マーケティング部門が情報システム/IT部門と連携できているか
次に、事業会社におけるデジタルツール導入の現状について見ていこう。情報システム/IT部門が中心になってデジタルツールの導入や運用を支援するのが一般的なパターンだが、近年マーケティング部門など情報システム/IT部門以外の部署がツールの導入を主導することが増えてきている。
場合によっては、マーケティング部門が情報システム/IT部門に相談や調整を行うことなく、独自に予算確保の稟議を回してツールを導入することもあるだろう。マーケティング部門が情報システム/IT部門を通すことなく、外部の協力会社を使ってツールの運用や機能拡張を行っているケースも少なくない。
このような場合、社内で運用されているツールの種類や役割、またそこから利用できるデータの内容が全社的に把握されておらず、せっかくのツール機能やデータが分断された状態で個別に利用されていることがある。
また、運用を支援する情報システム/IT部門としては社内クライアント(ステークホルダー)となる運用依頼部署からの個別の要望に対応するのみに終始し、会社全体を見越した提言やアドバイスができていない状態も多いだろう。

結果として、情報システム/IT部門が相談元の部門の詳細な業務内容を十分理解しないまま、相談元にとってのソリューションの意味合いも汲みきれず、「運用面での安全性」や「容易さ」に重きを置いて選択が行われがちだ。結果として、導入部門にとって本来ベストなソリューションやツール選択がなされていない場合も数多く見られる。
ただ、情報システム/IT部門の立場になってみると、様々な部署からツールやサービスについての相談が寄せられ、基本情報を得るだけでもそれ相応のリソースが必要となるのも事実だ。そもそも、社内部門に向けた適切なコンサルテーションにリソースを振り分ける以前に、ITシステムを「安全」かつ「安定」的に運用しコスト管理まで求められることに疲弊してしまっている可能性も高い。
自社のデジタルトランスフォーメーション推進を確実なものとするためには、マーケティング担当者が情報システム/IT部門の抱える課題や状況を理解し、お互いの役割を整理し、協調を深めることが重要だ。
今や「デジタル」と名の付くツールやサービスは、マーケティング担当者の日々の業務にとって必須の道具で、企業のバックエンドの仕組みとして情報システム/IT部門が運用すれば事足りるものではなくなってきている。情報システム/IT部門との協力は、ソリューション選択はもちろん、ゴール達成の確実性を高めるためにも大切なポイントなのだ。
デジタルトランスフォーメーションのための7つのポイント
最後に、企業のデジタルトランスフォーメーション推進のためのポイントをまとめてみたい。

- 体制づくりの目標は事業課題に沿って、具体的に立案
- 実現可能な体制規模、期間を考え段階を追って推進
- 人材は社内外を見渡して検討
- 「経験の蓄積」は社外専門家の知見を取り込み効率化
- 予算投下は全社のデジタル事業成長の視点で検討
- デジタルツールの導入は、IT/情報システム部門との協調が前提
- 「小さな失敗」を改善経験に組み込む柔軟性
改めて書き出すと、当たり前のように感じられる項目ばかりかもしれないが、こういった「当たり前」を積み上げていくことが、結果として大きな成長や成功につながっていくことは間違いがない。
強調しておきたいのは、デジタルトランスフォーメーションに向けたロードマップを作成する際に、急激な変化や過大なゴールを教科書にこだわるように描くのではなく、できることから着手する計画を立てることだ。重要なのは「スモールスタート・スモールサクセス」。今できることに迅速に着手し、自社の変化や進化の速度を体感できるトランスフォーメーションを実現していきたい。
