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MarkeZine Day 2017 Spring レポート(AD)

「顧客創造が課題」のマーケターに捧げるMA活用Tips10選

 3月2日に行われた「MarkeZine Day 2017 Spring」において、マーケティングオートメーションツールのベンダーSATORIの代表を務める植山浩介氏が登壇。「SATORI導入100社から見えた、すぐに結果の出るマーケティングオートメーション最新Tips10~メール、スコアリング、ライトコンバージョン、プッシュ通知、広告クリエイティブなど~」と題し、継続的な見込み顧客の創出方法について語った。

MAとは「顧客開拓の仕組み化」

 マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを導入しても、うまく運用できていないというマーケターは少なくない。そのような声にこたえるべく、MAツールを提供するSATORIの代表を務める植山氏が、MAを改善するための10のTipsについて解説した。

 「SATORIの導入企業は、ナショナルクライアントを含む幅広い業種業態で利用されていますが、特に中小企業向け、小さなチームで担当者1~2名規模で運用可能なMAとして開発しています。弊社自体小さな会社ですが、自社でSATORIを運用することで、セールス3名で年間1,000商談の見通しが立っています

SATORI 代表取締役 植山 浩介氏
SATORI 代表取締役 植山 浩介氏

 植山氏によると、企業にとっての顧客は大きく二つに分けることができるという。一つが、これから顧客になるかもしれないリードである「そのうち客」。もう一つは、すぐにでも成約・購入しそうなリードである「今すぐ客」だ。この「そのうち客」を育成し「今すぐ客」を計画的に創出することで「顧客開拓の仕組み化」を行うことが、MAの成功を意味するという。

講演資料より抜粋して掲載、以下同
講演資料より抜粋して掲載、以下同

 「MAのスコアリング機能を活用すれば、自社の持つ10万人の顧客リストから、スコアが高く購買に近い1,000人の『今すぐ客』をあぶり出す、といったことができます。でも、それだけできてもMAとは言えません。毎年、毎四半期、毎月と定常的に『今すぐ顧客を作り出す仕組み』となっていることが、MAのあるべき姿です」

「今すぐ客」に重要!適切なスコアリング

 「今すぐ客」と「そのうち客」のファネル構造を参照すると、「今すぐ客」を継続的に生み出すには、「そのうち客」の育成が必須だとわかる。「そのうち客」という母集団を把握し、増やし、活性化していくことがビジネスの最適化につながるのだ。

 植山氏は、MAを活用する場面には、三つのフェーズがあると分析。三つのフェーズとは「そのうち客を増やす」段階、「そのうち客を活性化」する段階、「今すぐ客をあぶり出す」段階だという。この三つのフェーズに加えて、オンラインかオフラインかによって、MA活用法のバリエーションが生じてくるという。

 Tips1が「スコアリング」。スコアリングを通じて「今すぐ客」をあぶり出すための秘訣を紹介していく。具体例として、SATORIのMA画面がスライドに展開された。そこには、個人情報を取得済みの実名顧客が約4万、そのうちホットな状態にある「今すぐ客」が約1,000人と表示されている。

 MAの顧客データとは、顧客の行動履歴などが統合されたデータ。ここでいう行動履歴とは、Webアクセスの頻度から、セミナー参加や商談などオフラインでのコンタクト状況までも含む全行動の記録を指している。 

 「ここで問題になるのが、ホットな状態のリードである『今すぐ客』を抽出するために訪問回数を活用してもうまくいかないこと。訪問回数と購買意欲は必ずしも比例しないのです」

 そこで、「今すぐ客」の抽出のために用意するべきものが「キラーコンテンツ」だという。「キラーコンテンツ」とは、「ここにアクセスしたユーザーは、購買プロセスがかなり進んだユーザーだ」と判断できるコンテンツである。

 植山氏は、スライド上にSATORIサイトのメニュー画面を提示。6つのメニューの中に、ここにアクセスしたユーザーは「今すぐ客」だと判断できるコンテンツがあるという。はたして、正解は……?

