あらゆるものが顧客行動の情報収集チャネルになる
SAPが語るビジネス変革とマーケティング、第二回は顧客エンゲージメントをテーマに「個客」対応の重要性を解説した。第三回は増え続ける顧客接点とECの関係について考えたい。
顧客接点がこれまで以上に重要視されている今、あらゆるものがチャネルになりうる時代がやってきている。靴や財布、ペン、机など、顧客に近いところにあるモノは何でもデジタルチャネルになる可能性がある。そのような想定で物事を考えた方が良いと阿部氏は語る。
「スマホやSNSを使えば、ビジネスに多大なインパクトを与えられることを、世の中は知ってしまいました。するとどうしても“顧客接点を作った者勝ち”という側面がでてきます。そこで考えてみると、ビジネスモデル的に顧客接点を築きやすい企業も多いです。例えば服の素材メーカー。繊維の中に電子的なパーツを仕込んで、そこからモーションキャプチャのように、服のどの場所をどれだけ動かしているかデータを集めるなんてことも、テクノロジー上は可能です」(阿部氏)
このような顧客接点は、顧客情報を収集するチャネルになると同時に、情報を活用したコミュニケーションを企業から行うチャネルにもなる。そのために必要な仕組みに、SAPは着眼しているという。
増え続けるチャネル、SAPが提案する効率的な仕組みとは?
顧客とのタッチポイントから得た情報を分析して、何らかのアプローチを行う。そのようなマーケティング行為の先には、必ずマネタイズが存在する。現在ならばスマホやアプリを入り口としてECへ誘導しているが、未来を考えると時計やメガネ、あるいは机で……と間口は永遠に増え続けるだろう。
しかし、チャネルが増える度にECのような商品紹介・ログイン・カート・決済といったシステムを用意するとなると、莫大な手間やお金がかかってしまう。そもそも、テクノロジーの急激な進化にスピードが追いつかず、時間のムダになってしまうかもしれない。
「機能やデータは共通で1つ用意しておいて、各チャネルから呼び出す、という仕掛けがスマートでしょう。そうすれば情報も1か所に集まるので、より活用しやすくなります」と阿部氏。そのために、同社が提供しているソリューションが“SAP Hybris Commerce”だ。
「このソリューションはECそのものという側面もありますが、実は機能を含んだECの裏側の仕組みでもあります。顧客が見る画面・機能・データとレイヤーが分かれているので、別の画面、例えば既存のものとは全く違う新しいモバイルアプリをつくって、機能だけSAP Hybris Commerceを呼び出して使うこともできるのです」(阿部氏)
チャネルがどれだけ増えたとしても、各チャネルに合わせたフロントのUIを用意すれば、他の機能やデータは共通で使えるということだ。当然、作成にかかる作業量や費用、時間を大幅にカットすることができる。さらにデータの分散を防げるため、チャネル間の整合性を自動的にとり、最適な顧客体験を提供できるというメリットもある。
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