SEOの重要性はWebサイトの重要性に等しい
――基本的なところからうかがいますが、SEOとは何なのでしょうか。
荒井:SEOはSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)のことで、検索エンジンに自社のサイトやコンテンツが正しく評価される状態を作るための手法をいいます。
SEOの施策を行うと、特定のキーワードでの検索で自社サイトの表示順位が上がるという結果が得られることが多いので、SEOを「検索サイトで上位表示すること」だと認識されている方が非常に多いです。ですが、それはSEOの結果であって、実際にはその結果を得るための施策そのものがSEOなんです。
日本国内においては、ヤフーも今はGoogleの検索技術を利用していますから、基本的にはGoogleの検索エンジンに対してどう最適化を行っていくかが重要です。
ただし、検索エンジンの仕様やページの評価方法に最適化させることは施策の方向としてはありえますが、最も考えなくてはいけないことは、閲覧する方がどういう情報を必要としているかということです。この考え方がブレると、コンテンツを作ってもおもしろくなかったり有益ではなかったりしてしまい、本末転倒になります。誰に対して何を伝えるのか、これがSEOの中心です。
――Web集客において、SEOはどれくらい重要なのですか?
荒井:もちろん感覚は人によって異なりますが、私はWebサイトを作ることとSEOを施すことは同じこと、セットで考えないといけないものだと思っています。作ることがどれくらい大事かを考えると、SEOがどれくらい重要かもおのずと決まるのではないでしょうか。
小手先のテクニックではなくSEOの本質を理解する
――「SEOは終わった」「従来の手法はもう通じない」などと言われることがありますが、SEOはその概念や取り組み方が急激に変わることがあるのでしょうか。
荒井:ヤフーがかつてYST(Yahoo Search Technology)という検索エンジンを使っていたときと比較すると、現在が同じ状況だとは言えません。たしかに、そのときいい思いをしていた方にしてみれば「SEOは終わった」という言い方ができるかもしれません。
ですが、その当時からロングテールの施策をしていた方はそれほど大きな影響を受けていないはずです。複数キーワードで検索したときに自社サイトが上位表示されるようにする施策ですね。
SEOの施策は、表示順位の向上か流入数の増加かで方向性が異なります。流入数を指標として見ていた方は、特定のキーワードでの表示順位を上げるのではなく、流入に繋がるキーワードを増やすことを重視しています。つまり、ページやコンテンツを増やす施策を行っているんです。
――昔も今も、SEOの施策で大切な部分は変わっていないということですね。
荒井:SEOから見て優れたWebサイトは、検索エンジンが情報を判断しやすい構造になっています。そして、いいコンテンツとはユーザーが検索するキーワード、知りたい情報がきちんと記載されているものをいいます。それを実現するために、Web制作とSEOはセットで考えないといけないわけです。
テクニックがあればどうにかなる部分でごまかすのではなく、このように本質を押さえた対策を行う必要があります。そうすれば、状況の変化に右往左往せずにいられるでしょう。
もちろん、Webサイトを作ってからSEOの施策を行うこともあります。テキストを変えるだけであれば容易とはいえ、それだけでは足りないところが必ず出てきます。一度作ったものを修正するのは手間と時間とお金がかかりますから、Webサイトを作る段階でSEO施策を反映する形が最も無駄がないわけです。
Web制作やSEOについて判断する立場の方に受講してもらいたい
――今回の講座の内容について教えてください。
荒井:技術的なことよりもむしろ、SEOがどういうものかという全体像についてお話をします。SEOが過去から現在に至るまでどのように変化してきたのか、また、それに合わせてSEOでやってはいけないことなどを紹介します。具体的な事例からどういう施策をするとよいのかも解説する予定です。
――どんな方が受講するといいのでしょうか。
荒井:SEOという言葉は聞いたことがあっても、そもそも何をしたらいいのかわからない方。あるいは、Webマーケティングの担当者になったばかりの方やマーケティングチームに加わって間もない方のような、駆け出しの方が主なターゲットです。誰かに見てもらうためのWebサイトを運営したり管理したりしている方が対象だといえます。
SEOに限らずですが、担当になったばかりの方はそもそも言葉の意味がわからず、人と話していても内容を理解できないことが多いと考えています。私自身も、インフォキュービック・ジャパンに入社して11年目に突入していますが、1年目の特に最初の数ヶ月はなかなか言葉の意味がわからず、お客様と打ち合わせをしたあとは毎回知らなかった言葉を調べていました。
今回の私の講座は、Web集客をテーマとする5部構成のうちの第1部です。SEO以外にも4つの手法を学べますから、知らない言葉、これから出会う言葉の意味を調べる手間が省けていいのではないかと思います。
――受講された方には、具体的にどんなことを学んでいただきたいですか?
荒井:SEOの概要を理解していただくことが重要です。SEOにはやるべきこととやってはいけないことがあるので、まずはやってはいけないことを知っていただければと思います。
やるべきことに関しても、取り組み方の順序が変わると効率が下がることがありますので、何から始めたらいいのか、本講座で把握していただきたいですね。受講後にはきっと、どういう視点でSEOを考えるべきか掴めるようになるはずです。
――どんどんSEOに取り組んでいけるようになるというよりは、もっと基礎的な部分を把握・理解することに重点が置かれているということですね。
荒井:これから自分でSEOに取り組んでいこうという方の場合、SEOの概要を知っているだけではダメで、Web制作のためにHTMLのソースを触れないといけないなど覚える範囲が膨大です。
しかし、多くの企業ではWeb制作が外注されています。ですから、担当者にとってはSEOも与件として提示できるかどうかが大事なんです。そして、提示したものに対してでき上がってきたものが正しいか否かの判断をするための情報を持っていないといけません。
そのため、Web制作やSEOについて「判断をする」立場の方に特に受講していただきたいと思っています。
――受講して会社に帰ったあと、まず何をすればいいですか?
荒井:自社のサイトのSEOがきちんとできているかチェックしてみてください。ページ単位で見たとき、タイトルと情報、文言が合っているかどうか。その言葉は本当にユーザーが検索する言葉かどうか。特に、普段使っている自分たちしか知らない言葉で表現していないかという点を確認していただくのがいいですね。
将来は日本から海外へ発信するためのSEO講座も
――最後に、今後の目標などあれば教えてくださいますか?
荒井:今回は講座全体が国内向けの内容になっていますが、実は弊社が取り組んでいるのは海外向けの、日本語以外の言語を使用する案件がほとんどです。海外のSEOでは国内とは異なる要素を考慮する必要もあるので、今後そういった内容も講座に盛り込んでいければいいなと考えています。