世界的なブランドの“グローカル”マーケティング
MZ:ラグジュアリーブランドとしてグローバルで確固たるポジションを築いているレクサスは、国内外ともに販売台数が好調だそうですね。今回は、レクサスのブランディングに対する考え方や、現在どういった課題に対してコミュニケーションを展開されているのかをうかがいたいと思います。まず、ブランディングの体制と、沖野さんが率いるJマーケティング室のミッションなどを教えていただけますか?
沖野:レクサスはトヨタ自動車の中で“レクサスインターナショナル”という社内カンパニーを形成しており、グローバルでのブランドマネジメントと運用を指揮しています。Jマーケティング室は、その中でも日本のブランドマーケティングを担っています。ただ、現在グローバル戦略も日本から発信しているので、グローバルのブランディング方針を前提に、できれば日本が“How”を示してグローバルを牽引したい。そんな考えで動いています。
MZ:ラグジュアリーブランドだと、グローバルで統一された方針はかなり強いのではないですか?
沖野:一般的にはそういわれますが、レクサスのガバナンスは欧米のブランドほどは強固にしていません。実際の販売は地域ごとの状況や事情にかなり左右されるので、グローバルの方針とローカルのマーケットの整合性を融合させた“グローカル”で展開しているイメージです。
ブランドタグラインは「EXPERIENCE AMAZING」
MZ:改めて、ブランドのコンセプトを教えていただけますか?
沖野:レクサスのタグラインは「EXPERIENCE AMAZING」――喜びや感動にあふれる、すばらしい体験を提供したいとこのタグラインを掲げています。我々は単に車を売っているのではなく、車による体験を通してお客様のライフスタイルをより豊かなものにしていきたいと考えています。
自動車ブランドではなく、ラグジュアリーライフスタイルブランドと標榜しているのもそのためです。我々がライフスタイル自体を提案するのではなく、レクサスやレクサスブランドの活動が顧客の潜在的な希望を揺り動かして、次の高みをご自身で発見できる、そんな刺激となるブランドでありたいと考えています。
MZ:レクサスを通して、少し先の自分にふさわしい新しいライフスタイルに気づくようなイメージですね。以前と違って現在は、マスメディアを通じた一方向的なブランド訴求が成り立ちにくくなっていると思いますが、現在のメディア環境におけるコミュニケーションをどう捉えていらっしゃいますか?
沖野:ご指摘のように、今はSNSを含めたオンラインのマーケティングも非常に重要になってきて、可能性がどんどん広がっており、以前のような一律に伝える方法だけでは立ち行かなくなっていると思います。そこで、ラグジュアリーブランドとして適切にマネジメントしながら、よりOne to Oneのコミュニケーションを目指しています。