ポテンシャルの高い日本のアプリマーケットに注目
――ここからはMobvista が日本市場へ進出に至った背景と、なぜこのタイミングなのかをお聞かせください。
井料:ビジネスの視点でいえば、まず日本のアプリ市場はグローバルで見てもとても大きな市場です。当然Mobvistaにとっても有力な市場になるので、私たちの強みの一つであるアプリインストール広告を通じて、お役に立ちたいと考えています。
また、日本のアプリディベロッパーの海外進出もお手伝いしたかったのも理由の一つです。特に、中国に関しては、本格的にサポートができる会社がほとんどなかったのではないかと思います。その点、Mobvistaは中国の事情をよく知るアドテクノロジー企業の1つですので、様々な形でサポートできるかなと。また、中国にとどまらず、様々な国へグローバル展開したい企業に対するフォローもできます。
日本市場の参入にあたっては、これまで私たちが日本で持っている在庫、つまり、主に中国系アプリの日本在庫を指しますが、こちらを日本のパートナー企業を通じて供給をすることから始めてきました。その結果、私たちの在庫のパフォーマンスの高さも確認できたため、本格的に日本進出を決定し、今年9月に日本法人を設立しました。
――チームの内訳はどうなっているのでしょうか。
井料:日本担当としては、営業や運用オペレーション、メディアまわりの営業と運用がいます。その他、専任ではないのですがマーケティング、エンジニア、SDKを実装する時の技術サポートなど十数人のメンバーが北京と東京にいます。
世界最大級のアドネットワークと「技術力」が強みに
――次に、御社のサービスやアドネットワークについての特徴を教えていただけますか。
井料:特徴は大きく分けて、「量」と「技術力」の2つです。1つ目の量というのはアドネットワークの在庫数になるのですが、グローバルでは3億DAU(Mobvistaの SDKの入っているアプリを起動しているユーザー)、1日あたり100億imp、リーチ数は20億人にのぼります。アドネットワークとしては、世界最大級となります。日本に関しては、3,000万DAUのSDKが稼働をしています。
技術力に関しては、Mobvistaは実は社員の40%がエンジニアというテクノロジー企業です。中国には、バイドゥ、アリババ、テンセントなど世界的にも有名なデジタル企業があるわけですが、Mobvistaにもこうした会社からやってきた有力なエンジニアたちがいますので、技術の底上げに貢献しています。
また、自社SDK在庫を多く保有していますので、在庫そのものの理解が深く、効果改善、アドフラウド対策にも素早く対応をとることができます。
――どのようにして在庫を理解しているのでしょうか。
井料:3億DAUという膨大な自社SDK在庫、つまり、膨大なビッグデータをもともと持っているわけですが、昨年、GameAnalyticsというヨーロッパのユーザー分析を得意とする企業を買収しまして、データをより深く学習できるようになりました。
具体的には、ユーザーがどこで離脱しているのか、最も課金が多いのはどこかといった情報を理解しています。推定の男女比率や収入レベルなどでユーザーのカテゴリーを分けることができ、ターゲットに対して最適な広告が出せる仕組みになっています。