プロジェクト段階ごとの体制プランが作れているか
まず、新たな取り組みやソリューション導入を行う際、課題に合わせてどのような体制を組んでいくか検討することが重要だ。そのためには、プロジェクトを進めるためのロードマップを作るとよい。
プロジェクト推進に必要とされる人材を経験値や知見を踏まえアサインすることは確かに大事なステップだ。しかし、課題を整理してロードマップを構想する前に人材のリスト化から始めてしまっては、社内での「人」の調整にとらわれてしまい、機能的かつ実現可能な「あるべき体制」を検討できなくなってしまう。
まず課題を整理し、ゴールを決め、ゴールに向けてどのように進めていくかを考える。このプロセスは人材のリストアップより先に行うべきなのだ。現実的なロードマップ、すなわちプロジェクトを段階的に進めていく計画を立てることで、体制も段階ごとに適正な規模へと拡大しながら進めていくことが可能となる。また、このプロセスは課題に関連する部門間のコミュニケーションや合意を円滑にするためにも必須と言える。
デジタル人材育成のロードマップがあるか
事業のデジタル化が急速に進むなか、また新しいソリューションやサービス機能が次々にリリースされる昨今、適切なリテラシーと運用経験を持った人材を採用・育成することは、今やどの企業にとっても頭の痛い課題だろう。
IT・デジタルマーケティング業界においても新しいツールを使いこなすために必要なスキルを備えた人材を採用することは難しい。ましてや事業会社にとっては、人材採用の課題はさらに重い問題だと思われる。育成についても一定量の経験値を社内人材に貯めていくためには、それなりの期間が必要になるのは当然と言えよう。
しかし、事業変革の局面では人材不足を理由に現状に留まることはできない。どのような対応策を持って課題に取り組むべきか、効率的な試行錯誤を行う必要がある。
人材不足が顕在化するのは、新しいプロジェクトを進めるときが多い。たとえば、次のようなシチュエーションだ。ゴールに向けて課題が明確化され、プロジェクトがスタートする。社内でプロジェクト推進に必要な知見を持った人材を投入し、外部のコンサルタントやエージェントの協力も得て、計画を組み上げる。ここまでは問題ない。
しかし、新たに導入することが決まったソリューションの運用や活用を検討する段階がやってくると、「実際に誰が導入されるツールを運用していくのか」また「運用に必要な知見や技能をどう確保するか」という形で人材不足の現実に多くの企業が突き当たる。