スマホで人を動かすのに必要な3軸とは
MZ:位置情報はターゲティングとしての活用以外にも、ペルソナを立てる上の重要なデータにもなりえるんですね。現在の位置情報活用における課題はありますか。
湊:我々としては、もっとクリエイティブを工夫できないか、という課題があります。たとえば、住所や具体的な店舗名をクリエイティブ内に入れるだけでも効果的だと思っています。スーパーAより、スーパーA〇〇店のほうが自分ごと化されるはずです。ちなみに、松岡さんは位置情報を掛け合わせるならどういったクリエイティブがいいと思いますか。

松岡:ユーザーがスマートフォンの中で求めることというのは、「お得・楽しい・便利」という3つの軸だと思っていて、これらの要素を入れますね。ただ、人を動かすにはその軸の中で、強烈なフックを用意すべきです。広告を見て、人が行動を取るという文脈は非常に高いハードルだと感じており、瞬間性やその場で参加したくなる要素が重要かと思います。
たとえばタレントが近くにいて握手ができるとか、スーパーAに3分以内に駆け込んだら弊社の商品を無料サンプリングするとか、リーチするタイミング含めそのくらい強烈なフックがないと、意外と人は動かないのかなと思います。
MZ:たまたま近くに居合わせた際に、そういったキャンペーンがあれば、参加してしまいそうですね。
松岡:そういったアクティベーション型のキャンペーンは近い将来実現したいですね。弊社関連の店舗・流通・小売企業さまにとってもメリットがあるので一緒に取り組む可能性もあります。また、バレンタインなどの季節性のイベントとも相性がいいと思います。
今後は来店指標の確立、広告配信にとどまらない活用がカギに
MZ:最後に、今後の展望を教えてください。
湊:我々としては、位置情報の活用は計測ができないと意味がないと思っています。ですので今後は「CPV(Cost Per Visit)」、1訪問あたりにかかったコストを指標として確立していきたいと思います。最終的には、各会社にあった目標CPVを継続したキャンペーンの中で設定して、CPVの最適化を行っていきたいです。
MZ:松岡さんはいかがですか。
松岡:位置情報を活用したマーケティングには本当に期待していて、さまざまなシーンで活用ができると思います。弊社は今回のサイバーエージェントさんとの取り組みのように広告配信はもちろん、キャンペーンで得られたリアルな行動データを他のマーケティング施策にも活かしたいですね。
位置情報は生活者にとって機密性の高い情報なので、適切なコンタクトポイントでの活用が重要だと考えています。たとえばイベント、店舗、工場、売り場での「行動」につながる施策やより細分化した地域に根差した情報の出しわけなど、スマートフォンの特性を活かした新しいコミュニケーションの可能性もあります。一過性の購買施策だけではなく、長期的なデータ活用としてブランド育成にも位置情報を活用していければと思います。