広告代理店売上に占めるインフィード広告シェアも急増
インフィード広告市場の急成長については、広告代理店の売上推移からその内情をたどることができる。
最大手サイバーエージェントの2016年年間のインフィード広告売上は、369億円で、前年(184億円)の2倍に増加。また、ネット広告売上に占めるインフィード広告の比率は、2016年10-12月期で22%、ちょうど1年前の2015年10-12月期(15%)から、7ポイント上昇した。
また、FY2016 3Q(4-6月期)から4Q(7-9月期)にかけて、売上が非連続な伸びを見せている。これに関して同社ネット広告事業本部統括の淵之上 弘氏は、「6月に本格的な提供を開始したLINEが大きく寄与した」と述べる。
同様の現象は2015年にYDNがインフィード広告の提供を開始した際にも起こったとのことであり、確かにFY2015 3Q(4-6月期)から4Qも、売上が非連続に大きく伸びたことが確認できる。

同社に限らず、運用型広告を得意とするネット広告代理店最大手各社はこれらの媒体を最注力媒体にしたり、取扱専門部署を立ち上げたりするなどにより軒並みこの領域に注力している。
これに合わせて売上も急増しており、たとえばオプトは、2016年10-12月期のインフィード広告売上は前年の1.8倍に増加している。
成長の鍵は動画広告とクリエイティブにあり
インフィード広告の今後の成長は、実は動画広告需要の増加と密接な関係にある。
ご存知のとおり、動画広告市場の成長性については、誰もが疑う余地がないが、実はこの市場の新たな成長を担うのもインフィード広告である。
下記は、インフィード広告市場に占める動画フォーマット比率を示しているが、2016年時点で183億円の動画フォーマットは、2022年には約5.5倍の1011億円となると予想している。これは、インフィード広告全体の約34%である。
これは裏を返すと動画広告市場の成長要因でもある。インフィード広告市場と動画広告市場の成長は、部分的に表裏一体となっており、両市場における需要の強さが成長を支えているとみることもできるのだ。

インフィード広告市場における動画比率の今後について、淵之上氏は、「緩やかに上がっていくであろう」とみる。
広告代理店の運用においては「インフィード広告のクリエイティブを動画・静止画いずれかで配信するかについては、広告プラットフォームのアルゴリズムの傾向を見極めながら、可変的に判断している」(同氏)とのことであり、これまでの動画比率の急増は、広告運用者側が最大の効果を求めて運用した結果であるとも言える。
であれば、今後広告プラットフォーム側のアルゴリズムが、インフィード広告市場における動画比率の大枠の方向付けをすることになる。
この時広告プラットフォーム側がどのようにアルゴリズムを決定しているかは無論明らかではないが、ユーザーの動画に対するレスポンスを重要な変数としていることは容易に想像でき、「最終的には、ユーザーが動画のコンテンツや広告をどこまで受容するか」(同氏)が左右することになる。