競合調査は、複数の指標チェックと実際に使ってみるのがベスト
――滞在時間やリテンションを伸ばすための施策は何か考えられていますか。
石附:プッシュ通知は行っていますが、実はメルカリとしてはそんなに打ってないんです。米国もそうなんですが、他社さんのアプリだと、頻繁に、それこそ毎日打つようなアプリもあります。
そこで、プッシュ通知の効果を評価するために滞在時間などの指標を見たところ、プッシュ通知に反応したユーザーは少し短いことがわかりました。プッシュ通知で来てくれたユーザーがそのまま残ってくれればいいんですが、そうではないことを踏まえると、やはりプッシュ通知は打ちすぎないほうがいいんじゃないかと考えています。
――ユーザーの行動については今うかがいましたが、ユーザーの属性についても分析はされていますか?
石附:Audience Intelligenceでアプリの利用者の男女比を見たところ、メルカリはやはり女性が多いんです。一方で、他社さんのアプリの男女比を見ると、意外と5:5や、6:4でした。
そこで得た男女比と、リテンションのデータを合わせてみてみると、女性ユーザーはリテンションが少し低いのではという仮説も出てきました。他にも、利用者の性年代を見て行くと、男女比が真逆のアプリをベンチマークする価値があるのか、といった疑問も出てきます。ターゲット層がそもそも違うこともあり得えるからです。
――最後に、他社アプリのデータを見る上でのポイントを教えてください。
石附:単一の指標ではなく、複数の指標を見ていくことですね。たとえばプッシュ通知だと、アクティブユーザーの数だけを見ると効果があるように思えますが、アクティブユーザーの増加分にはすぐアプリを閉じてしまったユーザーも含まれています。そこで、滞在時間や、インストール率、ユーザー利用率などの数字をあわせて見ることによって、他社が行っているプッシュ通知施策に本当に効果があるのか仮説を立てることができます。
このように、一つの指標だけではなく、三つ四つの指標から他社のアプリについて仮説を立てつつ、実際にそのアプリも使ってみる。その上で、仮説の確からしさを見ていくという流れで、分析や施策の立案を進めています。