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データビジネスの未来は“人材育成”と“ショーケース”で作る 欧米の事例から学ぶ“進化のカギ”とは?

2017/10/06 11:00

 会員情報、行動データ、購買データに加えて、今後はさらにIoTによるセンシングデータなど、企業が向き合うべきデータは種類・量ともにますます膨らんでいく。企業はそうしたデータをどうマーケティングに活かしていくべきなのか。そして、エージェンシーとどのように歩んでいくべきなのか。本連載は、データテクノロジーカンパニーであるSupershipの専門家たちが、「デジタルマーケティング」「DMP」「データビジネス」の3つのテーマで考察する。3回目は、広告事業本部 CMOの中村大亮氏が、データビジネスの未来について論じていく。

欧米のデータビジネスは、日本の数倍進んでいる

 まず日本のデータビジネスの未来を話す前に、欧米の事例からお話ししたいと思います。前提として日本と欧米では、データビジネスの進度にかなりの開きがあるといえます。たとえばウォルマートやターゲットのようなメガ流通からABCやニューヨークタイムズといった老舗メディアまでデータ活用しているイメージはあまり湧きませんが、米国ではサービス向上やコンテンツ開発にデータを基点とすることがあらゆる産業で当たり前になっています。

 さらに、これらの企業では元データをしっかりと活用し、ロジックを作っています。これにより、お店に来た買い物客のスマホにプッシュ通知でお知らせを届けたり、センサーでショッピングカートに備え付けたデジタルガジェットから位置や移動導線を判断して買い物客ごとに合わせた商品情報を届けたりすることができます。

 こうした試みに限らず、欧米ではブランド側が自分たちに必要なデータを理解しているといえます。最も成功した例でいえば、1st Partyデータをフル活用して開発しているAmazonのAWSですよね。

 さらに、それを仲介するプレーヤーも機能していて、たとえば世界最大級のデジタルエージェンシーであるイギリスのWPPグループは、戦略的に世界各国の3rd Partyデータを集めています。また、データを有するメディアサイドも、自分たちのデータにどのような価値があるのかを理解しています。

 データの提供側・仲介側・活用側、というフレームがきっちりと存在していることがデータビジネスの活性につながり、ビジネスモデルとして成立しているのです。

日本でもデータエクスチェンジは加速する

 日本では、欧米で成立しているデータビジネスのフレームがまだ曖昧です。たとえば先に挙げたデータを大量に有しているメディアも、それをどう使ってマネタイズしていけば良いのかを模索している段階ではないでしょうか。また、仮にそうした多くのデータを企業が集めても自社のマーケティングに100%活用できているといえる企業はまだまだ少ないでしょう。

  両者の現状としては、データ活用において目的と手段が逆転している様子が散見されます。「上司にDMPを導入するよういわれたが、何から始めればいいのか?」「データは集めたが、使い方が良くわからない」といった相談が、ナショナルクライアントのマーケティング担当者から寄せられることがあります。

 本連載の先述にもあったとおり、データ活用にはまず“目的”があることが大前提です。目的を決めて、まずは身近な1st Partyデータから、きちんと仮説を立てて、トライアルしてみる。そうすると、足りないデータも理解できますが、そうした部分から始めるべきというのは、本連載の前回でもご説明しました。

 私がメーカーでマーケティングを担当していたときに行っていたデータ分析では、時間軸とインタレスト、コンテンツ、属性などを大きな粒感で掛け合わせてみて「ちょっとここが普通と違うぞ」と、あたりを見つけることからスタートしました。

 たとえば、営業メンバーから「9月に●●のブランドで小売店に提案したいので、データからどういった販促をすれば良いのか施策を立ててください」といったオーダーを受けたとします。ここでは、該当ブランドに関するコンテンツのデータなどから、9月にどういった動きがあるのかをあぶりだします。そこで普段とは違った動きが見つかったら、今度は「なぜなのか」を深く解析していくと、営業支援の戦略・戦術まで落とし込める理由が見つかるようになります。

 実際、こうしたデータに基づいた営業支援は、営業先でもある小売店さんにとても喜ばれました。店舗の売上が上がればwin-winの関係が築けることから、こうしたデータエクスチェンジの領域は、未来に向けてもっと加速すると思います。

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