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マーケが知らない「カスタマーサービス」の世界 攻めのサポート施策によるCX改善の最前線に迫る

カスタマーサービスに求められる3つのポイント

 では、企業はその変化に対応できているのかというと、スヴェーン氏は「ノー」だと答える。企業の対応の遅れは組織体制を見てもよくわかる。マーケティング、営業、カスタマーサービスといった部署がそれぞれサイロ化し、情報が共有されていない。

 また、資料請求システムやロイヤルティプログラムといったシステムやテクノロジーも、断絶していることが多い。さらに電話やメール、チャットなどのメッセージサービスといった各チャネルが相互に連携されていない。

 「すると、顧客の体験も分断されてしまいます。顧客の求めるものを理解し、それに対応して初めて、エンゲージメントを築くことができます。なので、まず企業側のニーズではなく顧客のニーズを中心に据える必要があるのです」(スヴェーン氏)

 その顧客のニーズを、スヴェーン氏は「素早い対応、透明性、自己解決」という3点にまとめる。

 「素早い対応」とは、生活者が企業に聞きたいことができたときに、使いたいチャネルが開いており、すぐにコミュニケーションできることだ。以前ならば営業時間帯に電話をかけて、複雑なメニューに従ってダイヤルを押して対応する必要があった。今ならば、チャットとメッセンジャーで常に対応可能になっている。

 次に、「透明性」とは、生活者がネットを介して、自分の依頼内容に対する企業の処理状況を詳細に追跡できることを指す。たとえば、ECサイトだとすれば、注文した商品の決済状況や出荷状況といった自分の手元に届くまでの進捗情報に簡単にアクセスできることが重要になる。

 最後に、「自己解決」とは生活者がわざわざ企業に問い合わせなくても、なるべく自力で課題を解決できるように情報提供の仕組みが整っていることだ。以前はアカウントの更新に電話が必須だったが、今はアプリ経由でアカウントを更新できるようになっている。「これら3つが柱となって、新たに顧客との関係を築いていくことができる」とスヴェーン氏は解説する。

ロイヤルティ醸成は事業成長のカギを握る

 一方で、スヴェーン氏は「これらは日本にとっては必ずしも新しいコンセプトではないと思います」と語る。「なぜなら、日本には“おもてなし”の心があるからです。顧客を中心に据え、顧客をなんとしてでも喜ばせたいという気持ち、これが大事です。ポイントは、対面でのコミュニケーションに限られるイメージがあるこの価値観を、オンラインにも採り入れていくことです」(スヴェーン氏)

 Zendeskのプラットフォームを活用し、顧客接点のオンライン化に対応している企業の一部では、問い合わせに回答するというベーシックな対応にあきたらず、拡大するサポート接点を通じて新しい顧客ニーズを理解し、生活者とより良い関係を構築する動きが見られる。

 たとえば、プロダクトに好意的な評価をしている顧客を見つけて、口コミで情報伝播するエヴァンジェリストの役割を担わせたり、口コミからロイヤルティが高まる要因を分析したり、といったことだ。

 特にスヴェーン氏は、ロイヤルティの重要性を指摘する。「顧客ロイヤルティはビジネスの成長と密接な関係にあります。たとえば、顧客ロイヤルティを増やすことで、退会率を15%から5%に下げられたとしましょう。このとき、売上は2年で120%にまで増加します。したがって、企業はこれまで以上に顧客に対して働きかけて信頼構築をする必要があるのです」(スヴェーン氏)

 整理すると、顧客が望んでいるのは「素早い対応」「透明性」「自己解決」を提供すること。そして、企業が望んでいる顧客の「信頼」を得て「ロイヤルティ」を高め「口コミによる情報伝播」を拡大することだ。「顧客の希望と企業の希望をマッチングさせる交差点の役割をZendeskは果たしていきます」と、スヴェーン氏は語り講演を結んだ。

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「LINEカスタマーコネクト」の展開に期待

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/25 16:39 https://markezine.jp/article/detail/26705

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