“動画=男性”は過去の話!今は“女性にこそ動画”の時代
これまで、企業のマーケティング施策におけるオンライン動画の活用は、YouTubeやニコニコ動画をはじめとした動画プラットフォームのユーザー属性の影響もあり、「若年層の男性向け」が中心でした。そしてそもそも、以前は女性が動画を敬遠しがちでした。まず、敬遠されていた3つの要因を解説します。
まず、女性は男性に比べると、複数のことを同時に考えるのが得意な“マルチタスク脳”の傾向があるといわれており、「テレビを見ながら掃除をする」といったように何かをしながらも別のことを並行できる、自由度のある環境を好む傾向にあります。一定時間集中して画面に向き合うことを求める“オンライン動画の視聴”はこの「ながら行動」に不向きであったことが1つ目の要因といえます。
続いて、女性は電子機器などに比較的疎い傾向にあることが、2つ目の要因です。カメラなどを使用した動画の撮影や編集・投稿といった一連の行為に対する物理的かつ精神的なハードルの高さが、女性を動画から遠ざけていました。
それに関わる3つ目の要因は、動画の制作者が男性中心となっていたことです。そのため、女性向けの動画自体が少なく身近に感じることができませんでした。
読者の皆様はお気づきかと思いますが、これらはすべて“過去の話”です。今は動画のフォーマットやプラットフォームが多様化し、短尺や早回しで「一定時間の集中」を要しない動画が増えました。また様々なツールの普及と進化にともない、誰でも手軽に動画を撮影し編集・シェアできるようになりました。それにより、女性の動画制作者が増え、女性にとって動画が身近なものとなったのです。
感性的に物事を捉えがちな女性にはビジュアルコミュニケーションが効果的であり、静止画像以上に感性を揺さぶることができる動画は、本来は女性マーケティングに適しているともいえます。一方で手法を誤ると女性と動画との相性の悪い面が露呈してしまう可能性もあります。女性向けに動画マーケティング施策を実行する際は、前述の3つの要因を徹底的に排除する必要があるのです。
Instagramは“画像SNS”から“動画SNS”へ?
女性にとって動画が身近なものとなった背景の1つに、Instagramの存在があります。Instagramといえばおしゃれな画像投稿が特徴的なSNSですが、最近では動画を投稿するユーザーも増えています。また昨年に「ストーリーズ(Instagram Stories)」機能が追加されたことで、通常のフィード(タイムライン)とは別枠で画像と動画を投稿・閲覧できるのに加え、ライブ動画も配信できるようになりました。投稿は24時間で消えるという、いわゆる“エフェメラルSNS”的な気軽さもあり、この「ストーリーズ」で動画を投稿するユーザーが急増しています。
トレンダーズが20代から30代の女性Instagramユーザー500名を対象に2017年7月に実施した「Instagram動画」に関する調査結果によると、63%が「Instagramのフィードで動画を再生したことがある」と答え、71%が「ストーリーズで動画を再生したことがある」と答えています。この調査結果からも、もはやInstagramは画像だけのSNSではなく、動画を楽しむSNSとしても定着しつつあることが伺えます。女性向けの動画マーケティングを行う上では、今後間違いなく欠かせない存在となるでしょう。