アイウェア業界の雄、JINSのデータ活用に迫る
――御社のサイト運営におけるミッションは何ですか?
在田:JINSのwebサイトには、大きく3つの目的があります。ひとつはJINSの哲学を伝えること。2つ目が、オンラインショップの売り上げを最大化すること。サイト導線を改善してお客様利便性を向上させて、いかに多くコンバージョンまで繋げるか、ですね。
最後に、JINSが取り組んでいる最先端のデジタルサービスを提供すること。ウェアラブルデバイスの「JINS MEME」、3Dで試着ができる「JINS VIRTUAL-FIT」や、AIがメガネのマッチ度を判定する「JINS BRAIN」などのサービスを発信することです。
――その中でお二人はどういった業務領域を担当し、どのようなデータの活用をしているのでしょうか。
在田:私はオンラインショップの新サービス導入や、お客様の行動ログの分析から施策を検討する業務を主に担当しています。最近であれば、Amazonログイン&ペイメント、楽天ID決済、ケータイキャリア決済といった支払方法の追加や、オンラインショップで購入した商品の店頭受取サービスの導入などを行いました。ですから、私の立場でのデータ活用は、サービス導入検討の際の根拠となる数字を調べることが主ですね。
深井:私は主にオンラインショップの運営やお客様向けwebページ制作、オンラインショップ限定で発売している商品の企画を担当しています。データ活用の側面では、コンテンツ作りのためにお客様の興味関心が今どこにあるか、お客様が他社のどういったサイトに足を運んでいるのか等を調べています。
相対評価とスピード感のある判断を実現するために
――webのアクセスログを分析する狙いはどこにあるのでしょうか?
在田:スピード感のある判断と、相対評価ができることですね。以前から、Googleアナリティクスを使っていますが、GAは自社の状況しか計測できません。コンバージョンレートやPVなどの情報を時系列で追って「何をしたからこうなった」を知ることは重要ですが、他社動向や市場トレンドを捉えたうえで相対的に比較できないと、視野が狭くなる。いくら当社比で成長していても他社がそれ以上に伸びていたら、手放しでは喜べません。
相対評価は調査会社に依頼することもできますが、時間とコストがかかるため、実施できて年1~2回です。会社方針である「Magnify Life」にもあるように、新しいことを積極的に取り組んでいく社風なので、これではスピード感が足りないと思っていました。
そこで、他社サイトを含めたweb上の行動ログを分析できないかと考え、2014年からヴァリューズが提供する「eMark+」というツールを使って、他社を含めたアクセスの分析と活用をしようと考えました。
――データはPCとスマートフォンの両方を見ているのですか?
在田:最初はPCのアクセスデータだけが見られる無料版を使って、PCのアクセス数から当社のスマートフォン比率を掛け合わせてスマートフォンでのアクセスを類推していました。ですが、PCとスマートフォンではユーザー層も異なりますし、これでは片手落ちになると考え、1年ほどでスマートフォンのデータも見られる有料版に変更しました。