オンラインとオフラインの「融合」を実現する4つのソリューション
では、これらのO2Oの課題を解決するには何をすべきか。シナラシステムズが提供しているソリューションとして、高山氏は次の4つを挙げた。
- WebとREALを横断したカスタマージャーニーの可視化
- 業界全体に対する自社のShare of Visit
- WebとREALを横断した顧客のエンゲージメント
- 商品が置かれている売り場と自社サイト訪問者のGAP分析
1点目と2点目が現状分析のメソッドであるのに対して、3点目は顧客とのコミュニケーションをWebとREALで統合して最適化するための方法論となる。4点目は自社店舗を持たないメーカーが対象で、流通と自社サイトそれぞれの訪問者の属性を比較することで施策を改善するやり方を紹介する。
Web上のCVがREAL店舗での成約につながっているのかがわかる!
まず、高山氏はWebとREALを横断したカスタマージャーニーを可視化する必要性を述べた。具体的には、生活者が複数あるタッチポイントをどの順番で通過していくのかを把握することが大切だ。
たとえば、広告に接触しクリックしてサイトを訪問し、訪問したサイトコンテンツの深いディレクトリで詳細な商品情報に触れ、最終的に資料請求を実施し、それからある程度時間をおいて来店する。このようなカスタマージャーニーの順番を、正しく把握することが準備として欠かせない。
シナラシステムズのマーケティングプラットフォームは、計測タグを通じて広告接触者やサイト訪問者を計測することができる。同時に、Wi-Fiアクセスポイントが設置されている各店舗を対象に、スマホ端末の電波強度および一定間隔における検知回数を判断材料として、自動的に店の中と外にいる人を判別できる。
この機能を活用することによって、自社店舗への来店者を計測し、広告接触から来店までの行動を可視化することができる。この仕組みによってWebとREALを横断したカスタマージャーニーの可視化を実現できる。
次に、サイト上のどのコンテンツを見せれば一番来店につながるのかを把握していく。そして最後に、そもそもWeb上のコンバージョンポイントが来店を実現するために必要なのかどうかの検証を行うことが重要だ。
例として、不動産業界の場合を見てみよう。成約件数をあげるためにどのようなWeb施策を実行すれば良いのかという課題がまずある。その先には、問い合わせがあったとしても成約に至らなければ売り上げにならないのに、ひたすら問い合わせ件数を増やすばかりでよいのか、というより深い課題が生じる。
これらの課題に対しては、Web上のデータと来店データをつないだうえで来店率や成約率に注目することが有効だ。サイト上でどの物件を見せれば来店率が最も上がるのかを調べたり、「比較検討」「問い合わせ」「来店」といった各ステージをどのような順番でたどれば成約につながりやすいのかといった検討を行ったりすることで、コミュニケーション全体を改善できる、と高山氏は語る。
業界全体に対する自社のShare of Visitを把握せよ
第二に、業界全体の来店人数に対する自社店舗への来店人数の比率を表すShare of Visitを把握することが重要だという話がなされた。
シナラシステムズのプラットフォームを活用して自社店舗への来店者を計測し、業界全体の来店人数で割ればShare of Visitが算出できる。この指標を活用すれば、競合他社の動向をふまえたうえで自社への来店者数が多いのか少ないのかをモニタリングすることができる。
高山氏が考える、広告で大切なこととは「あまりホットでない人たちをホットにすること」だという。これをREAL店舗に置き換えると、来客者を競合に奪われていないかどうか、奪われていたらどのように取り返すかという視点が重要だということになる。
たとえば、前期に比べて自社の来店者数が落ちているとき、自社だけの話なのか、それとも業界全体で落ちているのかを知る必要が出てくる。このときShare of Visitが下がっているとすれば、自社への来店者数だけが落ちてきている可能性を疑う必要がある。
なお業界によっては、初回来店が必ずしも購入にはつながらないという特性があるため、来店後のタイミングでその顧客が競合に奪われないようにすることが重要だと高山氏は語る。
自動車業界の例でいえば、来店シェアで見たときに競合ディーラーに奪われた顧客がどのような属性を持っているのかを調べ、その後の施策に活かすことが有効だ。たとえば、ターゲットの位置情報が山の近くでよく検知されるとすればターゲットはキャンプ好きだと推測できるので、自社ディーラーに来店したタイミングでキャンプ愛好者に訴求するメッセージを打っておけば、競合ディーラーに顧客を奪われずに済むかもしれない。
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