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MarkeZine Day 2016 Autumn レポート(PR)

ミレニアル世代はどんな人々? セガネットワークスとランサーズが語る「ゲーム」を使った攻略法

 昨今デジタルマーケティングの領域において、「ゲーミフィケーション」という考え方が注目されている。ゲームデザインの技術やメカニズムを活用し、課題の解決や顧客ロイヤリティの向上のために役立てるというものだ。その支援事業を目的として、セガゲームス セガネットワークス カンパニーとランサーズが、合弁会社「クロシードデジタル」を設立した。同社取締役の伊藤真人氏、ランサーズの幸村潮菜氏が登壇し、その目的とターゲット層、事例について語った。

ミレニアル世代を中心に、ゲームを軸にしたマーケティングを

 セガゲームス セガネットワークス カンパニー(以下、セガネットワークス)とランサーズが2016年8月に合弁会社クロシードデジタルを立ち上げた。その目的は、マーケティングにおけるゲーミフィケーションの活用と普及だ。

 具体的にはマーケティング支援のみならず、セガネットワークスのマーケティング支援ツール「Noah Pass」による送客サービスや、データを活用したビジネスマッチング、クリエイティブを含めた制作支援など広範囲にサポートする。

 「MarkeZine Day 2016 Autumn」では、「スマートフォンゲームの企業デジタルマーケティング活用事例」と題して、クロシードデジタルが、スマートフォンゲームを活用して異業種であるナショナルクライアントのマーケティング支援をどのように行っていくのか、具体的な紹介がなされた。

 はたして現在、実際にこのようなマーケティング手法に対して市場のニーズは高まっているのか。まずランサーズから事業開発部 部長の幸村氏が登壇。状況を「当社が提供するクラウドソーシングのプラットフォームを見ると、コンテンツマーケティングの市場拡大にともない、デジタルマーケティングの支援事業に対するニーズも高まってきました」と説明する。

ランサーズ株式会社 事業開発部 部長 幸村 潮菜氏
ランサーズ株式会社 事業開発部 部長 幸村 潮菜氏

 同社でもこの動きを鑑み、コンテンツの制作のみならず、コンテンツの企画・設計や効果測定などを行ったり、コンテンツの制作と改善ができるマーケティングシステムを自社開発したり、デジタルマーケティングに関する提供サービスを拡張しつつある。その延長線上に、今回の合弁会社設立があるという。

 では、どのようなターゲット・どのような施策が想定されているのか。幸村氏は「ミレニアル世代」をメインターゲットとしていると語る。「この世代を制すものがデジタルマーケティングを制すといえるほどに、ポテンシャルの高さを感じています」(幸村氏)

そもそもミレニアル世代とは誰なのか

 「ミレニアル世代」とは、誰のことだろうか。諸説あるものの、同セッションでは1980〜2000年に生まれた世代と定義する。実際の年齢では17〜36歳ほど、「generation Y」と表現されることもある。現在、世界中でミレニアル世代の消費者は約20億人いるとされており、アメリカにおいては総人口の30%を占める。

 2020年までに、この世代の市場規模が1兆ドルを超えるといわれており、最も巨大で、重要なセグメントとして認識されている。今後、政治も、経済も彼らをターゲットとして意思決定がなされていく、そんな時代になっていくのは間違いないだろう。

 一方で、ミレニアル世代はこれまでの世代と考え方や行動パターンなどが大きく異なっているといわれている。たとえば「リーマンショック後」や「失われた20年」といった経済が低成長の時代に生まれ育ち、そんな不景気を一人では乗り切れないという思いからか、仲間同士の連帯感を大切にする価値観を持つ。

 さらに、ネットの常時接続が完了した後に生まれ育ったことから、デジタルのリテラシーが圧倒的に高い。いわゆる「デジタルネイティブ」として、ネットを駆使して豊富な情報、多様な選択肢を持てるようになったというわけだ。彼らの親世代と比べても、大きく異なる環境で生まれ育った世代といえるだろう。

 この価値観や行動パターンの違いは、既に様々な企業活動にも影響が出てきている。たとえば、採用活動や組織マネジメントの中で「ミレニアル世代の社員をいかにマネジメントするか」が大きなテーマとして語られている。もちろんHR領域だけでなく、マーケティングの領域でも「ミレニアル世代の支持をいかに得るか」は大きな課題となっている。

日本におけるミレニアル世代のポテンシャルとは?

