EC向けに開発された「ダイナミック広告」 今後は他業種に特化も
EC事業者が実際にFacebook上でビジネスを加速させたいと考えた場合、具体的にどのようなことが可能なのだろうか。
今回のセミナーでその1つとして強調されたのが、ダイナミック広告だ。これはひとことで言うなら、FacebookやInstagramで利用できるインフィード型のリターゲティング広告。広告主は、製品カタログを登録することで複数の商品のPRができるようになる。商品やサービスに関心を持っているユーザーに対して広告を掲出できるため、高い効果が見込まれることと、Facebookのタイムライン上で表示されるため、ユーザーの目に留まりやすいことが利点だ。
元々EC向けに開発された広告商品であったものの、今後同社ではEC以外にも、業種に特化したダイナミック広告をリリースする予定があるとのこと。その第1弾として発表されたのが、旅行業界に特化したダイナミック広告だ。これを活用すれば、たとえばトラベル系アプリで航空券を予約し、アプリを閉じてFacebookに訪れると、先ほど予約した航空券の到着地に関連したホテルの広告が表示される、などの流れが実現する。
クッキーを超える「人単位」のデータから見えた、検索連動型広告との相乗効果
今回のセミナーでは複数のFacebook Japan社員が登壇したが、長谷川氏に続いて登場した同社執行役員、田野崎亮太氏からは、Facebook広告と検索連動型広告との相乗効果について語られた。
「我々Facebookは、生活者の検索の方法に影響を与えていることがわかってきました。たとえば、会社にいる時に見たFacebook上のフィード広告が気になり、家に帰って検索した際に表示された検索連動型広告から購入した、といったようなパターンを分析してみると、アメリカでの事例ながら、検索連動型広告、およびFacebook広告の両方を見たユーザーと、検索連動型広告のみを見たユーザーとの比較で、広告の投資対効果で30%、1人あたりの売上では24%の優位性がありました」(田野崎氏)
この種の計測には、ブラウザなどの「クッキー」が利用されることが多いが、Facebookアカウントに紐付けられた「人単位」のデータを利用すれば、より正確に、さらにはデバイスをまたいで効果を測定することができ、広告の運用効率を改善しやすくなることも強調された。
360度対応も。動画広告の強い認知効果
壇上では、ダイナミック広告など広告の仕組みだけではなく、FacebookやInstagramが持つ複数の広告フォーマットも紹介された。たとえばカルーセル広告は、複数の商品を横に並べスクロールさせて表示させることが可能な機能で、従来のバナー広告よりも多くの情報を載せることが可能になった。
また、最先端の動画広告の試みとして「360動画」の紹介がなされ、サンプルとして、人気映画『スター・ウォーズ』のクリエイティブが登場。スマートフォンをかざすことで、360動画を楽しめる、世界を見回せるような魅力について語られた。
ちなみに、Facebook上でも動画広告の効果はやはり高いようで、特に認知効果に関しては、静止画が8.6ポイント増であったのに対し、動画広告は17.3ポイント増にも達したとのことだ。