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有園が訊く!

「広告予算を100%デジタルに」 残り3年、日本ロレアルの“CDO”が今考えていること


 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は、日本初のCDO・デジタル最高責任者のポストに就く、日本ロレアルの長瀬次英氏を訪問。ランコムやイヴ・サンローランはじめ、数々のビッグブランドを擁する仏ロレアル社は、「2020年までに広告予算の100%をデジタルにする」と掲げている。その現状と真意に迫った。

広告予算の50%以上をデジタルに投じる現在の日本ロレアル

zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)日本ロレアル デジタル&メディア事業本部 デジタル戦略統括責任者 長瀬次英氏(写真右)
zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)
日本ロレアル デジタル&メディア事業本部 デジタル戦略統括責任者 長瀬次英氏(写真右)

有園:長瀬さんは事業会社や外資の広告会社を経て、直近だとInstagramの日本事業責任者を務めた後、2015年10月末に日本ロレアルのデジタル戦略統括責任者に就任されました。日本市場で初となるチーフ・デジタル・オフィサー(以下、CDO)というポストは、注目を集めたと思います。欧米でもCDOを置く企業は少ないですよね。

長瀬:そうですね。本社の仏ロレアルは、グローバルでみても極めてデジタルに積極的なので、その流れで各国でもどんどんデジタルへ軸足を移している状況です。

有園:ちょうど着任されたころ、「2020年までに広告出稿の100%をデジタルにする」と本国からお達しが出ていると聞いて、よしこれは1~2年したら状況を聞こうと思っていました。なので今日うかがいたいのは、その通達の背景と現状。そして、今後の展望ですね。まず、現状でデジタルへはどのくらい振っているんでしょうか?

長瀬:僕が入社した時点で、日本ロレアルは全メディア予算の約27%をデジタルに投じていました。翌年の2016年には30%台後半、今年の9月で既に50%を超えています。肌感ですが現状で日本企業の平均がおそらく20%後半程度だと思うので、かなり高いと考えますね。

 グローバルで見ると、やはり市場ごとにメディアの成熟やデジタルの普及度合いが異なるので、国によって差がありますが、アメリカだともう70%以上をデジタルに割いているような状況です。

有園:そうすると、2020年までに100%というのは、単なるお題目でもないんですね。

長瀬:はい、本気は本気ですね。実際、8割くらいロードマップもできています。ただ、現実的にはブランドによって異なります。

ブランドごとに最適な投資割合を見極める

長瀬:今、全部で22ブランドありますが、我々がというよりブランドの周囲の環境があまりデジタル化が進んでいないと、デジタル100%とはいかないでしょう。美容部員さんが直接説明してくれる百貨店や、ドラッグストアがメインチャネルの場合ですね。逆に、ECが主体のブランドは、現状でもほぼ100%に近い勢いです。

有園:テレビCMや雑誌広告を続けているブランドもありますよね?

長瀬:あります。でも、テレビCMはドラッグストアがメインチャネルのメイベリン ニューヨークだけです。これは、まだ流通の棚の確保にCMが有効だといった理由が大きかったりもしますね。

有園:そうなんですね。去年、某スキンケアブランドの分析業務を担当したんですが、テレビCMも気温や湿度をみてタイミング良く放送すれば、検索が増えて店頭の売上も伸びるし、ツイート数や「@cosme」のタイアップページのアクセスも増えていた。なので、ブランドによってはCMも十分効くのではと思うのですが、どうでしょうか?

長瀬:有効な場合もまだあると思います。ただ、メイベリンもこの3年でテレビの出稿量は、市場の状況とその効果に合わせて徐々に減らしています。流通側もオンライン動画のエンゲージメントの高まりを受けて、変わりつつありますね。

 たとえばメイクはHow to動画ととても相性がいいので、検索時にYouTubeの公式ページのHow to動画がヒットすると、ニーズを確実に捉えられる。また、自分と同じようなレレバンシー(関連性)が高い子が、メイクできれいになると説得力も加わるので、インフルエンサーの動画も有効ですね。これもブランドによるので、インフルエンサー戦略はかなり細かく調整していますが。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/10/11 13:00 https://markezine.jp/article/detail/27069

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