 「日本のミレニアル世代」のポテンシャルはどのようなものだろう。少子高齢化といわれながらも、日本における人口は「総人口の21%」にあたり、アメリカと比較すると少ないものの、全体の5分の1を占めており、無視できない数であることは間違いない。

上:ミレニアル世代の人口比率、下:ミレニアル世代のおこづかい
上:ミレニアル世代の人口比率、下:ミレニアル世代のおこづかい

 さらに国勢調査のデータでは、1カ月に個人で自由に使える金額はミレニアル世代が全世代トップクラスとなっており、1位の60〜64歳についで2位。月額でいうと約4万円にのぼる。

 他の世代と比べ所得は低いが、自分の意思決定次第で好きなものを買える金額は多いというわけだ。なお、利用の内訳は、食品・交通費・衣類がトップ3を占め、次に多いものがゲーム代であることも特徴的といえる。

 そして、マーケターにとって無視できない「デジタルネイティブ」である点においても、他の世代との明確な差異が見える。まず、スマートフォンの保有率は他の世代と比較しても最も多く、接触時間も圧倒的に多い。さらにSNS利用者人数も最も多く、発信力がある。また、日本人口におけるミレニアル世代のボリュームとスマートフォンの普及率×年代別人口で試算するとミレニアル世代が最も多く、デジタル施策を行うなら、ミレニアル世代をおさえることが重要なのだ。

 こうしたデータを踏まえ、幸村氏は「マーケターにとっては無視できないどころか、少なくともデジタル上においては“量でも質でも”価値あるターゲットだといえます」と力説する。

ミレニアル世代をへのマーケティング、4つの注意点

 ミレニアル世代に対して、具体的にどのようなマーケティング手法をとるべきか。いくつか課題があるという。第2の課題は、従来のマス広告中心のマーケティングが効きにくいということ。マス広告が効かなくなったと指摘は多いが、ミレニアル世代のマスメディア接触時間は、接触の多い世代の半分程度だ。

一日あたりのマスメディア接触時間
1日あたりのマスメディア接触時間

 マスメディアの代わりに接触しているものが、スマートフォン経由でのデジタルメディアだ。この変化を背景に、第2の課題である個人による興味関心の多様化が発生している。たとえば、ミレニアル世代の女性が最も使うとされるトップ3のサービスでも、重複ユーザーは23万人にとどまる。どこかのサービス、どこかのメディアに出しておけば皆が見てくれる、とはいかないわけだ。

 幸村氏は、このミレニアル世代を対象としたマーケティングで意識すべきポイントを4つ挙げている。

  1. 飽きっぽい:デジタルネイティブの特徴として、待たずに今すぐに手に入れたいという欲求が強い。
  2. 押し売りを好まない:広告よりも、SNS等によって発信される第三者による評価を重視する傾向がある。
  3. 購入したがらない・持ちたがらない:ブランド品や高額品などステータスを得るための消費には関心が薄く、所有欲も低い。
  4. モノよりコト:体験型の消費(旅行、コンサート、パーティーなど)を好み、その経験・体験をソーシャルで友人と共有することに喜びを感じる。

 この特徴から幸村氏は「既存のメディアは通用せず、かといって接触するデジタルメディアは分散している。さらには、性格的に飽きっぽいし、押し売りをきらうし、なかなか買わないし、コトじゃないと動かないという消費者として非常に難易度の高い、これまでとまったく異なる消費者像が浮かんでくる」と分析する。

 それでは、マーケターはどう対応したらいいのか。幸村氏は、次の4点を注意点として挙げる。

  1. 常時接続しているスマートフォンベースであること:いつも肌身離さないスマートフォン経由でアプローチすることは必須。
  2. 一定ボリュームが集まるところで施策を行う:効率性を高めるため、なるべくミレニアル世代が集まるところで施策を行う。
  3. 企画はシェアしたくなるようなイベント感をもたせる:シェアしてもらえる企画をたてることができれば、拡散によって効果が高まる可能性がある。
  4. 関係構築に努めること:単純な押し売りは嫌がられるので関係構築を意識する。たとえばデータをためて、継続的に相手の動向を見ながらアプローチするといった仕組みをもてることが望ましい。

ミレニアル世代の約半数は毎日ゲームをしている

 続いて、クロシードデジタルの取締役に就任した、セガネットワークス カンパニーの“ミレニアル世代”伊藤真人氏が登壇。幸村氏が掲げた「ミレニアル世代へのマーケティングを成功させるための4つのポイント」に対し、クロシードデジタルは適切な対応を行い、応対するソリューションの提供が可能だと説明した。

