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膨らんでいくデータ、企業はどう向き合う?~データから考える未来のマーケティング像

DMPはいよいよ"クロスデバイス"、"人ベース"の時代に 事業に貢献する「データマーケティング」とは

データ活用のためのハードル2 「データ統合」

 横断的部門を機能させるには、クロスブランドでの分析に必要なデータを集めるため、強い意思決定者が号令をかけて主導することが求められます。まずは目的設定したうえで大義名分を持たせ、そこから小さな成功を積み重ね、データ分析が有益であることを数字で証明していくことが大事です。さらに、自社内のデータだけでなく、外部のデータとも統合できれば、先述したクロスデバイスでの分析が可能になっていきます。

 異なる設計で散在しているデータ統合する際、必要になるのがマッピングです。たとえば、Webサイトに来訪して購入しなかったが、翌日来店して購入したAさんがいたとしましょう。Webサイトのデータと来店データは別々のものなので、データが統合されていなければ、Aさんは同一人物とみなされません。

 こうした別々のデータをどう紐づけるか。これがマッピングです。Webサイトに来訪した際「会員登録したら店頭でも割引」といった形で、AさんのIDを取得していれば、店頭での購入の際にデータが紐づけられます。さらにそのIDをPCやスマートフォンブラウザ、アプリ、来店時に使う設計にしておけば、Aさんの行動を浮かび上がらせることができるようになります。

   実店舗を持つ企業の場合、現場側の協力で、「アプリをお持ちですか」「会員カードをお持ちですか」といった声かけは、店頭でのデータを取得するために非常に大切になります。こうした協力の重要性を自分ごと化してもらうには、現場がデータの分析環境へ簡単にアクセスできる状況を構築することです。ここで3つ目のハードル、「データへのアクセス環境の構築」が立ちはだかります。

データ活用のためのハードル3 「データへのアクセス環境の構築」

 データ分析の横断的部門を持っている企業の中には、BIツールを現場にも共有したものの、かえってデータを活用できない状態に陥っていることも少なくありません。これは陥りがちな落とし穴で、横断的部門がマニアックな研究室のようになっては存在意義がなくなってしまいます。

 現場はユーザーの生の声を知っていて、日々、商品やサービスと向き合っています。現場が立てた仮説に対して、データによってエビデンスが得られたら、成功確率の高い企画、商品、サービスを生み出しやすくなるでしょう。

 現場が簡単に分析環境へアクセスできる状態を作るには、専門的なツールではなく欲しいデータを容易にエクセルで出力できるような、誰もが親しみを持ってデータに触れられる環境の構築が必要です。

 「分析体制の構築」「データ統合」「データへのアクセス環境の構築」、これら3つのハードルがクリアでき、データ活用におけるPDCAが正しく回っている状態になれば、ターゲットにしているユーザーの時系列が見えやすくなります。そうなれば、広告配信での活用にとどまらない、マーケティングの戦略立案、コミュニケーションプランの設計など、様々な用途にデータが活用できるはずです。

“人ベース”でデータ活用を行えば、事業への貢献度は飛躍的に高まる

  オンラインとオフラインのデータを統合し、“人ベース”でDMPの活用を行っていけば、各ユーザーに対して最適なコミュニケーションが取れるようになるだけでなく、店舗開発、商品開発への活用で、事業の成功率も飛躍的に高めることができるでしょう。

 今回ご紹介したものをはじめ、様々なハードルがデータ活用にはあるものの、そのハードルを越えてデータマーケティングの成功例といえる結果を出している企業も出てきています。すべての企業がこの成功例を実感する未来はそう遠くないのではないでしょうか。

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この記事の著者

小林 秀次(コバヤシ シュウジ)

Supership株式会社 データマーケティング事業部長。2000年から通信販売カタログ雑誌の編集業務を経験。その後2004年から同カタログのオンラインショッピング事業に従事。Yahoo!ショッピング、楽天市場、自社サイトの運営責任者を担当。2006年1月にオールアバウト入社。オンラインショッピング事業部門のマーケ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/08/31 12:00 https://markezine.jp/article/detail/27006

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