顧客基点にブランドの軸を加え、シナリオを作成
シナリオベースのメールとは、具体的にどういうメールを指すのか。
「大量配信を助長した背景には、キャンペーンなどの企業視点でのメールが多くなっていったことがあります。改めてお客様目線に立ったシナリオを設けて、配信タイミングや情報の出し分けを行おうと考えました」(吉本氏)
そこで、踏み込んだ改善に舵を切るために、2015年7月からMarketing Cloudを導入。シナリオ配信を自動化した。
「Marketing Cloudは、海外での確かな実績に加えて、LINEに対応している点が大きな決め手で採用しました。メールに限らず、状況に応じた顧客とのタッチポイントを探りやすくなります。メール、LINE双方の配信を効率化し、かつ効果の向上をはかりました」(吉本氏)
さらに、2016年からはブランド基点で新たなチャレンジを始めている。
「2015年までは、顧客基点をベースにしながら、延長線上にECの売上向上、実店舗への送客といった直接的な売りに関わる活動が私たちの主な業務でした。そこから、顧客基点に各ブランドという軸を加え、お客様にとって最適・最良なブランド体験を継続的に提供する方針に変わったのです。その実現には、Marketing Cloudの機能性が不可欠です」(徳丸氏)
お客様の今を捉える「モーメント」と4つの軸
顧客目線に各ブランドの視点を加味した方向性に対して、実際に資生堂が取り入れはじめたのが「モーメント」という考え方だ。資生堂が呼ぶモーメントとは、「今、お客様が何を考えているのか」。このモーメントを捉えるために、ワタシプラスの閲覧ログのほか、サンプル申し込みなどの行動ログ、購入ログ、ワタシプラス以外の資生堂が運営するサイトでの各種ログなどを分析するという。
「注意しているのは、直近の行動だけを見ていてもお客様を知ることは難しいということです。既に商品は使用されていて、より良い使い方を知りたいのか、初めての訪問で情報を深く見ているのか。過去と現在のデータ掛け合わせて、お客様一人ひとりの今(モーメント)を推測したいと思っています」(吉本氏)
実現の前提として、ワタシプラス以外の資生堂のWeb会員、店頭会員のユーザーIDなどサイロ化したデータを統合し、ユーザーの好みや優先順位についての管理を実践しており、これをユーザー・プレファレンス・マネジメントと呼んでいる。ワタシプラス会員でも資生堂以外の他社ブランドや製品を比較・検討している状況までも含めて、より実状に近い状態で把握できるように、ユーザーのプレファレンス(好み)を次の4つの軸で管理しているという。
- ユーザー属性などのデモグラフィックデータ
- ブランドの好み
- 美容への好みや悩み
- 購入チャネル/利用デバイス
「たとえば、ECサイトの詳細ページまで遷移しながら購入しなかったお客様に対して、過去の行動履歴を参照します。購入履歴があればキャンペーンAを、購入履歴はないけれど特定ブランドの好みがはっきりしていればキャンペーンBを、両者がなければキャンペーンC、もしくは無理に訴求しない等、モーメントに合った訴求を行います」(吉本氏)
資生堂の「伴走型マーケティング」を支えるテクノロジーとは?
顧客のモーメントを捉え、長く関係を築こうとしている資生堂。同社を強力にサポートするMarketing Cloudは、具体的にどのように機能しているのでしょうか?
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