VRが提供できる価値とは
その後はアウディ、HTC、VR領域のビジネスを行うFRAME STONEとJAUNTがそれぞれ今取り組んでいるVR活用について語る「The VR Experience」というセッションを聞いた。キーワードとなりそうなのは以下5点だ。
・ 消費者とのエンゲージメントを強める特別な価値を提供できるのか?
・ Oculus Riftは映像を活用してものすごいポテンシャルを生み出した
・ ゲーム分野、医療分野での活用が特に注目されている
・ アウディでは、ボディカラーの変更はもちろん、エンジンや内部の構造を説明するのにVRを活用。
消費者のエモーショナルな購買動機を高める実験を始めている
・ 構成がきちんと組まれたストーリーがないと上手くいかない
VRの関係者がそれぞれの立場から話したものの、結論には至らなかった。さらに、現状では何か明確な方針や画期的な技術活用があるわけでもなかった。
しかしながら、使わないより使ったほうが消費者のインサイトに働きかける事ができるのではないか、という前向きの仮説の上での議論だったので、聞いていて興味深かった。事業会社側の活用が広まっていかないと、具体的な成功事例や成果が出てきたり、技術が進化したりしない。私自身も、小売の現場で何か活用できないか、常に意識しておきたいと思った。
地に足のついたマーケティングが学べる空間に
最後に、1日目の午後にマーケティングやEC、AR、VRに関わるブースを回った感想を共有したい。全体の印象として、講演やパネルディスカッション、ディベートなどがあちこちで行われ、ブースで今後のトレンドを探るというよりも、現状を理解し更なるマーケティングの進化をどう図っていくかを参加者が考えているように見えた。
主にメールマーケティングやID連携、IPアドレス、Cookie、位置情報、ポイントカードなどに関するブースが多かった。これらをどう結び付けて活用しているのか、活用後に明らかになった基本データをビックデータとどう結びつけ、パーソナルなマーケティングにつなげていくのか、という小売からすると非常に地に足のついたマーケティングの話があちこちで交わされていた。
ホテル近くの大手スーパーREVE(レーベ)に寄った際も、DMEXCO会場で説明を聞いたpay back端末を発見した。同端末では、会員がスマホやカードでクーポン発行などができる。
こうした具体的な取り組みをひとつずつ積み重ねて、消費者中心に対する理解と、そこから生まれる利益をきちんと見据えているのがヨーロッパのマーケティングだと感じた。そうした意味でマーケティングに関わる方はぜひ一度は参加して欲しい。
次回は同カンファレンスの2日目、そして海外の小売の現場を見て感じたことを共有する。