キラーコンテンツ到達ユーザーを徹底マーク!

 業種業態でWebサイトのメニューは異なるが、自社に置き換えながら想像してみよう。

 前ページの正解は「他社との比較」。競合との比較と絞り込みを行い、営業担当を呼んで商談をするタイミングの直前に最適なアプローチができれば、商談化率はぐっと上がる。SATORIの場合、それが「他社との比較」へのアクセスだったのだ。

 「みなさんも身近な例で想像してください。私の場合、二人いる子どもを広い校庭のある小学校に通わせたい、と最近住まいを計画しました。エリアや条件を絞り込み、マンションか一戸建てか注文住宅か、などと検討を進め、いよいよセールスマンを必要とする直前で行っていたのはメーカー同士の製品比較。料金や物件、建物のスペックそのものを単一で見ている段階は、まだ購買意欲が高い状態ではありませんでした」

 そこで、「ユーザーは購買プロセスが進むと、求める情報内容が一般的商品スペック情報から変化する」という仮説を立て、検証した結果わかったのが「ユーザーが最終段階で必要とする情報は、カタログ的にWebで公開されている情報ではない」という事実。

 最終段階で必要とする情報を突き詰めると、SATORIのサイトでは「他社比較」というキラーコンテンツ(通常はオモテに出さない情報)に辿りつき、商談化率の大幅な向上をもたらした。

  1. キラーコンテンツを用意する(たとえば「他社比較」)
  2. 該当顧客を可視化する(「他社比較」を180日以内に2回以上閲覧した顧客、などと想定)
  3. 社内通知する(インサイドセールス担当者に商談アポイントのアプローチを指示)

 「何がキラーコンテンツとなりうるのかは企業やサービス次第ですが、用意できるとMAのスコアリングがぐっとシンプルにできるメリットがあります」

「今すぐ客」な匿名顧客をキラーコンテンツで実名化!

 次に、キラーコンテンツを活かした応用編としてTips2「匿名顧客」が解説された。

 植山氏からは、MAが収集できる行動ログは、どれも約3%だけ実名顧客(個人情報を取得した状態)で、残り97%が匿名顧客だと指摘。だからこそ、自社に接点のある匿名顧客へのアプローチが最適化できれば、「今すぐ客」化の数が伸びるという。

 「MAは一般に実名顧客データの収集という点では弱いツールです。しかし、自社のWebサイトに来訪している匿名顧客の中には、購買意欲の高い人たちが多数含まれています。そこで、Webにアクセスしている約5,000人のホット(今すぐ客)な匿名顧客に働きかけて実名化しましょう」

 ここで先ほどのキラーコンテンツの考え方が活きる。Webへの接触頻度が高い匿名顧客の中で、「他社との比較」(キラーコンテンツ)への来訪ユーザーに接触。SATORIでは「他社との比較」に来訪したユーザーにのみポップアップ(自社のWebサイト内に設置する、動きのある広告枠のようなもの)を出現。ポップアップで資料請求のダウンロードを促しつつ、そこで実名化できなかったユーザーにはさらにFacebookでリターゲティング広告も行うのだ。

 では「今すぐ客」と違い「そのうち客」にはどうアプローチすべきか? 植山氏は、Tips3「無料セミナー」での接点作りを説く。「そのうち客」は興味が高い顧客層ではないため、セミナー実施にあたって3点の注意事項が入った。

 特に3に注意。最終目的は商談化のきっかけ作りなので、それぞれのセミナーにテーマやストーリーを持たせ、次回の参加を促す設計としたり、無料診断を行うことと引き換えに商談フェーズを設けるなどのフックを用意したい。1と2に気を取られ過ぎて、無料セミナーそのものの満足度を高めることが目的ではない、ということを忘れずに。

