、実際の効果を検証していくものです。その背景には、いわゆるオフラインを含めたアトリビューションというか、オンラインとオフラインの統合的なプランニングがあります。

 また、この4月から始まったテレビ朝日のSNS連動番組「#モデる」(参照リリースはこちら)でも、このDual AISAS Modelを活用しています。SNS、特に、Instagramで流行っているファッション系写真の勢いに載っかる形で番組を企画してもらい、そして、その視聴者をテレビCMや連携する番組ウェブサイトなどを通じてスポンサー(コメ兵)のECや店頭に誘導しようという統合的なコミュニケーション設計になっています。

松永:そういった意味でも、先ほど電通デジタルはデジタル領域における統合を目指すとお話しましたが、そこでも有園さんのお力をお借りしたいという思いがあります。

――ちなみに松永さんはCDO(Chief Data Officer)という肩書ですが、電通デジタルのデータ領域への取り組みについて教えていただけますか。

松永:先日8月1日に、電通はインティメート・マージャーと業務提携を結びました(関連ニュースはこちら)。電通独自の統合マーケティングプラットフォーム「Dentsu.io」の強化・拡充に共同で取り組み、その一環として電通グループとして独自のパブリックDMP「dPublic」をクライアント企業へ提供していきます。

有園:「Dentsu.io」と「dPublic」は、何が違うのでしょうか?

松永:「Dentsu.io」は、大きな概念のようなものです。データだけではなく、テクノロジーやそれらを提供するパートナー企業やアライアンス企業であったり。デジタルのソリューション、分析メニュー、広告配信からコンサルティングのメニューまで、広い概念でのインプットとアウトプットという考え方ですね。いわばサービスブランド名のようなイメージです。そしてそのテクノロジーの基盤の一つに、「dPublic」があります。

有園:例えばデータアーティストさんやクラスメソッドさんなど、これまでもいろいろな企業との提携などがありましたが、それらでできることを総称して「Dentsu.io」と呼ぶということでしょうか。

松永:そうですね。特に今回の「dPublic」については、「Dentsu.io」におけるオーディエンスデータの基盤として強化していく方針です。電通デジタルが支援していく領域においては、オーディエンスデータを強化してこそ、クライアント企業に対して付加価値のあるコンサルティングサービスを展開していくことができます。量と質の双方を担保した上で、広告配信をはじめ様々なマーケティング施策に繋げていくことが重要です。

 日本にはCMOはいないとよく言われますが、経営層、宣伝部長、その他の事業部長といったマーケティングの意思決定に関わる人たちのニーズに対して、総合デジタルマーケティング会社として最適なソリューションを最適なメンバーで提供していきたい。そのためには、やはりデジタルの領域を超えて、マス広告はもちろん、販促プロモーションといった領域まで対象になります。

 電通はもともとマスメディア領域におけるパートナーシップやプランニング、バイイングに強いので、その領域との連携は必然です。クライアント企業が求めるものは、中間的なKPIとしての認知や好意といった指標がありますが、最終的には何年か後には生活者の方たちにお客様になっていただきたいわけです。最終的には購買データまで繋げて、そこまで責任を持つことが重要だと認識しています。

 そういう意味では、テレビをはじめとしたマスメディアからデジタル、購買までを、一気通貫で繋ぐマーケティングプラットフォームを作っていきたいと考えています。現状では個人情報保護法といった解決すべき課題はありますが、まずは一歩ずつ着実に強みを増やしていくフェーズにいます。

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将来、電力を制するものが広告業界を制す

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/13 14:19 https://markezine.jp/article/detail/25125

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