株式会社セガゲームス セガネットワークス カンパニー デジタルマーケティング事業統括部 事業戦略部 プロダクト・サービス課 課長/クロシードデジタル株式会社取締役伊藤 真人氏
株式会社セガゲームス セガネットワークス カンパニー デジタルマーケティング事業統括部 事業戦略部
プロダクト・サービス課 課長/クロシードデジタル株式会社取締役伊藤 真人氏

 たとえば、常にスマートフォンにアプローチするという点においては、セガネットワークスの資産としてスマートフォンアプリの相互送客ネットワークを保持しており、アプリとシームレスに接続されたWebサービスも提供しているという。

 2つ目の「偏りなく幅広いリーチができるボリュームを持っていること」に対しても、国内最大規模のゲームユーザープールを持ち、3つ目の「シェアしたくなるようなイベント感のある企画であること」についても、ゲームビジネスを展開してきたノウハウや知見をもとにゲーム開発運営実績のある人間が在籍していることから、より具体的に訴求したい商品に対してゲーミフィケーションを活用した企画の提案が可能だという。

 最後4つ目の「押し売りせずに関係値構築に努める」ことも、ゲーム自体ユーザーが高頻度で遊ばれる媒体であり、また、施策実施の際に顧客情報を取得できるため、多面的にユーザーとの1to1マーケティングを実施できるというわけだ。

 「Noah Pass」はセガネットワークスが展開するマーケティング支援ツールであり、ゲーム画面上にバナー広告を表示し合うことにより、ゲームアプリ間で相互に送客・集客することが主な機能となっている。2016年6月現在、累計接触端末数ベースで1.4億のユーザーを擁し、月間にして1,236万ユーザーが利用する。既に多くのゲーム会社が利用し、135社784タイトルが参加しているという。

 そもそもマスメディアへの接点が減ってきているミレニアル世代は、むしろスマートフォンゲームへの接触が多く、6割近くが利用している。さらにその半数が週1日以上スマートフォンゲームを利用し、そのほとんどが1日に1時間以上スマートフォンゲームを利用するという。つまり、スマートフォンゲーム自体がマスメディア化してきているといっても過言ではないだろう。

 「ゲームを有利に進めるアイテムがもらえたときの態度変容と行動喚起力が非常に高い傾向がある」と伊藤氏。たとえば、広告キャンペーンでゲームアイテムを付与すると、クリックコンバージョンが13.3倍にものぼったという。つまり、ゲームアイテムは、金額的な価値以上にユーザーの態度変容・行動喚起を促すインセンティブとなっているというわけだ。

 さらに、伊藤氏は「このゲームユーザーならではの性質を生かすことで『ブランドシフト』『来店』『アンケート』などの施策を効率的に実施することが可能となる」と語る。たとえばポケモンGOも、モンスターを集めるためにある地点まで歩いていくという行動をとることも、ミレニアル世代には自然なことなのだ。

ゲームとキャンペーンの連携で3倍以上のリードを獲得

 続いて伊藤氏は、ミレニアル世代をターゲットにした、マーケティングにおけるゲームの活用事例を複数紹介した。たとえば、映画「ゴーストバスターズ」の認知訴求およびリサーチ&ダイレクトマーケティングの事例では、ゲームの中で、「ゴーストバスターズ」のキャンペーンページを表示し、ゲームを有利に進めるアイテムをフックに顧客アンケートを実施。顧客リードを獲得した上で1to1マーケティングを継続的に行った。

 これによって、通常の方法と比較しても3倍以上のリード獲得に成功した。また、ゲーム面でのキャンペーンページ表示により、アンケート結果から態度変容が見られ、ゲーム面での表示だけで認知度向上および興味喚起を促すことができたという。

 伊藤氏はこうした施策を振り返り、今後の展開の可能性として、リサーチとO2Oによる施策を挙げる。つまり、ターゲットとしたいユーザーとのペルソナが最も近いゲームを選択しマッチングすることで、より効果を上げようというものだ。他にも、ゲーム内表示やイベントでユーザー接点を確保して態度変容/行動喚起を促したり、施策で獲得したリードを活用し、ユーザーの興味関心に応じたコミュニケーションをゲーム内告知やメール等で実施したり、様々な可能性があるという。

 最後に伊藤氏は「将来的には企業のキャンペーンページ内にWebで動作するミニゲームコンテンツを制作・運営し、ゲームユーザーの特性とプレイ、データの蓄積を行い、高いエンゲージメントを実現できればと考えています。ぜひ、ユーザーの皆さんと、社会現象をつくっていければ」と熱く語り、セッションを締めた。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/10/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25306