顧客イメージを拡げてリード総数を確保

 無料セミナーの実施は、業務効率向上も期待できる。4万人のうち1,000人が「今すぐ客」なら、残り3万9,000人は「今すぐ客」ではない。残り3万9,000人全員にセールスマンを付けることは現実的ではないし、セールスマン一人当たりの商談数は、SATORIだと500ほどが限界。セミナーを行えば、SATORIの実績値だと一人当たり5,520人との接点作りに成功できる。

 さらに母集団拡大に専念するアプローチがTips4「展示会」。将来的に「今すぐ客」を多数生み出す母集団となる「そのうち客」の獲得について、植山氏は間口を拡げた展示会への出展、並びに接点となる顧客対象の条件を緩めることを推奨する。

 「ニッチな業種だから元々の母集団がないとお悩みの方ほど、お客様の像を緩めてみましょう。接点を持てる人数が増え、見込み顧客のデータベース作りにつながります。ここでも営業はご法度。情報収集で来場するお客様に製品情報の資料を渡しても響きません」

 SATORI自身が実践しているのは、お役立ち資料の配布を通じた3点の過程だ。

  1. コンテンツの準備(お役立ち資料の配布)
  2. リード獲得(資料配布時に名刺交換など)
  3. アフターフォロー(どの会社よりも先に御礼メール送信)

 最先端のマーケティング情報をまとめた資料、複数事例を集めたマーケティングハンドブックを用意しておき、間口を拡げたお客様像となる方々に配布。その際の名刺交換や展示会用のバーコードを読み取り、相手の連絡先を得たら、どの会社よりも早く御礼メールを送付へ。お客様へのコンタクトを作っていく。

オフラインとオンライン、接触の基本は同じ

 ここまで説明したオフラインのTipsは、オンラインでの考え方とも共通する。

 先ほどのTips4「展示会」と同様のアプローチが、Tips5「eBooks」とTips6「外部データ」に当たる。これらも、三つのアプローチ(メリットを増やす/デメリットを減らす/商談につながる)を踏まえeBooks(2017年最新マーケティング読本、など一般的にメリットを感じるコンテンツ)を用意。接点作りのため、詳細情報よりも実名顧客化を優先して獲得する。

 「外部データ」は、外部メディアなどのCookieを用いて展開することを指す。自社サイトとは別に、「そのうち客」が見ていそうなメディアからログデータ(Cookie)を購入しeBooksをそのCookie情報の相手に用意する。SATORIは約25社からのCookie情報を用いて母集団を拡げ、お役立ち資料を訴求。植山氏は「圧倒的なリードジェネレーション(見込み顧客の獲得)につながる」とした。

 Tips7として挙げた「育成型広告」とは、ネット広告を活用して「そのうち客」を増やすこと。購買に興味のない層にコンバージョン・資料請求を目的とするリターゲティングは、効果的ではない。セミナーで話すようなマーケティングノウハウをネット広告で訴求することのほうが効果的だ。SATORIは、広告費の8割以上が育成型広告だという。

 同じ位置づけのTips8が「プッシュ通知」。購入検討をしていない「そのうち客」にメールを送っても開封されないため、PushCrewなどのプッシュ通知サービスを利用する。ちなみにSATORIがあるセミナーの告知で使い分けたところ、メールよりプッシュ通知のほうがクリック率で4.6倍高かったそうだ。

 Tips9の「類似オーディエンス」は、FacebookやInstagramにある機能で、自社のデータベースに似たユーザーを各SNSから探し出す機能のこと。

 これでアプローチできる匿名顧客数が一気に増えるだろう。Tips10の「チャット」は、当社においては、新規獲得よりも既存顧客サポートで強みを発揮した機能。問い合わせをメールやSNS、電話で対応するより、ライブチャットで迅速に対応すれば顧客満足度が高まるという。

 Tips10選に表れるMAの実践方法を深めたい人は、毎週SATORIが無料セミナーを開催中。参加すれば、理解を深める機会となるだろう。

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/05/08 11:00 https://markezine.jp/article/detail/26360