CommerceとMarketing、掛け合わせることでさらに大きな効果に
「SAP Hybrisはパッケージとフルスクラッチのちょうど間くらいの柔軟性を持つ」と阿部氏。同ソリューション群にはMarketingとCommerce等のラインナップが存在する。Marketingは企業がパッケージに合わせていくイメージだが、Commerceは既存システムを大きく変化させずに導入するイメージだ。また、これらを2つセットで活用するケースも多いという。
「SAP Hybris Marketingの場合は、Facebookなどから企業のサイトにランディングさせる話につながりやすく、自ずとECにも目が行くことになる。すると、データの連携を考えた時にSAP Hybris Commerceも活用しよう、という流れになることが多いです。一方SAP Hybris Commerceの活用から始めても、結局はどれだけ少ない投資でビジネス効果を上げるかという話になるため、ECのスケールが次の課題になることが多い。すると、顧客を見つけて集客させる必要が出てくるので、SAP Hybris Marketingの活用で成果を出そう、となることが多いのです」(阿部氏)
効果を上げるコツは、目的を定めてブレないこと。
あらゆるチャネルに考慮したマーケティングを実施し、効果を上げるためには、目的をきちんと定めることが重要だと阿部氏は語る。
「“うちもオムニチャネルで何かやれ!”とトップダウンで指示されても、現場は困る場合が多いんですね。オムニチャネルは本来、店舗とECの融合や、顧客エンゲージメントの効率化をテーマにすべき。けれど、実際はとりあえずECサイトやアプリを作っただけで終わった、なんてケースもあります。与えられたオムニチャネルという言葉を因数分解できていないんですね。結果、経営者が思い描いている形と食い違いができますし、必ず途中で“あれ?なんでコレやってるんだっけ?”という話になってしまう」(阿部氏)
そうなると企業はもちろん、顧客にとっても良い体験が得られなくなってしまう。目的をしっかり据えて、迷走していないか時々立ち返ることが大切なのだ。続けて阿部氏は、中途半端に取り組むのではなく、きちんとチャレンジすることの必要性を説く。
「環境が変化し、顧客も企業も変わりつつある今、間違いなく、安易な現状維持の方がリスクは高い。単純な既存システムの改修にとどまらず、目的を達成するためのアプローチを取る方がよいでしょう」(阿部氏)
そこで課題になってくるものとして、社内ITのカバレッジがある。IT部門といかに連携をとっていくべきか。外部のベンダーに外注することもできるが、ある程度は社内のIT部門とのコミュニケーションが必要になってくる。SAPでは、導入支援をパートナーのエコシステムを構築し、幅広く行っている。また、世界中のクライアントからECやマーケティングを含めた様々な取り組みの情報を集め、ノウハウとして提供が可能だ。
「グローバルカンパニーとして、ビジョンの確立とその実現という両軸でご支援が可能です。社内のIT部門と連携を図りつつ、当社やパートナー様を上手く使っていただければと思います」(阿部氏)
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