付加サービス拡充で差別化

日本には、レコメンドウィジェットを提供する事業者が主なものだけでも10社前後存在している。やや競争過多に陥っている傾向はあり、同様のツールがこれだけあると、正直なところ、事業者は差別化を図るのが難しいだろう。
そこで、各事業者はレコメンドウィジェットそのものの性能を高めることに加えて、付加サービスの開発に注力しているようだ。特に「自社サイトの回遊を促す」という媒体社向けのメリットを持つことを特徴として発展してきた経緯から、媒体支援サービスに注力する傾向が強いように思われる。
たとえば、サイト内の回遊率などを分析したデータは、サイト全体の再設計や収益管理などの目的にも転用し得る。そこでレコメンドウィジェットの導入社に対して、コンサルティング・サービスや収益管理ツールを合わせて提供するという事業モデルを採用している事業者は多い。
一方、逆張りで広告主向けサービスの充実により注力する動きも見られる。一般的にはNGとされる、商品の購入ページをリンク先と設定することを推奨する事業者もいるようだ。
また自社サイトの回遊を促す機能を除けば、記事閲覧と同じような感覚が持てる形式で広告を配信する仕組みという意味において、レコメンドウィジェット広告とインフィード広告はよく似ている。少なくともスマートフォンの画面上の見た目においては、どちらであるのか識別がしにくい場合もあるだろう。
レコメンドウィジェットのフォーマットが今後ますます多様化し、またインフィード広告事業者も様々な形でサービスを拡充していくことを鑑みれば、これらは一つの大きな「ネイティブ広告市場」として統合される可能性が高い。そうなれば、レコメンドウィジェット広告市場は一気に何十倍もの規模へと発展することになる。
このような伸び代の大きさも、レコメンドウィジェット広告事業の魅力であると言えよう。
本調査結果の詳細は、デジタルインファクトが今年10月末に発刊した『レコメンドウィジェット広告の市場動向分析調査 2017』に掲載している。