本コラムでは、デジタル広告の新領域や市場動向などについて紹介する。今回は、様々なWebメディアに導入されている「レコメンドウィジェット」の市場動向などについて解説を行う。
三方良しのアドテクとして誕生
「レコメンドウィジェット」という用語に馴染みがない読者もいるかもしれない。
Yahoo! JAPANや全国紙のWebサイトに掲載されているニュース記事の終盤で目に入ってくる「おすすめのコンテンツ」として表示される枠と聞けば、イメージが湧くのではないだろうか。
この枠内で表示されるコンテンツは主に2種類。レコメンドウィジェットを導入しているサイト内にある別記事と、アドネットワークを通じて配信されるネイティブ広告である。
ごく単純に見えるこの仕組みは、実は様々な理由で重宝されている。広告主は、宣伝内容に対して興味・関心が合致したユーザー向けに「おすすめのコンテンツ」として自然な流れで広告を配信することができる。媒体社は、広告収益を上げるだけでなく、サイト内に埋もれた様々なコンテンツの閲覧を促せ、ユーザーは、検索など面倒な作業を経ずとも、クリック一つでおもしろいコンテンツを次々と見つけることができる。そうした「三方良し」のアドテクという位置づけと言えるだろう。
媒体社にユニークな利点を提供
とりわけ、多くのアドテクツールが広告主偏重的であると言われている中で、媒体社に対して「自社サイトの回遊を促す」というわかりやすいメリットを提供したところに特徴がある。
昨今のユーザーは、ニュースメディアA社、婦人雑誌B社、スポーツ情報サイトC社といった各社のサイトをわざわざ開いてそれぞれのコンテンツを読むということはあまりしない。特定のキュレーションメディアやSNS上に留まったままで、流入してくるそれらすべての記事を一気に読んでしまうのだ。
このような状況においては、ユーザーの様々なデータを集めることができるのも、また実際に広告料を受け取るのも、キュレーションメディアやSNSの運営企業となる。ユーザーは「A社の記事」と認識すらしないこともあり、「その記事、ネット(またはSNS)で見た」と言ってしまうユーザーもいるという有様で、媒体社の存在感は希薄になっていく一方だ。
媒体社はどうしたらユーザーが自社サイトを直接訪れ、そしてサイト内に留まってくれるようになるかについて日々、頭を悩ましている。
そこに登場したのが、レコメンドウィジェットだった。いったん自社Webサイトを訪れてくれさえすれば、ユーザーはレコメンドウィジェットを通じて、そのサイト上にある関連コンテンツを次々と閲覧し、ページビューを稼いでくれる。
また広告収益に関しても、ユニークな利点をもっている。それは、レコメンドウィジェットが主に記事下に配置される広告枠であるということ。
広告枠というのは、トップページの最上部などに置かれているものが目に付きやすく、よって販売もしやすい。逆に言えば、ページ下部のスペースは広告枠としてはあまり適さないと従来見なされてきた。
ところが、一般的なレコメンドウィジェットは、一つの記事を読了した直後に目に入る位置に広告を表示する。つまり、ページ下部のマネタイズを促進し得るのだ。こうして内部回遊率の向上と広告収益の増加を同時に実現するという触れ込みで、レコメンドウィジェットは瞬く間に日本のオンライン市場に浸透していった。
本調査結果の詳細は、デジタルインファクトが今年10月末に発刊した『レコメンドウィジェット広告の市場動向分析調査 2017』に掲載している。
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- この記事の著者
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長野 雅俊(ナガノ マサトシ)
株式会社デジタルインファクト プロジェクトマネージャー
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に株式会社シード・プランニングに入社、デジタル領域の市場調査を行うグループ会社の株式会社デジタルインファクトに参画。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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